生まれ変わったボクを見て!
タイトル少し変えました。
今日3回目の更新です。
4月になって、そろそろ高校の入学式。
そしてボクは今、3か月前から予約してあった有名美容室に居る。
伸ばした髪をセットしてもらって、生まれ変わるために!
んふふー。ものすごく可愛くなっちゃうもんね。
もしかしたらうんと綺麗になっちゃうかも!
そしたらそしたら、ユージはびっくりしてくれるかな?
『ゆかりん!なんて可愛いんだ!いや綺麗すぎる!』
なんて言われたりして!
『このままだと誰かに告白されてしまう。その前に俺のものになってくれ!』
なんてなんてっ!
とか妄想している間に全部終わっていた。
「いかがかしら?」
「んー」
思っていたのと何か違うよー。
もっと綺麗系の感じになると思っていたのに…これでイケメンなユージと釣り合うのかな?
「顔が幼いから髪型と合わないのよ。だから、ちょっとお化粧も教えてあげるわね」
えっ?そんなサービスついてるの?!
「ううう、化粧品高くて買えなかったよお」
でも、高い化粧品でも買いたくなるくらいにボクは、
ボクは!
生まれ変わったんだっ!!
「うわっ、あの子すっごくよくねえ?」
「うわあ、可愛いな」
「綺麗な子だな。カレシとかいるんだろうなあ」
んふふふふー。
家に帰るまでに男どもがひれ伏しているじゃないか(個人的感想)。
早くユージに見せようっと。
「ねえ、君。可愛いねえ」
「え?」
いきなり後ろから声を掛けられて振り返ると、ガラの悪そうな男の人が3人。
「ちょっとお茶しなーい?」
「カラオケボックス行こうぜ!」
「な、ちょっとだけだからさっ!」
「急いでるので」
ボクが無視して行こうとすると、ガシッと肩を掴まれた。
「つれないなあー。それなら、そこの公園のトイレでもいいからさあ」
「ちょっと楽しいことするだけだからさ」
「大声出すなよ。ぶん殴るぞ」
あっ、こいつら駄目な奴らだね。
「変態だああああっ!」
「何だって?!」
「どこだ?!」
近所の家の窓から次々と顔が出てくる。
『助けて』だと関わりたくない人とか居るだろうけど、『火事だ!』とか『変態だ!』とか言うと窓を開けて見ようとするんだよね。
「て、てめー!」
「この野郎っ!」
腹にパンチが来たのでそれを受け流して脇に手刀をぶち込んでやる。
「あがあっ!」
「このアマあっ!」
「何しやがるんだあっ!」
次々と襲い掛かってくる二人の攻撃をかわしてカウンターを決めるボク。
んもう、こういう時はユージがさっそうと現れて助けてくれればいいのに。
「こいつ、めっちゃつえーぞ!」
「くっ、逃げろっ!」
「覚えてやがれよ!」
「それなら忘れるまでやってやるか」
「「「へ?」」」
男たちが逃げようとする目の前に立ちはだかったのは、
「ユージ!」
「すまん、遅くなった」
ああんもう、ユージったらカッコイイんだからあ!
「どきやがれ!」
「ぶっ殺すぞ!」
「おらおらあっ!死にてえのかっ?!」
ナイフやメリケンサックを取り出して威嚇をする男たち。
「俺の大切なゆかりんに手を出しておいて、貴様らこそ生きて帰れると思うなよ」
ユージいいいいいっ♡♡
ユージはすごい速さで男たちを翻弄し、的確に攻撃をヒットさせる。
それも武器を持っている相手の腕に。
「あっ!」
「何で俺を刺すんだあっ!」
「いでえええっ!馬鹿野郎っ!」
複数名の相手が居る時にその武器で同士討ちをさせて過剰防衛と言われないようにする高度な技。
さすがボクのユージだねっ!
