ミンの好奇心
「キョウ・テセティアに何をしたか教えていただきたい」
緊張した面持ちのミン・ラテーシアは、最高位ケイに詰め寄った。
ルウの地中央の神殿でのこと。
長老は定期的に謁見に赴く。今日はそれに姪のミンが同行していた。
ミンの発言に長老は慌てる。
キョウが髪を奪われた事件は外部からの愉快犯ということで一応は終わったことになっていたのだ。それ以上は詮索するなという最高位からの決定を伝えたはずなのに……
「おい! 何を言ってるんだ。――すみません、ケイ様。口外するなと民衆ともども言い含めてはおりますので……」
「いや、いいよ、長老」
と、いうケイは今日は仮面をつけている。
ドクロをモチーフにした不気味な仮面だが本人は気に入ってるらしい。
「彼女の意見を聞いてみたいね? さっきの言い方だと犯人は僕だと決めつけてるようだけど」
仮面で表情は見えないが、くぐもった声は笑ってるようだった。
「中央の広場に一番隊と二番隊がいて、その中から隊長を一人攫うなんて不可能です。それこそ最高位の誰かじゃないと説明がつきません」
と言うミンの言葉は、以前長老に聞いたことだった。その時は誤魔化されて終わった。
「無礼者、最高位を侮辱するな。――すみません、ケイ様、後でよく言い聞かせます」
長老がミンの頭を掴みムリヤリ下げさせようとする。
ミンはそんな長老の動作を予測していたのか、さっと身をかわした。
「キョウは髪の毛とともに魔力も失っています。でもそれでいて邪眼にかからないのはどういうことです?」
それを聞いて、ケイは仮面の下でほうと息を吐いた。
「邪眼にかからない? 興味深いね」
ケイは何か思案しているようだ。
その目は、目の前のミンをじっくり見ていた。
「ということはきみはキョウ君に邪眼をかけたのかい? いいね、僕にもかけてほしいね。その後、ベッドを共にしてくれたら教えてやってもいい」
それを聞いて、ミンの動きが止まる。




