指名
それもムリはない。
一番隊と二番隊の合同訓練中に襲撃されたのだから、二番隊の誰か、あるいはレファイ家の誰かが謁見に向かうべきだと長老以外の皆が思っただろう。
だが、この後の長老の言う『レファイ家に恨みのある者の犯行かもしれない。レファイ家の者は家を守るべきだ』という言葉に納得してしまっていた。
さらには、謁見に赴くのは魔導師の肩書もあるクスナが最適ということも言っていた。
それに皆納得したのだが、なぜか帰って来た長老は怒り心頭だった。
ゲイだの男娼だのとても汚い言葉でぶつぶつ罵っていたので、弟のガイルに聞いてみた。
神殿に近づくにつれクスナが具合悪そうにしていて、島に着いた頃には立っていられないほどになっていたのだという。
それで謁見に赴くのはムリという判断で、神殿の外でクスナは待機していたのだが。
最高位のケイはわざわざ神殿から出てきて、クスナを介抱したのだという。
だが、それは介抱というよりも、ハグしたり妙に体を密着させたりしていたのだとか……
その様子はケイの方がクスナを気に入ってたようだったとか。
そんな話を思い出しながら、ミンは、自分が叱られなくて済んだことをほっとしたりもしていた。
* * *
次の日――
一体の環境維持ロボが中央の泉の前にいた。
泉を通り抜け最高位の住まう神殿へと行きたいのだが、泉に入れずにいた。
キョウだった。
キョウは水の前で二の足を踏みつつ、結局は諦めた。
そんなキョウは小舟に乗って、謁見に向かう長老とクスナと兵士を見た。
――昨日も謁見に行ってたのに?
キョウは不思議に思ったのと同時に、神殿に行けるのがうらやましくもあった。
* * *
クスナは、自分が謁見の場に呼ばれたことに少々驚いていた。
いろいろ秘密を知りすぎてしまった気がする。
――まさか、口封じ?
そんな不安もよぎった。
……いやいや、さすがにそんなことはしないだろう。
というわけで、長老とともに神殿に来た。




