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トップアイドル参戦?!

本日2回目の更新です。

春休みもあとわずかで、そろそろ入学式。


そんなある日の事、ボクが家を出ると…。


「嵐山先輩!」

「ひなちゃん?」


この前ボクを出し抜いて第2ボタンを奪った前園ひなが堂々と顔を見せて来た。

ボクのユージに告白までしてさあ…。


家の前で偶然会った…じゃなくて、ボクが出てくるのを待っていたんだよね?


「この前、恋人つなぎして帰ってきていましたよね?」

「だって恋人になったからね」

「は?」


ぽかんとするひなちゃん。


「嘘ですよね?万年親友同士の先輩たちが、いつの間にそんなことになったんです?」

「ついこの前だよ」

「そっか。私が告白したから焦ったんですね。それで恋人のフリをしてごまかそうって」


半分くらい合ってるけど。


「じゃあ、これ」


ボクはカラオケで撮影した写真を見せる。


「こ、これはっ!」

「さらに、これとか」

「わわっ!」

「そしてこんなことまでっ!」

「あううっ」


がくっと崩れ落ちるひなちゃん。


「完敗です…」

「ふっふっふ」

「こうなったら第2夫人で我慢するしかありません」

「は?」

「正妻の座は譲ります!だから私が第2夫人になることを許してください!」

「いや、そこはあきらめるところだよね?」

「あきらめきれるわけないじゃないですかっ!小さい頃からずっと好きだったんですよっ!」


そう言われると同じく幼い頃から好きだったからすごく気持ちがわかってしまう。


「お願いです!これから邪魔しませんから!出入りの監視とかやめますから!」


やっぱりそう言うことしてたんだねっ!


「お願いしますっ!」

「ひなちゃん」

「はい」

「もし、逆の立場で、ひなちゃんとユージが付き合っていて、ボクが第2夫人にしてほしいって言ったらどうするの?」

「そ、それは…遠野先輩次第というか…」

「じゃあ、ボクも同じだね!ボクから認めることは無いから!」

「ううっ」


再びうなだれるひなちゃん。


「ふふ…」

「ん?」

「ふふふふふふふ」


急に怪しげな笑いをし始めるひなちゃん。


「私を退けたくらいでいい気にならないことね!」

「どういうこと?」

「私は『ユージ大好き四天王』の中では最弱!」

「それって一番愛が足りないってこと?」

「違うわよ!一番スペックが低いのよ!」


なんだ、そういうことなのか。

…え?こんなに可愛いひなちゃんで低スペック?


「吉原カンナ先輩や武田雪乃先輩、そしてっ!」


やっぱりあの二人もユージを狙っていたんだね!


「四天王最強の野上坂のがみざか清海きよみさんっ!」

「ええええええっ?!」


待って、待ってよ!


野上坂清海って、アイドルだよね?!


『電影下町少女団』のセンターだよっ!トップアイドルだよっ!


どこでユージとつながってるのさ?!


「どうしてって思ってるみたいね?」

「だって、どう考えてもありえないよ!」

「そのうち3人ともあなたたちの前に現れるわ。楽しみにしてるのね」


そう言い残して、ひなちゃんは自宅に帰って行ってしまった。


そのうちボクたちの前に現れるって何?!




「おーい、そろそろ行くぞ!」

「うん!」


ユージが迎えに来てくれて、ボクたちは自転車で道場に向かう。


ボクたちが総合格闘技を教わっている『明智武術道場』は自転車で20分くらい走ったところにある。


子供のころから毎週最低2回は通っていて、もう生活の一部だ。




礼が済んで、準備運動や柔軟を済ませて、技の練習を行う。


「たあっ!やあっ!はあっ!」


バシッ!ボスっ!ドカッ!


ユージの強い打撃や蹴りがボクの持っているミットに突き刺さる。


「いいよっ!すごくいいよユージ!もっと強くしてっ!そうっそこっ!」

「よしっ!どんどん攻めるぞっ!どうだっ!ゆかりんっ!」

「いいっ!もっと!もっとっ!ああっ!強すぎるっ!」

「まだまだっ!ほらほらほらあっ!」

「はあんっ!そんなにしたらボクのミットが壊れるよおっ!」



「あの二人のやりとり、なんとなくいやらしいよな」

「馬鹿っ、師範に怒られるぞ」



ふう、いい汗かいたあ。


「なあ、遠野と嵐山。おまえら二人、いつもと何か雰囲気が違わないか?」

「師範、わかります?実は俺たち恋人になったんです」

「そうなんだよっ」


「「「「「ええええええーーーーっ?!」」」」」



師範と師範代まで驚いているんだけど…そんなに意外かな?


