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恐るべしニンニクチューブ

女性視点ですが主役の親友である男性が多くの女性に迫られる仕様なので、男性向け作品なのか女性向け作品なのかよく分からなくてすみません。

ユージのお母さんから頼まれた買い物に付き合って、ボクたちは二人でスーパーに来ていた。


「急にごめんな。頼まれていたものが多くってさ」

「埋め合わせはしてもらうからね」

「じゃあ、今晩うちに食事に来るか?すき焼きなんだぜ!」

「行く行く!」


良く遊びに行ってるし、昼ご飯とかもごちそうになってるけど、夜ご飯一緒とかは久しぶりっ!


「それでさ、新しいゲーム買ったから一緒にやろうぜ!」

「いいねえ!」


こうやって気軽に遊べるところが親友のいい所だよね!


「それで、買い物のリストは?」

「これだ」



・すき焼きの材料

・醤油

・砂糖

・みりん

・排水溝の網

・キッチンペーパー


「すき焼きの材料」なんて漠然としてるけどユージの家の買い物は慣れているから楽勝だよ!


「これとこれと」


ボクはカートの中にすき焼きの材料をどんどん放り込んでいく。


「糸こんを8袋と」


ユージの家のすき焼きは黒い糸こんにゃくがたっぷり入るんだ。


「それから醤油はこれで、みりんは…」


ユージは全然覚えられないらしいけど、ボクはユージの家の調味料の銘柄とか完全に覚えている。


何しろ、一緒に料理を手伝ったりもしてるからね!


「あとはお肉だね。予算はどのくらいなの?」

「今日はこのくらいで」


ああっ、諭吉様っ!


「何かのお祝いなの?」

「さあ?でもこれで買ってきてって言われたからさ」

「それなら商店街のお肉屋さんに行こうよ!」


ボクたちはちょっと離れた商店街まで行って、お肉屋さんに入る。


ここのお肉屋さんはいい肉を売っているんだけど、それだけじゃないんだ。


「いらっしゃい!よっ、若夫婦!今日は何が入り用ですっ?」


ボクがユージと来ると必ず『若夫婦』って言ってくれるんだよ!

しかも中学校になってからずっと!


もう嬉しくて嬉しくて。


「夫婦じゃなくて親友だよ」


こうやってユージに否定されなければもっといいんだけどなあ。


「もう高校になるんだろ?ゆかりちゃんをしっかり掴んでおかないと、誰かに取られちゃうぞ」


そうだよそうだよ!

おじさん、もっと言ってやって!


「別に大丈夫じゃないの?」


ユージも少しは危機感持ってよおっ!


「そもそもゆかりんは誰にも渡す気は無いから」


はうっ!

またそういうことをさらっと言う!


もうっ、ユージったらあ♡


「その一番いいお肉をくださいっ!」

「おい、ゆかりん。それ焼肉用だぞ。今夜はすき焼きだろ?」


しまったあああっ!

嬉しすぎて間違えたあっ!


むう、肉屋のおじさんもニヤニヤしてるしい。


「こっちのすき焼き用のお肉をください」

「毎度ありっ!」




「では、こちらになります」

「あれ?ニンニクチューブなんか頼んでないけど?」

「それはサービスだよ。すき焼きに入れるとうまいぞ」

「えー」


そんな変わったすき焼きにする気は無いんだけどなあ。


「彼氏が草食系から肉食系になるかもよ」

「さっそく入れてみますっ!」


それならぜひぜひ試さないとねっ!



二人で買い物袋をぶら下げて歩いていると、中学の同級生に出会った。


「ゆかり、久しぶりっ!また二人で買い物なの?」

「玲香、久しぶりだねっ。今夜はユージの家ですき焼きをごちそうになるんだ!」

「いいなあ」


その『いいなあ』はすき焼きに対して?それともユージと一緒に食事ができるから?


絶対にユージは渡さないからね?


