黒い人影
近くで見てみると、毛は、虹色に輝き、埃が1つもなかった。さっきの、爆発の影響が全く感じられなかった。吸い寄せられるように、毛に触ってみると、さらさらしていて、何だか、眠くなるような、優しい感じだった。さらに、ちょっと太っているような感じがした。
「このモンスターって生きてるの?死んでるの?」
「サリー。モンスターは、生きてるよ。微かな呼吸がする。」
「だったら今すぐに逃げよう!ここにいても、襲われちゃうよ!」
「逃げたらダメなんだ。よく回りを見てごらん。サリー。僕たちは、ここから出られないようだ。」
サリーが、恐る恐る回りを見てみると、黒い人影が、一面をうめていた。その数およそ100万体
「ど、どうやって逃げ出すの?」
「僕は、逃げ出すことを考えてない。このモンスターを助けたい!だから僕は逃げない」
「本気で言ってる?マーヤの命が危ないのよ!」
「僕は、どうなったていい。このモンスターは………赤ちゃんがいるんだ。」
「………………はぁ」
「マーヤ今回だけだからね。本当はこういう事をしたらダメだってわかってるでしょ。とにかく、この数をどうやって倒すの?」
「僕は、剣士だ。この数一人で対処する。」
マーヤは、殺気をまといながら、黒い人影の方に、一歩一歩ゆっくり歩いていった。
黒い人影から5m離れたところで、マーヤは、立ち止まった。
マーヤは、腰にかけた剣に手をかけた。その瞬間に、回りは、音がなくなった。
剣を抜いた。
風の音に耳を澄ませたが、当たり一面は、木々が無くなっているせいか、木々の擦れる音はしなかった。剣を抜いた事を、歓迎されないように、死んだ風の音しか聞こえなかった。
「ウォォオオ!」
剣を振り上げ、黒い人影の方に走り出した。
「グシャグシャ」
マーヤは、剣で黒い人影を切った。数えきれないくらい。黒い人影からは、腐敗した匂い、ただれた皮膚、刺した瞬間に出てくる酸化した黒い血の色。それが、当たりを一面を覆った。
『早く倒そう!サリーに指一本触れさせないようにするには?早く倒す方法は?』
マーヤは考え事をしていた。そのせいか、後ろから来る人影に気付かず、襲われた。
「「ウォォアア!!」」
マーヤは肩を噛まれ、あまりの痛さに、叫んだ。
「「ウォォアア!!」」
その声は、無いはずの木にこだましたかのように、響き、そして、永遠のような苦しみを、マーヤは味わった。
「マーヤァァ!!!」
サリーは、喉がかれるくらい叫んだ。