表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/19

第七話:キャレさま

「キャレ。まあ、あなったら」


 ぼうの男性をめていると、こうしゃくじんが男性……、キャレさまを探しにいらしたの。


「マリエッタ」


 キャレさまはこうしゃくじんに見付かり、まり悪そうになさっていらっしゃるわね。


「キャレ、りの後でしょう? かんたんにお風呂を済ませ、づくろいくらいなさいな」


 必要以上の日焼けを好まないぞく女性らしく、かさはし沿って長いレースのれたがさの中。こうしゃくじんあきれたように、キャレさまをおおとがめになっていらっしゃるのだけれど。


 とがめていらっしゃるのに、とてもあいに満ちたこわでいらして、何だか不思議ですわ。


「ああ、それもそうでしたね」


「後でお茶の席で、私のお友達をごしょうかいしようと思っていたのよ。

 お茶の時間に間に合うように、お風呂へ行きなさいな」


「そう致します。マリエッタの『お友達』、またのちほど


 美しいボウ・アンド・スクレープをし、キャレさまはそうおっしゃると、きょじゅうとうじょうへ向かう道を戻られましたわ。


「キャレがれいを働いて、ごめんなさいね」


 キャレさまに声が届かないくらい離れられると、こうしゃくじんごとべられてしまいましたわ。


こうしゃくじんめっそうもございません! 高貴なお方が、私にごとなど……」


 ぞくは、女性であってもめっごとは口に致しませんわ。それなのに……!


あなは、私のお友達でお客さまですのよ。何かあれば、ごとも当たり前でしょう?」


 確かに、そういう立場としておつかえする取り決め。とはいえ、こうしゃくじんただだんしゃくれいじょうごとなんて……!


「それは少しずつ、慣れて頂くとして……。

 散歩なさって、のどが乾いたのでは? キャレ、さっきの男性ね。キャレは良く来るので、しょうかいねて、お茶のおさそいに来ましたの」


「お茶のおさそいに? こうしゃくじんおんみずから足を運んで下さり、ありがとうございます。喜んでおとも致しますわ」


「ふふ。そのかたさも、いつかほぐしてね?」


 ……それは、ぞくとして無理がございますわ……


 そんな事を心で思いながら、こうしゃくじんきょじゅうとうじょうへの道を、会話を楽しみつつ戻りましたの。


 ◇


 寒さに強い、様々な品種の。そのの咲きほこる『えん』と呼ばれる、区切られたお庭の中。外でお茶を楽しむ場所という、『あずま』というかわらしい建物。


 そこでこうしゃくかっこうしゃくじん、キャレさま、私の四人が並んでお茶を頂いていますわ。


さきほどは、キャレがしつけな事をしたそうだね。よく注意をしておいたから、今回だけ、大目に見てやってくれ」


「本当に、マナーがなっていなくて……。おずかしいわ」


「アルヴァー、マリエッタ。それはもうはんせいしたと言ったろう?」


 キャレさまは気品のある美しいお顔をくもらせ、すっかり困っていらっしゃるわ。


「大丈夫ですわ。気にしておりませんわ」


「ああ、そう言ってくれると助かるよ」


「ええ」


 気にしていないのは本当でしてよ? それより、見た事もない、このあずまが気になりますわ。


「彼はキャレ。じょうは明かせないが、私ともマリエッタとも近しい者だ」


「夫とこうしゃくり場でりをしたり、らしに月に二度か三度来ますの。見知り置いてあげて下さいな」


さきほどは、しつけいをしてすまなかった……。私はキャレ。お見知り置きを」


「キャレ、こちらはドゥールムンだんしゃくの妹君、カナリア・ダイアモンド・トゥ・ロワイじょう

 お兄様におちからえなさって、りょうけいえいの立て直しをなさったしゅわんが広く知られていらっしゃるわね。他に、三言語がたんのうでいらして、ベッめいしゅでもいらっしゃる私のお友達よ」


 私の事は、そんな風に言われておりますの? そのうわさも、どこまで回っているのかしら……


 こんなふうにごしょうかい頂くと、とてもずかしいわ……


「ドゥールムンだんしゃくエイナル・トロッチェ・トゥ・ロワイの妹、カナリア・ダイアモンド・トゥ・ロワイでございます。どうぞお見知り置き下さいませ」


 すでに席に付いているため姿せいを正し、姿せいを変えないまま品良くほほんでごあいさつさせていただきましたわ。


かんぺきだね」


「昨日から見ておりますが、マナーもきょうようもきちんと身に付けていていらして。今のところ、欠点がありませんわ」


「普通はしょうかいは立った状態で、女性はカーテシー。男性はボウ・アンド・スクレープで礼をするが……

 普通()ないこの状況でのしょうかいに、とっさにほほむだけの礼が返せるとは……。確かに、かんぺきですね」


が国ではどんな場合でも、目線を合わせる事がゆうせんされるからね」


「そうなると、頭は下げれませんものね」


「いえ、そんな……」


 正式なれいなら、こうしゃくかっさいもちろんしつの方のボウ・アンド・スクレープも、メイド達のカーテシーも、こちらの使用人の方たちの方がれいしょでしたわ。さすこうしゃくつかえる者はちがってね。私は、まだまだじゅくだわ。


とうかいが開ける城を持つ家は、まだ少ないもの。とうかいへは、一度しか出席した事がないのでしょう? それでは、あながどんなに自分がマナーを身に付けているか分かりませんでしたのね」


 そう……なのかしら? 私には、他の方たちの方がてきに見えましたわ。そう思うのだけれど、この日のお茶会では、こうしゃくじんのおめの言葉が止む事はありませんでしたの。

 ボウ・アンド・スクレープ

 男性のお辞儀。軽く右足を引き、左手を腹部に当て、右手は後ろに回すか自然に垂らす。武器を持っていない事を表す為、右手は体から離して、軽く浮かせるパターンもあるようです。

腹部に手を当てるのは敬意を。肩付近に当てるのは尊敬を表す。


 ―――――◇◆◇―――――


 誤字報告、ありがとうございます。


 お読み下さって有難うございます。お楽しみ頂けましたら幸いです。


 面白かった、良かったなど、お気楽に下の

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 にて、★1から★5で評価して下さいね。


 いいね!も、宜しくお願いします。


 続きが気になった方は、ブックマークして下さるとすっごく嬉しいです!


 感想や応援メッセージもお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【事実は小説より。異世界ライフがリアル】も宜しくお願いします。女の子が主人公の、異世界転移してからの日常の物語です。 【お父様!今時、深窓のご令嬢なんてもう古いのよ!―伯爵令嬢は、旅をして婚約者を見付ける―】も宜しくお願いします。 【貴族の家名と領地名は違うよ】も宜しくお願いします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