無職→無職
-俺は今、絶望している。
異世界、それはパラダイス!周りのやつらは、「前世の記憶」?とか言うやつを思い出したらしく成り上がりを果たしてる奴らが沢山いた。それに比べ俺は親におんぶにだっこ。日がな一日をほとんど睡眠に捧げてる始末だ。何かやってやる!という気持ちはあるのだか、どうにも身体が動かない。
そんなある日俺にも転機が訪れた。俺にも前世の記憶とやらがあったらしい!そして、それを思い出したことが絶望の始まりだ。
俺の前世の職業はニートだった。
「いや!今と変わらねーよ!てゆうか、職業でもねーし!」
暴れまわったところで現実は変わらないのだがそうせずにはいられなかった。そして、枕をつかみ投げる。
ボフッ-。
何かに当たったようで、目を向けてみる。ずるずる落ちる枕の下には鬼の形相の母がいた。
「アーロイ…なに騒いでいるのかしら??」
「いやーー。これは、、、」
「問答無用!!」
母の怒号と共に姿が一瞬揺らいだ。目で追うよりも早く後ろに回り込んだかと思ったら、頭に激痛が走る。
「いてー!ヘッドロックはやめろー!」
「今日という今日はもう許さん。店の手伝いをしないのは大目にみるとして、上でどたばたと商売の邪魔をして!!」
「商売って、ほとんど客も来ねーじゃねーか。俺は今、つらい境遇に心を痛めてるんだよ!」
母の力が弱まるのを感じた。心を痛めている俺を気に掛けてくれたのか。俺は母の優しさを思って振り返ったが、俺の感情は裏切られてしまう。
「あたしも、もう限界だわ」
怒りのオーラが絶頂に達しているのを感じる。気迫に押し負けている俺の襟をつかむとそのまま一階の店先まで下ろされた。俺の家は、二回が居住スペース。一階で道具やを営んでいる。
「売り物にもならんクソ息子が!せめてその臓物でポーションでも作ってやろうじゃないか」
目が血走っている。
母は、店の壁に飾っている身の丈ほどの大斧を持ち出した。
「殺す、、」
大きく振り上げられた大斧は、真っ直ぐ俺の頭上へ振り下ろされた。
「(あぁ、終わったな。俺の人生なんて転生してもしょーもなかったな。)」
うつむき、人生を振り返っていたが、いっこうに斧の衝撃が来ない。
恐る恐る顔をあげると、母の振り下ろした斧を剣が受け止めていた。
剣の持ち主に目を向けると、そこには俺と同じ年頃の女の子がたっていた。
「それは、商品なんですか?壊すぐらいなら、私が買いますよ。」
この少女の登場で俺の物語は大きく動き出す。