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第一話 勇者召喚

一話目です。面白いと思っていただければ幸いです。

「やばいやばい遅刻するー!」


 私、霊群優花(たまむらゆうか)は今廊下を走っている。おそらく私史上最高速度だ。これには海より深く山より高い理由が


「せーっふ!!」


 キーンコーンカーンコーン


 ……単に遅刻しそうだっただけですはい。


「それじゃあ授業始めるぞー」


 ぎりぎりで滑り込むように教室に入ったにもかかわらずクラスのだれも私を気に留めない。理由は簡単だ。イジメられているわけじゃない。みんなとは仲が良かったと思う。でもみんな私を見ない。なにせ私は


「そういえば、もう優花ちゃんが死んじゃって二年もたつのね」


 幽霊だから。




 いやー、今日も先生の授業は神だったわー。行く必要がないのに死後もわざわざ高校通ってる価値は十分ある。


 え? 別にみんなに気づかれなかったからっていちいち落ち込んだりしないよ? こっちはもう二年幽霊やってるから慣れたもんよ。はいそこ嫌な慣れとか言わない。


「そういえばみんなはもうすぐ受験かーって、私のJKライフももうすぐ終わっちゃうの!? 死んでるからライフって変だけど」


 いつも通りの帰り道。すれちがったほかの霊たちと適当に挨拶を交わしながらフラフラと飛ぶ。


 ……飛ぶよりも地に足付けて走ったほうが早いってどういうことなの? 設計ミスにもほどがあるでしょ。全力疾走する幽霊とかホラーよりギャグだと思う。


閑話休題(それはさておき)

 まあそんな感じでぷかぷかしていた私は異変に気付かなかった。いや、気づいてもどうしようもない事なんだけど。いささか唐突すぎるプロローグは私の身に突然襲い掛かった。


「えっ?」


 私はその日異世界へと召喚されたのだ。勇者として。


 何で死者を召喚するのよ! 責任者出てこい!!






 白い光に包まれたと思うと、次の瞬間、私はどこかのお城の広間のような場所にいた。玉座っぽいのがあるから多分お城の謁見の間だと思う。


「どういうことだ」「確かに五人の勇者様を召喚したはずですが」


 何やらコスプレっぽい格好の人たちが戸惑っている。戸惑いたいのは私の方だよ。


「ここは?」「え? え?」


 左右を見るとこちらにも戸惑った様子の四人の男女が。皆制服を着ているから多分中高生だろう。あー、これあれね。今ネットで流行りのあれ。


「こ、こほん。あー、どうか勇者様方、我々の国を救ってください!」


 あ、なんか一番キラキラした服を着た胡散臭いイケメンが決め台詞を言った。このセリフを生で聞けるとは、人生何かあるかわからないものね。死んでるけど。


「まずは皆様混乱しておられるでしょうから、ひとまず落ち着ける場所へ案内いたしましょう」





 それから私たち、というか私以外の四人は客間のような場所へ案内された。もちろん私はそれについて行ったけど。なんかすでに嫌な予感が。


「えっと、ひとまずどういう理由で僕たちがここにいるのか教えていただけますか?」


「はい。実は」


 胡散臭い人、もといラルファスさんの話を簡潔にまとめると、どうやらこの国は今魔王軍によって危機にさらされており、その窮地を脱するために伝承の勇者召喚の儀を執り行ったらしい。テンプレ中のテンプレだ。ただどうやら本来は召喚されるはずだった勇者は五人いたらしく、四人しかいない現状に初めは少し戸惑ってしまったようだった。


 五人目はどう考えても私ですありがとうございます。いやいやいやいや


「そっちの事情なんて知らないわよ! そんなことより家に返して!」


「そうだ! そっちの事情に俺たちを巻き込むな!」


「わたしのじぇーけーらいふをかえせー」


 案の定というかテンプレというか、日本人の学生っぽい人のうち見るからに気の強そうな男女が食って掛かったので便乗する。私いつも思うんだけど、よく自分を誘拐した素性の知れない人間に口答えできるよね。怖くないのかな。


「この勇者召喚の魔法は魔王が倒されるまで続き、魔王が死ねば自動的に帰還が行われる仕組みとなっております。ですので皆様は魔王を倒す以外に道はございません」


「ふざけんなよ!」


 あーなるほどそういうタイプ。ていうかこのイケメン丁寧な口調で容赦ないな。


「あの、先ほどから話を聞いていて思ったのですが、僕たちは戦争とは無縁の平和な国で暮らしていた子供ですよ? そんな僕たちに魔王を倒せるとは思わないのですが」


「それに関しては心配ございません。勇者召喚の魔法によって皆様にはいくつかのスキルが授けられております。訓練さえすればすぐに魔族たちと渡り合える力を手にするでしょう」


 どんどんテンプレワードが出てくるから、手の込んだドッキリにしか思えなくなってきた。まあ幽霊にドッキリしかけられるわけないんだけど。私のこと見えてないっぽいし。


「スキルですか?」


「はい。自身の中をのぞくような意識を持ってみてください」


 わっ! なにこれ!?



霊群優花 人族Lv.- 状態:死亡

筋力:‐

持久力:‐

魔力:‐

抵抗力:‐

(魂力:28547/28547)

スキル

霊魂操作Lv.7 霊魂干渉Lv.6 霊属性攻撃Lv.5 勇者Lv.1 聖剣召喚 魂魄超強化Lv.1 聖属性無効 言語自動翻訳

称号

完全なる死者 死神を退けし者 勇者


「見えましたでしょうか? それが皆様のステータス、魂に刻まれた情報となっております」


 待ってなんかいろいろ変なんだけど、どこからつっこんだらいい? いや勇者の後に書いてあること以外は全部身に覚えがあるんだけど……。


「……どうやら本当みたいですね。あの、申し訳ありませんがすこし僕たちだけで話し合う時間をいただけないでしょうか?」

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