双子
「だんだん執着しはじめて、キョウの髪と魂を欲しいというようになった」
リゾは、これまでのことを話した。
キョウの髪の毛を手に入れるため、ファウを誘拐したこと。そのために一番隊と二番隊に攻撃をふっかけたこと。
その後は雨を降らせて、クスナとキョウに助けられたことも。
そういえば予想に反してこの地は残ってるな、とリゾは思った。
クスナに場所を特定されたわけだから、いずれここに兵たちが攻めてくる、ぐらいのことは考えていたがそうはならなかった。
結局、今もこの地は残ってる。
結果、レンはこの地で葬ることができた。
その魂は静かに眠ってることだろう。
すべてを聞き終えたカーラは悲し気に呟く。
「そう、ここの水脈を開いてくれたキョウの髪と魂を奪ったんだ…… 止めて欲しかったな」
「カースと同じこと言うんだな」
リゾもぽつりと呟いた。
「双子だからね、根本は同じよ。双子二人で一人の女に惚れたんだから世話ないわ。そうか、カースが同じこと言ってたのなら尚のこと止めて欲しかった」
「俺は、なんと言われようとレン様の望みを叶えたかった」
その言葉にカーラは返事できなかった。
かわりに、カーラはこんな忠告をした。
「あなた、環境維持ロボを操る時は鍵を掛けた方がいいわよ」
「あぁ。鍵が開いてたか。気を付ける」
そもそも鍵さえかけていれば、ファウどころかカーラですらこの家には入れないはずだったのだ。
* * *
「私も話したいことがあるんだけど」
ファウは、キョウの家に飾られている、とある剣を指さした。
先ほど、ファウが消えた辺りに飾られていたものだ。
「この剣に覚えはある?」
「父さんのだと思うけど?」
キョウの父は鍛冶屋である。今はどこか放浪の旅に出てるらしい。
「ここにこんな水晶はついてた?」
ファウの質問にキョウは首を傾げる。
たくさん武器が飾ってあるから、一つひとつしっかり記憶してるわけではないのだ。
「たぶん、これ、前に出入りしてた環境維持ロボが仕掛けたんだと思う。この水晶で念じるとリゾのあの結界の中に行けるの」




