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第五話 シン・霊感

まだ第五話なのに既に感想や評価が欲しくなった強欲な私をお許しください。


というわけで書き上がったので投稿します。

 あの後リーナちゃんが眠ってしまったので、私も彼女のつけているペンダントで一休みことにする。単純に私が休みたいっていうのもあるけれど、それ以上にこれは虫除けも兼ねていることだ。いろいろと魂をいじってしまった以上、妙な悪霊が寄ってくるかもしれない。私がいれば大抵の幽霊は手を出そうとなんて思わないでしょう。


 リーナちゃんにやったのは霊感の拡張手術だ。


 霊感というのは生前から魂がほかの霊魂を感じることができるってことで、それは要するに魂の形が人に近いっていうことなのよ。霊魂というのは本質的には通常の物質と同じようなふるまいをする。それはつまり魂がほかの霊魂からの情報を感じ取るためにはちゃんと()とか()とかが必要ということだ。だけど生者の魂は肉体という器に結びついてしまっていて霊魂の動ける余地がないから、生まれ持った形を変えることがないのよね。


 だから霊感を持っている人っていうのは生まれつき魂が目や耳を持っている状態なのだ。私はそこをいじった。普通はこういうことは生きている子にはできないんだけど、この子は魂と肉体の結びつきがほかの人よりも弱かったからできた。それこそなんで生きているのかが不思議なくらい。


 まあとにかくこれでリーナちゃんはすぐ死んじゃうことはなくなったと思うから、明日は街の案内をしてもらおう。







 ザザッ……をかく……ん…………の……かを……ザッ…………。


 称号:スキル創造者を獲得しました。


 ……ドを終了します。『スキル:シン・霊感』及び『称号:スキル創造者』をライブラリに登録しました。



******



スキル:霊感がスキル:シン・霊感に変化しました。







 おはようございます。リーナです。起きることはできました。生きてるって素晴らしい。


 実はまだ怖くて目を開けていないんですよね。これでもし開かなかったり、開いても何も見えなかったりしたらどうかと思って。


「へー、スキルって変化することあるのね。ちょっとネーミングセンスに言いたいことあるけど」


「うわっ! ちょっと急に隣でささやかないでくださいよ!」


 というかやっぱりこの幽霊、人のステータス見れてますよね。もう今更な気はしますが。


「ふむふむ。ちゃんと声は戻ったみたいね。よかったよかった」


「あ、本当ですね」


「ほらほら。早く目を開けて新しい世界を見てよ」


 このまま現実逃避していてもあいつに急かされるだけなので覚悟を決めて目を開けます。


 無事に目が開いたことか、ちゃんと目が見えていることへの安堵とかあったのでしょうけれど、私の感情はそれ以上の驚きに塗りつぶされてしまいました。世界はこんなにも鮮やかだったんですね……。


「お、その反応はちゃんと見えてるね。聴覚や触覚はどう?」


 言われてみれば、昨日は聞こえなかった音や感じなかった感触を感じることができています。


「大丈夫だと思います。えっと、これは?」


「霊魂。あと、たぶん魔素も感じれるようになってると思う。私は魔素を見れないからわからないけれど」


 霊魂? と魔素ですか。これもしやいわゆる魔眼使いというものではないでしょうか?


「とりあえずステータス見てみてよ。いろいろ変わってるから」


 もう見れていることを隠す気ないですね。


 いろいろと気になることが多いので、自分のステータスを覗いてみることにします。


リーナ 人族Lv.1 状態:疲労(小)

筋力:78

持久力:80

魔力:51/51

抵抗力:62

(鬲ょ鴨??1/71)

スキル

シン・霊感 料理Lv.3 荷運びLv.1

称号

なし


 あー、やっぱり一晩寝ただけじゃ疲れが取れなかったみたいですね。


 ……現実逃避はやめてこの妙なのと向き合います。霊感スキルが見たことも聞いたこともないスキルに変化しているのも気になりますが、それよりもなんですかこの訳のわからないものは。


「やっぱりこのスキル名はどうかと思うんだよねー。流行に乗りました! って感じで」


「?? なんのことですか?」


「いやこっちの話」


「それよりも! なんですかこの抵抗力の下についてるのは!?」


「何って、魂力だけど……?」


 こんりょく??


