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女王とレオンの断罪が書かれています。

不快に感じる方もいるかと思います。


ご了承ください。

「王配殿下、貴方に協力するのは最初で最後になります。

いくら逆らえなかったからといっても、貴方が妹にしたことは消えませんから…。」

「わかっている…。協力感謝する…。」

「これでやっと終わる…」


ダピール国のとある朽ち果てそうな屋敷でサフィス家執事のブランと王配が話をしている。ここは嘗ての侯爵邸である。

ブランは主であるヴィンスの協力の元、カルリアとダピールの貴族や国民に女王陛下の悪評を少しずつ流した。最初は小さいものであったが噂には尾ひれがつくものだ。

そして、馴染みの貴族から仲間を増やして国の半数以上の貴族を纏め上げることに成功した。

ヴィンスは魔石以外の産業を提案してブランがそれを水面下で進め、このまま宝石が取り尽くされても大丈夫なようにした。


そして、反乱の当日。ブランの眼の前には憎き女王陛下がいた。魔法大国の陛下でありながら、平凡な魔力しかないのに陛下の直系というだけで女王になった愚かな女だ。


「何者だっ!?私を女王陛下と知っての狼藉かっ!?」

「おや、陛下は私のことなどお忘れですか?

まあ、そうですよね。前陛下の時代の宰相子息の顔など覚えていませんよね。

ああ、それに妹のことすら陛下は覚えていないでしょうね。」

「宰相子息…まさかお前はブランなのか…?」

「おや、覚えていたのですね?では、どうしてこの状況になったのかもおわかりですね?

陛下には今すぐ退位していただきます。」

「私は退位などしない!」

「この国の貴族の大半以上と国民に嫌われていても?」

「そんなものは関係ない!」

「関係ありますよ。王族は貴族や民がいなければ成り立たないのです。

あなた達王族は貴族や国民に生かされているのです。

ああ、ご心配なく。もうすぐに貴女様の大切な大切な第三王子であるレオン様が戻ってきますから、男妾と貴族牢で待っていてくださいませ。」

「お前に何の権限があるんだ!?この国の貴族でもないお前に!」

「女王陛下、私が…私たち正当な王位継承権を持っている者が執行人として彼を選出しました。」


王配と第一、第二王子が姿を現し、王配は言葉を続けた。


「貴様、女王の配偶者の分際で!」

「お忘れですか?私の父親は貴女の父親の弟ですよ?

この国の高位貴族の側室から産まれている正式な王子でした。

その子である私には可能性は限りなく低かったが継承権があったのですよ?」

「私を引きずり降ろして王配ごときが王位に就くと言うのかっ!?」

「貴女を止めることができなかった私がどうして王位に就けましょう。第一王子が国王となり暫定で第二王子が王太子の座に就くことになります。」

「そんなことは絶対に認めない!」

「貴女が認める、認めないではないのです。

これは、この国の総意なのですから。」


すると外から「女王の退位を!」「悪政を止めてくれ!」「お前のせいで流れなくてもいい血まで流れた!責任を取れ!」「レオン王子は民をゴミのように扱うんだ!女王に似たからだ!」「民を思いやれない女王や第三王子は地位を返上しろ!」など罵詈雑言が聴こえてきた。


「私は死する直前まで女王であり続けるのだっ!私に逆らう者を焼き払え!【フレイム】」


女王は魔法を使おうとしたが発動しない。


「ど、どうして…【フレイム】【アイス】……っ!!身体に魔力が…ない…?」

「はは!やっと気づいたのか?愚かな女だ!こんな女と王配のために妹が犠牲になったとは…。

お前が身につけているペンダント。外せないのだろう?それはこの国では出回っていない魔法封じのペンダントだ!私の主が貸してくれたんで、お前の宝石箱に忍ばせた。

元々の魔力が弱いのもあるがな。」


ブランはもう丁寧な言葉遣いをする必要もなくなり、種明かしをしていく。


「ああ、それと男妾には常日頃から子が出来ない身体になるように薬を盛っている。

あー、第三王子は本当に誰の子なんでしょうかね?

他にも愛人がいるのかな?

この国の女王はアバズレだったのかな?」


『アバズレ』それは女王が昔、シアに放った言葉だった。

彼は満足したのか第一王子に目配せする。


「元女王陛下と男妾を貴族牢へ!元第三王子レオンは帰国後に同じく貴族牢へぶち込め!」

「ああ、新国王陛下。今晩にはレオンはこの王城の謁見の間に()()()()()きます。」

「飛ばされて?」

「はい。主が転移させてくださるので。」

「さっきから言っている君の主とは?」

「カルリア王国のサフィス侯爵閣下です。主は様々な国にパイプがあり、その発言権は王族、皇族に匹敵するほどなのです。」

「そうか。カルリアの若き侯爵が…。彼は魔法も一流、交渉も一流だったな…。」

「私もサフィス侯に書簡を送ったのだ。ブランがこの国の貴族を纏め上げているのに気づいていたから。」

「落ち着いたらダピールに招かなくてはならないな。」

「そのお気持ちお伝えしておきます、新国王陛下。」


そしてその夜、ヴィンスが転移させたレオンは取り押さえられ貴族牢へ押し込まれ裁判を待つ身となった。


裁判の結果。女王陛下は北の塔へ幽閉され新国王の就任を待って毒杯を賜ることが決まり、レオンは北の塔の最上階に生涯幽閉と他国へ向けて発表した。

しかし、真実はそんな生温いものでなかった。

女王は王都内を引きずり回され、国民から石やゴミを投げつけられ、ボロボロの状態にしてから塔へ幽閉し、翌日には毒杯を賜った。

この様子はダピール国民なら誰しもが映像として見れるようにしたそうで、王都民ではない国民も溜飲を下げることができたらしい。

レオンは魔力だけはあったので、その魔力を生涯魔石に込め続ける労働を強いられた。

働くことが何よりも嫌いだった彼にとって強制労働はかなり堪えたらしいが、王族でもなくなった彼に優しくする者はいなかった。

彼は新国王の子が王太子に就任する直前に魔力が枯渇して亡くなることになる。


………


「以上がダピール国での報告になります。

旦那様、本当にありがとう御座います。」


ブランは深々と頭を下げた。


「ブラン、俺は自分の利になるように君を使っただけだ。俺としても反乱を起こして政権を交代してもらいたかったんだから。

それに王配殿下に頼まれたらやるしかないだろう?

そもそも、あのクソ野郎(レオン)がフィーネにちょっかいかけるのが悪い。キャシーにも声をかけるとか万死に値するよ。

お前も俺とクソ野郎の話を聞いていただろう?

あの上から目線も癪に障るが、魔法大国の王子のくせに大した魔力もない。(レオンはそれなりに魔力があるが、比較対象が自身であるヴィンスにとって彼の魔力ら大したことないと思っている。)

あんなのを王太子にしようとしているとか腐った王族はいらないんだよ。ポイッと捨てればよし!」

「はい。今回の件、本当にありがとう御座います。」


ブランはヴィンスに忠誠を誓い、右腕となり活躍したのだった。

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