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「国賓ですか?」
王国で国賓といえば、国王と同等ということだ。
仮にも魔王を国賓で呼ぶとはどんな理由なんだろう。
フレアは国王の続きの言葉を待った。
「そう、国賓じゃ。我が国の貿易相手国じゃからな」
「魔王が国を作ったことも驚きですが、この国との関係はもっと驚きです。何を輸入しているのですか?」
「魔石じゃ。魔王の国は魔石を産出しておる。」
魔石は、魔物か死ぬ時に残っていた魔力が結晶となり残ったものだ。人間の国だって一割は毎年減少しているから、魔物だらけの国ならば大量にあるのだろう。魔物の寿命は知らないが。
「こちらは何を輸出しているんですか?」
「主に農作物等の物資じゃ」
高度の魔物は別として、普通の魔物は食べ物を必要とするとは思う。しかも魔物が農業を営んでいるなどとは聞いたことはない。
確かに貿易は成り立つ。
フレアが少し考えていると、国王が口を開いた。
「これから話すことは、二人だけの秘密にしてくれまいか?」