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二人の孤独


 「疲れたー。もう何もしたくなぁーい。」

 シルビィは宿のベットに飛び込み、足をパタパタさせている。

 「俺も疲れた…休みたい…。」

 ここ数日で俺の人生は急激な展開をみせていた。さすがに心も身体も疲れきっていた。

 荷物を床に降ろして、俺も床に座り込んだ。宿の部屋は簡素な作りで、8畳程度の部屋にベットがあるぐらいだった。

 「ところで俺の部屋は隣?」

 「?この部屋だよ。一部屋しかもらえなかったんだー。」

 何を行ってるんだ?といった顔でシルビィは見つめてくる。

 「へ?それは、マズくないか?」

 イヤイヤ、だめでしょーよ。まだ知り合って時間もそんなにたってないし、男女だぜ!?そんでこの部屋、ベッド1つしかないし!

 「大丈夫だよー。私、襲ったりしないし。」

 それは、逆を想像するところだと思うな、シルビィさん…。

 「んー。もうだめ!もう暗くなってきたし寝ちゃいましょ?」


 

 結局、こうして同じベットで横になっているわけだが…

 「(俺が床で寝るという選択肢もあったな…。)」

 そんなことを思いながら、シルビィに目をやってみる。さっきお風呂に入っていたせいか、石鹸のいい香りが漂ってくる。

 「(いやいや、俺は変態かよ?!何考えてんだ!)」

 明らかに赤面しているだろう顔をすぐさま背けた。もう寝ているだろうけど、緊張している様をみられるのは恥ずかしい。

 「ねぇ、アーロイ?」

 寝ていると思ったシルビィから声をかけられ、一瞬仰天したが話しにゆっくり耳を傾けた。

 「驚かせてごめんね。一つ話があって、」

 「何?」

 「私がどうして一人で旅をしているかって理由。」

 「…」

 確かに、魔王を倒しに行くのに一人きりのパーティでは心もとなさ過ぎる。

 「私も最初はパーティ組んでたんだ。戦闘で私が活躍する度にみんなの態度が変わっていってね。いろんなパーティ移っていったけど、結局ひとりぼっちになっちゃった。」

 あぁ、そのパーティメンバーの気持ちはわかる。実力差に自尊心が保てなかったんだろう。あのシルビィの実力なら劣等感を感じて除外しても仕方ない。

 「何だか私って上手くやれないんだよね。」

 シルビィから悲しみが伝わってくる。彼女も孤独を感じていたんだと知り、俺は共感を感じていた。

 ニートの俺とは少し違うかもしれないけど、誰にも理解されない悲しさはそうなってみないと分からないよな。

 「えっ!?」

 そんなことを考えていたら、自然とシルビィの手を握っていた。

 「あっ!!ごめん!変な意味じゃないんだ!」

 「ふふっ。大丈夫、ありがとう。」

 一旦離してしまった手をシルビィは、再び握り返してきた。横を見るとシルビィの笑顔があった。

 俺は彼女の役に立っていけるのだろうか…二人は目を閉じ、静かに眠りについた。

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