「あははは、何て表情かおしてるのよ。別にゆかりたちの間に割り込む気は無いからね。まあ色々・・頑張って」

「うん!」


こうやってクラスメイト達はボクたちの仲を生暖かく見守ってくれている。



「ただいまー」

「ただいまー」


本来ならユージの家に行ったら『こんにちは』とか言う所だけど、物心ついたころから通っていたから『ただいま』って言ってるんだ。


「二人ともお帰りなさい」


ほら、こうやってユージのお母さんも言ってくれてるし。




すき焼きの準備はボクも手伝うことになった。


「…を出してもらえる?」

「はーい」


調味料や食器の位置も完璧に把握してるから、まさにお義母さんの片腕!


「私も手伝うね」


そこにやってきたのはユージの妹の遥ちゃん。


今度中学生になる、お兄ちゃん大好きっ子。


ボクにとっても可愛い妹みたいな存在だよ!



「ねえ、ゆかりお姉ちゃん」

「なあに、遥ちゃん」

「高校になったらお兄ちゃんと付き合うの?」


ぶぶーっ!


「もう、遥ったら馬鹿なこと聞くのね」

「お母さんもそう思わないの?」

「だって、もう二人は付き合ってるじゃないの」

「ちょっ、お義母さん!」


わたわたしてしまうボク。


「ボクたちはまだ付き合ってないからねっ!」

「『まだ』?」

「はわわっ!」


らめえ!きっとボクの顔、真っ赤になってる!

今、ユージに来られたらどうしよう!


「あっ、お兄ちゃん」

「えっ?あっ、あの、ボクたちまだ付き合ってないよね?あっ、『まだ』ってそういう意味じゃなくて…あれ?」


ユージはどこに居るの?


「むふふふ」

「にひひひ」


ニヤニヤした表情でボクを見ているお義母さんと遥ちゃん。


だましたなーっ!


「こんなにわかりやすいのに、どうしてうちの息子は鈍感なんだろうねえ」

「鈍感だから他の人と付き合わないで済んでいると思うんだけどな」


遥ちゃんの言う通りだよなあ。

ユージってイケメンで勉強もできて運動神経も良くて優しいから、ボクの居ない時に結構告白されたりラブレターもらっているんだよね。


全部『今は恋愛に興味無いから』って断ってるみたいだけど。


「ところで、どうして今夜はごちそうなんです?」

「佑二とゆかりちゃんが同じ高校に進学するお祝いよ」

「え?ボクも?」

「だって、佑二に面倒な買い物を頼むといつも縁ちゃんが一緒に買ってきてくれるでしょう?だから当然来てくれると思ったのよ」


ボクたちの行動パターンまで読まれているなんて!


「そう言えば、頼んでなかったニンニクチューブが入っていたけど」


あっ…


「それは商店街のお肉屋さんがおまけしてくれたんだよ。すき焼きに入れるとおいしいって」

「ふうーん」


何、その意味ありげな表情は?


「私と旦那様も幼馴染でね、あなたたちみたいによく一緒に買い物に行ってたのよ」


それは聞いたことあるけど。


「ある時、商店街のお肉屋さんにニンニクチューブを『おまけしておくよ』ってもらってね」


ま、まさか?


「その晩だったわねえ。私たちが結ばれたのは」

「きゃー、すごーい!」


遥ちゃんは小学校卒業したばかりのくせに『すごーい』じゃないよ!


「ふーん。そんなことがあったんだ。ま、ボクたちには関係ないけどね」


ボクは平静を装ってみる。

本当は心臓がバクバク言ってるけどねっ!


「じゃあ、今夜はお泊りね」

「そうそう!お兄ちゃんがゆかりお姉ちゃんと夜通し新しいゲームをやるって言ってたから!」


ユージってそんなこと言ってたの?!


「それならお邪魔虫は退散しないといけないわね。ちょっと待ってて」


いきなりどこに電話してるの?


「恵ちゃん?わたしー」


うちのお母さん?!


「そうそう、今夜は縁ちゃんを泊まらせるつもりだから、私たちをそっちに泊まらせてもらえる?ほら、あなたたちもそうだったでしょ?お肉屋さんからニンニクチューブもらってきたのよ」


うちの両親もそうなのっ?!

恐るべきお肉屋さんのニンニクチューブ!

お読みいただきありがとうございました!

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