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6、初戦闘

 さて午後。早速錬金術を教えてくれた呼び込みの人に話を聞く。


「私は雇われ冒険者ギルト職員なのでそんな詳しくないんだ! スキルの付与だけできるんだ! それだけしかできないんだ!」


 明るくぶっちゃけられた。ひどい。

 だから詳しいことはちゃんとした錬金術ギルドで聞け、ということらしい。そして錬金術ギルドは『ホワイトブリック』と『クレセントモリオン』にしか無いらしい。ホワイトブリックはともかくクレセントモリオンってどこだよ。

 まぁ、ホワイトブリックは中央の街らしいし、普通にマップも繋がっているのでなるべく早く行くとしよう。ワープポータルを開放すればすぐ戻ってこられるらしいし。


 そういえば錬金術はスキルを取得できたもののクエストは発生しなかった。アビリティも使えない。

 ……何のために受付おいたのかな?

 この分だと、隠し条件や特定の街でしか取得できないスキルとか、いろいろありそうだ。


「しゃーないな! 狩りに行くか!」


パッシブスキルは持っていないので空欄。アクティブスキルは剣術。装備は完全初期装備。レベル10までデスペナルティが無いからポーション系の回復薬もいらない。場所は東の森。うさぎがいるって言ってたからな。


 フォレストジェイドの東側はわりと開けた明るい森で、草も生えていた。木の枝を拾い、土をつついて草を引っこ抜きながら兎を探す。入り口近くはやや混雑しており、フリーのMOBはすぐには見つからなかった。奥へ向かっているとあっという間に草ばかり20本ほど集まった。薬草とか混ざってるといいなぁ。小石と小枝も更に集まった。


 ゲームらしくインベントリがあるが、持てるアイテム量が容量と重量と枠数それぞれに上限がある。枠数はバックなどを装備すると増える。それから、DEX(器用さ)が上がると容量の上限が増え、STR(ちから)が上がると重量の上限が増える。


 力が強ければ重い物でも持てるし、器用なら上手に荷物詰め込めるでしょってことらしい。なお、上限を超えると、動きが遅くなり、敵に攻撃できなくなるらしい。そのうちどんな感じなのか試してみたいところだ。

 ひとまず今は余裕がある。できたらパンパンに詰めて帰りたい。


『ぴろん♪ スキル【採取】を取得しました』


 行動でスキル取得ってこういうことでもあるのか。これはいろいろ試さねば。

 おっ 芋虫発見。1メートルくらいある。結構大きいな。投擲スキルをセット。最初の1回はアビリティを使ってみよう。


「<チャージ>!」次の投擲ダメージ増加効果だね。


 石を投げる。投げる。投げる。逃げる。投げる。逃げる。投げる。逃げる。

 芋虫は動きが遅いから投擲の格好の的だ。それにしても石だとダメージが少ない。攻撃すると芋虫のHPゲージが見えるようになったのだが、ちまっちまっとしか減らないのだ。

 ナイフでも投げたらもうちょっとマシなんだろうが、初心者短剣(短剣スキル取得時にもらったもの)しか持っていないので、もったいなくて投げられない。なお、投擲スキル取得時の支給品は特になかった。石袋とかくれてもいいのに。


「これで最後ですねっ、と!」


 もう一度石を投げると芋虫は光となって消えた。

 視界右下に表示させているログウィンドウに、経験値取得と「やわらか触角」を取得したメッセージがあった。やわらか触角が何の役に立つのかは不明だが、投擲術のクエスト達成条件は満たしている。そこからはサクサクモンスターが見つかり始めた。【剣術】用のうさぎに、【短剣】クエ用はまた芋虫。


 あと変わり種は縄術クエストで、瀕死にしたうさぎに<捕縛>アビリティを使用。縄でつるしてお持ち帰りで条件達成。……簡単に書いてみたが、実は結構大変だった。瀕死にしても激しく動いてなかなか成功せず、結局罠みたいにしてなんとか。

 ん? 【罠術】って勧誘合戦してた中にあったよな、後で取ろう。


 なお、まだ生きている判定なのか<捕縛>されたうさぎは足を縛られた状態で消えずに残っている。もしかして、解体のスキルとかでリアル解体できるとか……。ゲーム趣向的には無さそうだけど。

 なお、うさぎ捕獲までの間に、こっそり近づくことを繰り返していたらパッシブスキル【隠密】を取得した。もちろん早速セットして狩りまくった。危うく縄術クエストを忘れるところだった。


 気が付いたらレベルは10だったし、クエストの達成条件も満たしたし、インベントリもそろそろ容量がやばいし、うさぎの荷物もあるので、ひとまず報告に戻ることにする。

 

 

