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フレアが周辺を見渡すと、国王の言っているとおり時間は停止しているようだ。
長いひげを蓄えた老人が、拍手をしようとしている瞬間らしく、手が叩かれる寸前で止まっているのが見えるし、カーテンの陰から顔を半分出してのぞき見している侍女らしき者も見える。
この状態でこの場で何を話そうとも、きっと誰もわからないだろう。知っているのは二人だけだ。
フレアは、初めての経験に新鮮な気分を覚えながら、国王に話しかけた。
「と言うことは、国王は実際に魔王に会ったことがあるんですね?」
国王は、ちょっと天井を見るかのように視線をそらすと、
「ある。ただし、王位継承式の一回だけじゃが」
と答えた。
フレアはやはりといった表情で、
「なぜ、魔王がいるんですか?襲われたのですか?」
と問うと、少しの間があって、
「招待したのじゃよ、国賓として」
フレアのちょっと驚いたような表情を確認した国王は話を続けた