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フレアが広間に到着すると、二階に続く扉に鍵がかけられて閉まっており、下に降りることはできそうにない。
長テーブルには食事が置いてあった。
まだ食事が温かそうだったので、あちこち探してみたが、ラーの姿は見当たらない。
さすがに扉は鍵付きの扉はあけられないが、それ以外は探してみた。
部屋もノックしたが、気配がない。
入り口も鍵が閉まっており、外にでることも出来ない。
長年一緒にいるが、こんなことは初めてだった。
仕方なく、フレアは広間に戻ると、食事の下に小さな封書があった。
フレアは封書を開くと、カランと乾いた音を立てて、小さな平べったい鍵が転がり落ちた。
鍵を拾い上げながら、同封されていた手紙を読む。
それにはこう書かれていた。
『フレアへ
旅立ちを見送れなくて済まない。
どうしても行かなければならない事情が出来てしまった。
不在間の盗賊対策のために、扉に鍵をかけた。
その鍵は、どんな鍵の扉でも開けられる魔法の鍵だが、一回使うと壊れてしまう。
必ずこの洞窟の入り口で使うこと。
ほかの場所で使うと閉じ込められるぞ。
もし、王女を救い出すか、魔王を倒したら、城に行く前に必ずここに寄ってくれ。
必ずだ。
渡したいものがある。
追伸
なお、売り物の薬草とたいまつは持っていくな』