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「分かってて行かせましたね」
フレアに声をかけた者は、煙草をふかしながら、ニヤリと笑った。
20人くらいは入れるくらいの広い空間は、灯りに照らされ適度に明るく、10人は座れる長机と椅子がある。
また、棚があちこちに作られていて、色々なものが置かれている。
そしてその色々なものには一様に、小さな札のついた紐がつけられている。
この空間は行楽地の入り口にあるよくある空間と似ていた。
そう、お土産屋に。
「最近は売り上げが悪いから、お前の給料を払う為には必要なことさ」
フレアにドーナツ型の煙を吹きかけながら、豪快に笑った。
彼の名はラー、ここの管理人兼案内人だ。
そして、フレアの上司でもある。
「まぁ、本当かどうかは眉唾ものだったが、本当だったなぁ」
「まったく、してやれた感じです」
フレアは肩をすくめて言った。
「石板の文句は覚えているだろうがが、もう一度見てきたらどうだ?新しい発見があるかもな」
「そうすることにします。しばらくここには戻れませんから」
片手を挙げて、奥の扉をくぐり抜ける時、
「入場料は20ゴールドになります」
後方から、大きな笑い声とともに聞こえてきた。