1/1
第1話
「寒いぃ」
つい最近まで咲いていた向日葵もすっかり姿を見せなくなり、駅のホームに立っている人達も衣替えをしている。そんな季節を迎えたみさきも、短くした制服のスカートの下にジャージを履いて学校に向かっていた。
風の強い日だけいつも履くスタイル。友達には散々ダサいと言われ続けていたが、スカートが捲れるよりまだマシだろうと思い大して気にしていなかった。
今日は休み明けの登校日だったので少し憂鬱な気分になりながらもなんとか学校に到着。
「おはよう」
挨拶を交わしながら自分の席に向かう。なんだかんだ学校に着いてしまえば楽しいし、いつもの面子とくだらない話をして過ごすと学校にいる時間も短く感じるくらいだ。
「みさきは進路きめたの?」
高校3年生にもなると話題はいつもこの話で、もう大学の合格を貰っている人も少なくなっかた。
クラスの中で進路を決めていないのはほんの2、3人でみさきもその中の一人であったため、その話題を持ってこられる度に笑って誤魔化していた。