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第十五話 新しい街でのお買い物

やっと更新できました。遅くなってすみません。

話の区切りの問題で今回は少し短くなっています。

 やってきましたエルメット子爵領コレットの街。王都に比べるとかなり小さいけれど、その分街のいたるところで煙が上がっていたり、鉱石を削る音が鳴り響いているから結構楽しい。


 トラブルもあって到着が一日遅れたものの誰も大きな怪我をすることがなく街へ着いた私たちは、みんなと別れたあと早速宿をとって街を歩いていた。


「さて、これからどうする?」


「そうですね……。七級の昇進試験は明日受けようと思うので、今日は街を見て回りましょうか」


「ほんとに? よっし、じゃあ鍛冶屋とか見に行かない? 金属加工の盛んな街だから、王都に無いようなものもいっぱいあると思うんだ」


 ひゃっほーい! 観光じゃー!


 観光地というわけではないから別に“映える”ような所はないものの、この世界のことを全然知らない私からすれば写真が出回っている地球の観光地よりもよっぽど目新しい。と、どうやらリーナちゃんが何かに目を付けたみたい。


「優花さん。このナイフとかどう思います? 獣の討伐も増えてくると思いますし、解体用に用意しておこうかと思うんですけれど」


「ナイフかー。私使い方は分かるけど、その良し悪しは分からないのよね」


 なんてったって()()()()()()に慣れたのは死後のことなのだ。普段使いする道具に関しては霊魂操作で自分で作っていたから物質の道具は全然詳しくない。


「嬢ちゃんはどんなナイフが欲しいんだ?」


「あ、えっと……」


「儂はウルード。この店のもんだ」


 ウルードさんの話によると、一口にナイフといってもその用途によって全く形状が異なり、解体用のものでも対象とする獣によって適したものが異なるらしい。どうやらこの世界は魔力の影響が大きいため、解体する際に気を付けるべき点もその分多いみたい。()()()では適当にやっても修復できていたから、ちょっと驚きだ。


 リーナちゃんは結局オードソックスな魔力の薄い哺乳動物用の解体ナイフを買うことにしたみたい。まあ妥当なところじゃないだろうか。下級で狩れる獣では哺乳動物が一番多いし。


「そうか。ところで嬢ちゃんは剣は買っていかねえのか? 見たところ剣士のようだが」


「いえ、剣に関してはこれがありますから」


 そう言って『アレディア』を見せるリーナちゃん。ウルードさんはしげしげとその刀身を眺めていたけど、やがてとんでもないものを見てしまったかのように目を見開いた。しかもちょっと震えてる。


「な、お、お、お嬢ちゃん。こ、これを一体どこで……?」


「えと、し……」


「し?」


「師匠にお借りしているものです!」


 え!? 師匠!? 初めて聞いたんだけど!?


「そ、そうか。取り乱してしまって済まない。なにぶん、ここまで見事な魔剣は初めて見たものでな」


「まけん?」


 魔剣? これは聖剣だけど、何か違うのかな……。というかこの世界って魔剣なるものが存在するんだ。……あ。もしかしてレイアさんが使ってたあのやたら濃い剣って、もしかして魔剣だったのかも。


「違うのか? 魔力の強い剣のようだから儂はてっきり魔剣かと」


「あ、その、師匠は何も言ってなかったので……」


「何も言わずにこんなものを弟子に貸すなんて、とんでもない師匠だな」


 リーナちゃんのせいで私のイメージがゆがめ……あれ? よくよく考えたら最初は彼女に何も言わずにこれを渡した気がする。もしかして別に何もゆがめられていない??


「あ、あはは」


 ねえリーナちゃん。何その苦笑い。ちょっとお姉さんとお話ししようか。


「まあ、そんなものがあるなら確かに武器を買う必要はないわな。や、それにしても良いものを見せてもらった。俺もいずれはそんな業物を作れるようになりてえもんだ」


「頑張ってください!」


「おうよ! お礼というわけじゃないんだが、ナイフの手入れがしたくなったらまたここへ来な。安くしとくぜ」


「ありがとうございます」


 という感じで、いろいろと収穫があった鍛冶屋を後にする。ちょっと見ていくだけのつもりが思った以上に得られるものが多かった。やっぱり地球ほど情報化されていない社会では一か所で情報を集めるのは無茶があったっぽいね。こうして外へ出ればすぐに新しい情報が手に入るし。







 お次にやってきましたのはアクセサリーショップの並ぶ街道。一般の平民も立ち入ることができるということで、店頭に並べられているのはグレードのかなり低いもののようだ。一級品なんかは厳重に保管されていて、王都とかに売られるのだろう。


「わぁ……。私、こんなにたくさんのアクセサリーを見たの初めてです!」


「王都でもこういうお店はあったんだけどね。貴族街に近いところに集中していたからリーナちゃんは見る機会がなかったんだと思う。こういう風に見ることができるのは、ここが原産地かつ製造地だからだよ」


「ほへー。そういうこともあるんですねー」


 うん。完全に浮かれてる。こういうところは女の子だなー。


 わたし? 私はほら、もう死んでいるから性別とか関係ないし。


 リーナちゃんはいろいろと気になるものが多いみたいで、あちらこちらに視線をさまよわせている。今も指輪に引き寄せられていって、あ、値段を見て帰ってきた。


「うぅ。流石に高いです」


「ナイフと同じぐらいの値段なんだけどねー。仕事道具に関しては必要経費だから財布のひもも緩むけど、嗜好品用のお金に関しては今の稼ぎだとなかなか貯まらないから。でも、ちょっと計算してみた感じだと、こっちで半月ほど頑張れば一つくらいは買えそうだよ」


「ホントですか!?」


「ほんとほんと」


 頑張れば、ね。普通の七級冒険者の稼ぎじゃまあ無理だ。だけど、リーナちゃんの場合は私がいるからね。ふっふっふ。いろいろと頑張っちゃおっかなー。


「うっ、今寒気が……?」


「気のせいじゃない? ところでリーナちゃん。アクセサリーと言えば私のねど、じゃなかった、その首から下げているペンダントってお母さんの形見なんだよね? それってなんて言う石なの?」


 そう、実は前々から気になってはいたのだ。彼女のペンダントにはめられている石はくすんだ桃色で、お世辞にも綺麗とは言えない。こういう街に来れば何かわかるかと思っていろいろと見てみたものの、似たような宝石は見つからなかった。それどころか、扱われている宝石で最低グレードのものでもこの石よりきれいなのだ。手製なのかとも思ったけれど、それにしては装飾が細かすぎるし。


「ねど……? あ、えっと、私にもよくわからないんですよね」


「というと?」


「お母さんにこれをもらったときに常に身に着けて絶対に手放さないように言われたんですが、それ以外のことは何も聞いていないんですよ。だからどういうものなのかは全く分かりません……。あ、でも、これは私のお父さんが残した大事なものだって言っていました」


「なるほどねぇ」


 うーん。常に身に着けて手放さないように、かぁ。何かあるような気もするけれど、今考えても何もわからなさそうね。ま、世界中を旅していくうちにいずれ分かるはず! 今はこの街を楽しむぞー!!

現在のリーナの装備品

借り物の聖剣

防具(皮の手甲&ブーツ)

哺乳動物の解体用ナイフ

形見のペンダント

その他魔法薬など


描写はしていませんでしたが、一応怪我をしやすい手足には防具を付けています。魔法込みの軽戦士スタイルなので、超軽装となっています。

こうしてみると、武器だけ明らかにバランス悪いですね。

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