「って何ですか?」


「あれ、魂力ってステータスに表示されないの?」


「ステータスに表示されるのは筋力、持久力、魔力、抵抗力の四つだけのはずですけれど……」


「ジーザス! まさかの隠しステータスだったかー」


 どうやらステータスには普通は見えない項目が存在したようです。私も少しだけそれを見れるようになったということらしいですね。害があるわけではなさそうなので良かったです。


 となると問題はこのスキルですか。


「いろいろ試してみたい?」


「そうですね。それじゃあ外に」


 ぎゅるるる


「……その前に朝ごはんにしよっか」


 うぅ。恥ずかしいです。







 朝食を終わらせた私は早速今日の食事代と宿代のためにギルドへと来ていました。冷静に考えるとスキルの前に今日の暮らしが大事です。


「おー。この建物が冒険者ギルドだったんだ」


 さも当たり前のような顔をして付いてこないでほしいんですが。え? 私のペンダントに憑いた?


 ちょ、お母さんの形見に何してくれているんですか!? 教会行きますよ!?


「残念だけど、私聖属性無効のスキル持ってるから」


 そのドヤ顔やめてください。


 早速いつものようにお店の手伝いのクエストを受けようとすると


「こっちのほうがいいんじゃないかな?」


「ペット探しですか……」


「ほら。それよりも報酬額大きいよ」


「知らないんですか? ペット探しは地雷なんですよ?」


 ペット捜索のクエストは罠です。捜索に何日かかるかもわからず、しかもペットが死亡していたり別の人間につかまったりしていて見つからないケースも多いようです。受注可能ランクのわりに実に失敗率のかなり高いクエスト、それがペット探しです。運任せのクエストは受けたくありません。


「新しいスキルを試すチャンスじゃん。それ使えば直ぐよ直ぐ。私はもう見つけてるし」


「そういうことは早く言ってくださいよ。どこですか?」


「教えるわけないじゃん。自分で見つけないと練習にならないよ」


 わかりました。分かりましたよ。探せばいいんでしょ。その代わり私が見つけられなかった時は責任取ってくださいよ?


「あら? リーナさんがペット探しなんて珍しいですね」


「今日はちょっといつもと違うことに挑戦したい気分でして」


「そうなのね。向上心があるのはいい事よ」


 頑張ってね~という受付嬢のレイアさんの声を聴きながら、私たちはギルドを後にした。







「で、どうやって探せばいいんですか?」


「私が霊魂をばらまくから、それで帰ってきた信号から猫の魂の位置を特定して」


 ん? 今なんとおっしゃいました?


「んんん?」


「私が霊魂を」


「いえ聞こえなかったわけではないです」


「まあまあ。習うより慣れろっていうし、早速やっちゃうよ」


 ちょっと待ってはや


「えい」


 拝啓、あの時の私


 よくいろいろなものを我慢してくれました。お陰様で今も乙女の尊厳は守られています。たぶん。


 少し未来の私より


 隣でただでさえ底知れない雰囲気を放っている幽霊から、それを上回るとんでもない圧力を感じました。ヤバいです。ほら霊感を持ってないはずの周りの人たちも周りをキョロキョロしてるじゃないですか。おかしくないですか? もういっそ神々しささえ感じます。どうせろくなことにならないので言いませんけれど。


 いろいろと文句はありますが、少なくとも彼女が言っていたことの意味は分かりました。少しするとこの街と周辺の魂への距離と方角がなんとなく頭に浮かんできたのです。


「これは?」


「魔改造の成果かな。ちゃんと働いてるみたいでよかった」


「ちょっと待って下さい魔改造ってどう」


「それより、ペットはらしきものは見つかった?」


 本当に人の話を聞きませんね!? もう慣れましたよ。出会って二日目ですが。早く違う霊感持ちを見つけて押し付けたいです。

ちょっとした裏設定

幽霊は脳を持たないので生身に比べて若干思考能力が落ちています。はっきり言うと空気を読めません。幽霊はコミュ障なのがデフォルトなのです。

記憶力があるだけ優花はマシな方だったり。

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