警察とか来て男たちはしょっ引かれて行ってボクたちも事情徴収を受けたけど、ボクの頭の中はユージの言葉でいっぱいだった。
『俺の大切なゆかりんに手を出しておいて、貴様らこそ生きて帰れると思うなよ』
大切だなんてえ♡
ユージいいいっ♡
警察からの帰り道。
「遅くなってごめんな。ゆかりんのお母さんから『ナンパでもされているといけないから迎えに行ってあげて』って言われたんだけどさ、道を間違っちゃって」
それで向こう側から来たのかあ。
「ううん、気にしないで。それよりもさ、あの、ボクの事を大切って…」
「当り前だろ?親友だからな」
だよねー。
きっとそう言うと思ったけどさ。
でもでもでもでも、それでも嬉しいよっ!
「ところでさっ、ボクの事見て何か思わなかった?」
「ああ、見事な技のキレだったな」
「そっちじゃないから!美容室行ったんだよ!少しだけお化粧もしてるし!」
「そっか。だからすごく綺麗なんだな」
「もうっ…今なんて?」
「すごく綺麗だなって」
「…よく聞こえなかったよ。なんて言ったの?」
「この距離で聞こえないのか?ゆかりんがすごく綺麗だな!って言ったんだよっ!」
んふふふふふー。
言い直させている間に録音しちゃったもんねー。
これでいつでも聞けるよおっ!
それにしてもボクの事を綺麗って言うのに少しは恥ずかしがってもいいじゃないか。
…あれ?ユージの顔が赤い?
「ねえ、ユージ。まさか照れてるの?」
「当り前だろ!周りを見てみろ!」
「あらあら」
「若いっていいわねえ」
「最近夫にあんなこと言われてないわねえ」
主婦の方々の生暖かい視線がああああっ!
「じゃあさ!せっかくだから、手、手とかつながない?」
「おう」
あっさりつないでくれるユージ。
もうっ!ドキドキとかしてよねっ!
「じゃあ、こうしてやるっ!」
ボクは指を動かして…恋人つなぎにしちゃったよおおっ!
これ、絶対駄目だああっ!
「あらあら」
「女の子が赤くなっちゃって初々しいわねえ」
「男の子のほうは余裕みたいね」
だから、なんでユージは平気なの?!
「なあ、これって確か…」
「な、なんだよ?」
「恋人つなぎだよな?」
知ってたあああっ!
鈍感の権化のユージが知ってたよおっ!
そこは『俺と握力勝負でもする気か?』なんてボケて終わるところじゃないの?!
「こ、高校に入るんだからねっ!異性の親友って珍しいから、手を繋ぐならこのほうが自然じゃないかって!」
あーもう、ボクもわけわかんないこと言ってるしー!
「ん?つまり高校になったら異性の親友ってことを隠したほうがいいってことか?」
「え?いや、そういうことじゃ…」
「つまり、親友であることはみんなに内緒にするんだな!二人だけの秘密にするとか、楽しそうじゃないか!」
「あ、うん、そうだね」
どういう意味かよくわかんないけど!
「それでこうやって『恋人のフリ』をすればいいんだな」
え?
「よし、高校では俺たちは恋人のフリをしていような!それで、二人っきりの時は親友に戻るんだ!」
ええええええええええええええええええええええええええええっ!
逆だよお!それは完全に逆だからあ!
普段は親友と言いつつも、二人っきりになったら甘々な恋人になりたいのにい!
ん?でも今でも結構甘々なような?
「いやあ、高校行くのが楽しみだな!同じ中学校だった奴らが驚くぞ!俺たちが急に恋人同士になるんだからな!」
「あ、うん、そうだね」
同じ相槌しか言えなくなるボク。
どう返事したらいいんだよお!
「さっそく、家に帰ってみんなに言うぞ。『俺たち付き合うことになりました』ってな!」
「えっ?!学校だけじゃないの?!」
「だって、『親友なのは俺たち二人だけの秘密』だろ?」
「あ、うん、そうだね」
凄い乗り気で止められないよお!
お読みいただきありがとうございました!
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