「あの二人はずっと親友のままだと思っていたのに」

「やっぱり私が狙っても無理だったのね」

「残念だわ」


ふふっ、ユージが好きな子たちが悔しいがってるよ。


「嵐山さんが遠野のものになっちゃったのか!」

「ああ、勇気を出して告白すべきだったか?!」


え?ボクの事が好きな人も居たの?!


「残念だけど、ゆかりんは渡せないからな」


ぐいっとボクを抱き寄せるユージ。


「ボ、ボクもユージのことは渡さないから!」


「「「「「お前ら、爆発しろ!」」」」」


一度言われてみたかった一言を聞けてボクは大満足だよっ!



「しかし、そうなってくると大神明塾の女神・・がなんて言うかな?」

「あっ、師範、その話はヤバいですって」


何?『大神明塾の女神』って?




師範と師範代を問い詰めても口を割らず、他の人は誰も何のことか知らないらしい。


「俺も何のことかわからないけど」


でもユージも知らないから問題ないかな。




帰宅してからカラオケの写真を見ていたら、昔のユージの写真をみたくなって押し入れから引っ張り出す。


ユージは中学だけでなく小学生の時にも総合格闘技ジュニア日本一になってるんだよね。


その時の写真と新聞記事の切り抜きを見ていると…。


優勝 明智武術道場 遠野佑二

準優勝 大神明塾 野上坂清海


…トップアイドルとユージの接点があったああああっ!


大神明塾の女神って彼女かっ!


何?まさか戦った時に惚れたとか?

それで師範や師範代が知っているってことは、うちの道場にこっそり顔を出しているってこと?


しかもひなちゃんや近所の先輩たちと四天王を名乗っているとか、どこまで近くに来てるの?!


ピンポーン


お客さんかな?


「ゆかり!お客さんよ!」

「はいはーい」



「今日、隣に引っ越してきました、野上坂清海です」


うちの隣に越してきただとおおおっ?!


あれ?うちの隣って老夫婦のお家で、その隣がひなちゃん、それからユージの家だよね?


うちは角だから他に隣無いんだけど。


「もしかして、となりのおじいちゃんたちのお孫さんとか?」

「そうです」


やっぱりかっ!

そんな偶然あるんだ。


「えっと、挨拶遅れました。初めまして。嵐山縁です」

「今度、同じ高校に入るからよろしくお願いしますね」

「そうなんですか。でも、アイドルだからあんまり通えませんよね?」


と皮肉を言って牽制してみる。


「大丈夫です。高校3年間はアイドルをやめることにしましたから」


は?!


「学生らしく、恋に、勉強に、恋愛に、部活に、色恋沙汰に頑張ろうと思うので」


恋と恋愛って一緒だよね?

色恋沙汰って揉めること前提なの?!


無理やりボクたちの間に入ってくる気なの?!


「ふ、ふーん。頑張ってくださいね」

「遠野君は私がいただきます」


ぶっ!


直球の宣戦布告?!


「残念だったね。ボクたちはもう恋人なんだよ」

「でも結婚していないんですよね?それなら遠慮なく堂々とアタックさせてもらいます」


トップアイドルがユージに堂々とアタックするって何?!


「そんなことしたら、アイドルに戻れなくなるんじゃないかな?」

「そうなったら、遠野君のお嫁さんになるだけですから」


こんのアマああああああっ!

よくもぬけぬけとそんなことおおおっ!


「じゃあ、また入学式の日に会いましょう」


ぱたん


「あらあら、すごい人が佑二くんを狙っているのねえ」

「お母さん!感心している場合じゃないから!あの子、トップアイドルだよ!」

「でも、佑二君にとってのトップアイドルは縁じゃないのかしら?」

「しょ、しょんなことないからっ!ボクなんて…わああっ!」


恥ずかしくなって部屋に戻ってベッドにダイブする。


大丈夫だよね?大丈夫だよね?

ボクたち親友で恋人だもんね!

…恋人は嘘だったあっ!


でもでもでもでも、親友だから離れないよね!

高校では思いっきり恋人らしくして、あいつにあきらめさせてやるんだから!


トップアイドル相手でも、ボクは絶対に負けないんだからっ!

お読みいただきありがとうございましたっ!

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