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自作小説倶楽部 第16冊/2018年上半期(第91-96集)  作者: 自作小説倶楽部
第94集(2018年4月)/「菜の花畑」&「爪とぎ」
20/34

03 E.Grey 著  爪とぎ 『黒谷御前9 公設秘書・少佐』

   //粗筋//

.

 衆議院議員島本代議士の公設秘書佐伯祐は、長野県にある選挙地盤を固めるため、定期的に彼の地の選挙対策事務所を訪れる。そして、空き時間をみては、遠距離恋愛をしている婚約者・三輪明菜とデートを楽しむのだった。今回の長野入りは、センセイの縁者である黒谷夏帆が、愛車スバル360に佐伯を乗せての登場だ。幼馴染の不穏な動きに明菜は心穏やかではない。夏帆の祖父は黒谷御前といい、地域では有数の資産家だ。その黒谷御前が何者かに命を狙われているという。センセイの命もあり、佐伯は、夏帆の運転で、明菜とともに御前の屋敷へとむかった。その晩、御前は、時限式で放たれる吹き矢によって殺害された。

挿絵(By みてみん)

  Ⓒ工藤隆蔵「風船を見る」モデル:五十嵐優美/足成



    09 爪とぎ

.

 私・三輪明菜は、婚約者の佐伯祐を手伝って、黒谷御前殺害の犯人を追っている。佐伯は、容疑者を、動機から、身内の三人に絞り込んだ。ところがだ。問題の凶器、液化ガスをつかった時限式の吹き矢を調べてみると、案外と威力が弱くて、殺傷能力がないということが分かった。このとき、あらかたの謎は解いたようだった。

 関係者が集まるまで、私と応接間にいた佐伯は、ヤスリで爪をといでいた。――アンタは猫か!

 真田巡査部長が関係者を集めてやってきた。

 黒谷御前の寝かされた遺体前に集まったのは、朝比・夕比の姉妹と、孫娘である黒谷夏帆

の三人だ。

 佐伯が言った。

「黒谷御前の殺害に関して、お三方には共通の動機がある。死んでしまった人間をあれこれいいたくはないが、とんでもないヒヒ爺だったことは確かだ。そのことが本件の動機だからな。時限式の吹き矢が、とても黒谷御前できない、ポンコツだったからね。」

 佐伯は、時限式の吹き矢発射機を動かして、飛ばしてみせた。テルテル坊主のような形をした吹き矢はひょろひょろと飛んで、黒谷御前の枕元で失速して落ちた。

 すると真犯人は?

「殺害された時間に、僕と真田さんが入っている浴室をのぞいていた。つまり、今まで容疑者にしていた、お三方は三人とも真犯人じゃないということになる。真犯人はお三方が浴室に行った隙に、御前の枕元へやってきて、装置ではなく、指に挟んだ毒矢で、直接、御前の耳を刺したんだ」

 なら外部からの犯行?

「こんなことができる人物は、外部からきた人間じゃ無理だ。これは単純な消去法だ。容疑者の三人をのぞいて屋敷にいた人物だ。もちろん、僕と明菜、真田さんは除かれる。それから猫のタマも除外だな。すると?」

 家政婦の菊乃と、菊乃の養女、楓だ。

 厨房にいた菊乃母子が、互いに包丁を持って、刺し違えようとしていたのを、駆け付けた佐伯と真田さんが取り押さえた。

          つづく

  //登場人物//

.

【主要登場人物】

佐伯祐(さえき・ゆう)……身長180センチ、黒縁眼鏡をかけた、黒スーツの男。東京に住む長野県を選挙地盤にしている国会議員・島村センセイの公設秘書で、明晰な頭脳を買われ、公務のかたわら、警察に協力して幾多の事件を解決する。『少佐』と仇名されている。

三輪明菜(みわ・あきな)……無表情だったが、恋に目覚めて表情の特訓中。眼鏡美人。佐伯の婚約者。長野県月ノ輪村役場職員。事件では佐伯のサポート役で、眼鏡美人である。

●島村代議士……佐伯の上司。センセイ。古株の衆議院議員である。

●真田巡査部長……村の駐在。

.

【事件関係者】

●黒谷御前……地方名家で島村センセイの縁者。

●黒谷源一郎……黒谷御前の一人息子で夏帆の父。先の大戦で戦死した。

●黒谷朝比……黒谷御前の長女。源一郎の妹。

●黒谷夕比……黒谷御前の次女。源一郎の妹。

●黒谷夏帆……黒谷御前の孫娘で女子大生。現在は東京在住。明菜の幼馴染にしてライバル。

●菊乃……黒谷家の家政婦。

●楓……菊乃の養女。

●タマ……黒谷家で飼われている雌の黒猫。

*全10話程度の予定です。

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