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狼は眠らない  作者: 支援BIS
第45話 紅蓮の魔女
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 迷宮を出たレカンは、エダとユリウスを連れて受付に行った。〈クワントロ〉のメンバーもついてきた。

「もう四十二階層まで進んだのですか」

「〈クワントロ〉との契約は解除した。それで、新たな仲間を募集したい。四十三階層から始めて最低でも五階層は付き合ってくれるのが条件だ。報酬は一階層踏破につき金貨二枚。オレたち三人で穴二つは突破できるから、穴三つ分を負担してくれればいい」

「わかりました。どこに連絡すればいいですか」

「オレたちは当分ここの宿を動かない。パーティーが組めない日は、日中は町に出るが、夜は宿に帰る」

「では、宿に伝言を残すようにします」

「頼む」

 そのあと〈クワントロ〉のリーダーであるトルーダが、受付の男に、エダが〈薬聖の癒し手〉であること、強力な魔法弓の使い手であること、四迷宮の踏破者であることを伝えた。

「そうだったんですか。それはすごい。ジザ導師の推薦状にはエダさんのことが書いてなかったので、実はそれが少し不安だったんですが、そういうことなら、すぐに次のパーティーがみつかるでしょう」

「おや?」

 レカンは壁に張り紙がしてあるのに気づいた。パーティー募集の張り紙である。踏破階層は六十階層から六十三階層。期日は八の月の五日。募集人員は二十五人。

「ほう。こういうのも出るのか」

「ああ。よく出ますよ。すぐ埋まってしまいますけどね」

「一か月後とは、ずいぶんのんびりしているな」

「みんな仕事を持ってますからね。こういう依頼は口コミで広がります。張り紙をする前にメンバーが決まってしまうことも多いです」

「報酬が書いてないな」

「報酬はありません。依頼ではありませんからね。踏破階層が深くなるのが報酬です」

「ああ、そうか。なるほど」

 こういう募集を待てば、レカンも余分な散財をせずに下の階層に潜れる。だが、それは時間がかかる。やはり金を払ってでも早く下に降りたい。

 この日は〈クワントロ〉のメンバーと一緒に町に出て、少し遅めの昼食を取った。金は払うと言ったのだが、〈クワントロ〉のメンバーがおごらせてくれと頼むので、払ってもらった。

 それからレカンたちは、トルーダの店に行った。

 なかなか立派な店で、店員も三人おり、壁にはずらっとさまざまな大きさの〈魔矢筒〉が展示されていた。

 試し撃ち用の〈魔矢筒〉もあり、魔石の代金を払えば試し撃ちもできた。レカンとエダはしばらく試し撃ちをして遊んだ。ユリウスは〈魔矢筒〉を撃つことができなかった。魔力があるだけでは〈魔矢筒〉は撃てないのだという。

「〈着火〉が使えれば〈魔矢筒〉は撃てるんだけどなあ。ユリウスは魔力はそれなりにあるようだから、〈着火〉を覚えてみてもいいんじゃないか」

 そうトルーダに言われ、レカンはユリウスに聞いてみた。

「ユリウス。〈着火〉を教えてみようか?」

「いえ、師匠。今は魔法を習わないように言われています」

「ほう? 待てよ、そういえばアリオスのばあさんは、魔法使いだったか」

 名前は忘れたが、アリオスの祖母はたしかマザーラ・ウェデパシャの、つまりシーラの弟子だった。ということはもちろん魔法の弟子だったはずだ。

「はい」

「アリオスにしてもお前にしても、その人から魔法を習わなかったんだな」

「はい。教わりたいと言ったことはあるんですが、だめだと言われました」

「さっき、今は、と言ってなかったか?」

「いずれ父上の許しが得られれば、魔法剣を使う方法を教えてもらえます。そのうえで魔法を習う許可をするかどうか、あらためて判断するそうです」

「わかった」

 なぜそうなのかはわからない。だが何か理由があって、ユリウスが魔法を習得することをアリオスは禁じている。レカンが勝手に教えるわけにはいかない、ということがわかった。

 魔法剣は、魔法使いでなくても魔力持ちなら使えるが、魔力を操作できなくては使えない。といっても魔力を流し込むだけのことなのだから、習得はむずかしくないはずだが、今のところユリウスは魔法剣も使えないようだ。

 〈魔矢筒〉は面白かった。だが、すぐに飽きた。

 呪文を唱えてから発動までの時間は一定なのだが、レカンからみれば、まどろっこしくていらいらする。飛んでゆく速度も思ったより遅い。威力も小さい。試し撃ち用の安価な〈魔矢筒〉ではなく、もっと高価なものなら発動も速く、威力も速度も増すというが、試してみる気にもならなかった。

 そのあとトルーダに案内されて、杖屋に行った。

 驚くほど小さい店だった。

「この店の品ぞろえは抜群なんだ。しかも掘り出し物も多い。いろいろ注文をつけて粘るのがいい杖をみつけるこつだ」

「ほう。それは楽しそうだ」

「あたいも楽しみ」

「こういう店に入るのははじめてです」

「じゃ、入るよ」

 手前に開き戸を引くと、入り口のすぐ向こう側にカウンターがみえた。なかに入ってドアを閉めると、カウンター前の空間は四人でほとんどいっぱいになった。

「おやじさん。客だよ」

 おう、とも、うう、ともつかない返事が奥から聞こえ、気むずかしそうな顔をした小柄な老人が出てきた。

 ただ者ではない。レカンは、右目を細めて老人をじっとみた。


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― 新着の感想 ―
新しい老人だ!ワクワクする
[気になる点] 魔法を習う許可の有無を判定するということは 場合によっては魔法剣士としてもやっていける指導方法やそれにあった型ががあるってことですかね
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