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 物凄い勢いで力を吸い取られる感覚を、フレアは必死に耐えていた。


 『勇者の紋章』が薄く光を発している。


「『勇者の遺骨』を媒介として精霊の魔法を使っているわけではないようだ。直接精霊の力を引き出して使えるとは驚きだ。」


 フレアは、膝をついて言った。


「力が全部吸い取られたようです。」


 マティは感心しながら、


「それはそうだ、むしろ時間や時空をねじ曲げる魔法が簡単使えたら困るだろう。そもそもおいそれと使える魔法ではない。歴代の勇者でも使えた者は稀だ。」


 と言うと続けて、


「ここから少し移動のすると井戸がある。夜が明けたらその底を探して見なさい。きっと目的のものが見つかるだろう。だがその前に、見せたいものがある。一緒に来てくれ。」


 マティは外に出ると、町外れの木の下に案内をした。


「この下に魔道具の工場の実験室だった部屋の秘密の出口がある。中にあるものは持っていっていいが、魔物達が入ってくるから、奥の扉は開けてはいけない。」


 フレアに身振りで方法を教えると、木の幹から扉が現れた。

 木は、扉の偽装のようだ。


「出てくる頃には夜が開けるだろう。もう会えないと思っていたが、出会えてよかった。精霊の加護があらんことを。」


 マティとフレアはしばらく黙って見つめ合う。


 男同士の会話は短く、互いに触れることができなくても、その思いは確かに伝わった。


 フレアは頷き、先に行ったアラン達に続いて扉へと向かった。

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