        ・・・



「確かに倒してるな! よし、このスキルを教えてやろう」


『ぴろん♪ スキル【斬撃ダメージUP(微)】を取得しました』


 この調子で報告できるものは報告。

 報告すると、毎回、毎回、冒険者ギルドがあそこにあるよ! そこでいろいろなクエストが受けられるよ! と丁寧に教えてくれた。これは遠回しに、オマエまだ行ってないだろちゃんと顔見せしやがれ、と言っているのだろう。今から生産活動したいし、せっかくなのでいろいろ聞きに行ってみようと思う。


【クリティカルUP(微)】短剣術クエストで取得

【命中UP(微)】投擲術クエストで取得

【捕縛UP(微)】縄術クエストで取得


 パッシブスキルがいきなり増えた。……が、せっかく増えたけれども、セットするのはどう考えても【隠密】だよなぁ。

 ちなみに、狩りをしていた時の最終的なスキルセットはこんな感じである。


パッシブスキル:【隠密】

アクティブスキル:【剣術】【短剣術】【投擲術】【縄術】【採取】

 

 

        ・・・



「こんにちは! ようこそ冒険者ギルドへ!」

 お約束に違わず、きれいなお姉さんが受付に並んでいる。イケメンは配置しなくていいんかな。なお、そのほとんどがエルフの模様。当然美形ぞろいである。この街のギルドの受付嬢レベルは他の追随を許さないんじゃないだろうか。

 プレイヤーも含めて見目麗しい人が多いのでだいぶ見慣れてきてはいるけど。

 入り口にもふよんとサイズが大きめのエルフのお姉さんがいて、迷っている人を案内してくれるようだ。


「冒険者登録はお済みですか? 何かお困りですか?」

「納品クエストがしたいです。あと、物を作りたいんですがそういう施設があれば教えてほしいです」

「畏まりました。ご案内します。また、物造りでしたらクラフターギルドで工房を借りられますのでお勧めですよ。地図に印をつけますね!」


 右上に表示されているミニマップが急に目の前に広がり、ぴこんという音とともに赤いマークが地図マップ上で点滅する。3回点滅したところでフラッグになり自分のマップにマーキングされた。マップのフラッグをタップすると、「クラフターギルドへの案内を開始しますか?」というウィンドウが出た。相変わらずの親切設計だ。ひとまずいいえを押す。


 いつのまにかマップはミニマップに戻っていた。


 お礼を言って、案内されたクエストカウンター(と上の方に大きく書かれていた)に移動する。


「すみません、今持っている素材でできる納品クエストをしたいんですが」


 こんなあいまいな聞き方でNPCさんと会話が通じるだろうか。最近のAIはだいぶすごいとは聞くけれど。


「冒険者カードを拝見します」


 にっこり笑って返された。問題なく通じるようだ。

 カードを読み取り機のような物にかざして確認している。どこまで情報って抜かれるのかな? あ、いやこれゲームだからシステム上は運営に筒抜けだったわ。


「冒険者ランクFのゆえち様ですね。Fランクですと、こちらになります」


 受付嬢さんが指を滑らせると、その動きに合わせてウィンドウが目の前に移動してきた。

 ホーンラビットの角1本の納品、ホーンラビットの皮5枚の納品、やわらか触角3個の納品、薬草5本の納品……等々。どれもインベントリ内に結構な数あるので分かるものは一部を納品することにした。


「おめでとうございます! 冒険者ランクがEに上がりました。これからもよろしくおねがいしますね!」


 今まであまり気にしていなかった所持金だが、いきなり1万エーンを越えた。何買おっかなー。また、納品クエストで経験値も入ったらしく、レベルも2上がった。早速スキル枠を拡張しておく。


「すみません。薬草を持ってるかもしれないんですが、自分ではどれが薬草かわからなくて。調べる方法を教えてもらえませんか?」


 実は草をいっぱい採取していたものの、どれが何なのか全くわからなくて納品できなかったのだ。【鑑定】を期待してじっくり見比べて分類していたのに、取得したのは【観察】だった。使えそうなので嬉しいけど。


「あらあら。うふふ。それでしたらこれをお持ちください」


 カウンターに置かれた1枚の紙には薬草のイラストと説明が書かれていた。


「ああ! これが薬草なんですね! これならかなりたくさんあります。一部納品させてください」


 この後使うことも考えて30本分のクエストを受けた。


「ありがとうございます。こちらが報酬になります」

「ん?」


 報酬に、簡易植物図鑑がある!

 これは素直にうれしい。ゆえちはほくほく顔でクラフターギルドに向かった。せっかくなので、マップをタップして案内を利用してみたら、目の前に光る矢印が出てきた。親切設計すぎるだろコレ! こんなの利用してばっかいたら道を覚えられなくなりそうだ。ゆえちは即座にナビを切った。

読んでくださってありがとうございます。

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