ジェットコースターで事故死した亡霊
「本当に乗るの?」
「やっぱり危険じゃない」
私は如月たか子、友達の京子と一緒に門の前に立っていた。
夕立に盛る中、私と京子は揉めていた。この廃遊園地の裏野ドリームランドでは、人間が煙のように消失してしまい、怪奇現象が起こる噂が絶えないと言われてきた。
ところが、人がいなくだけではなく、幽霊が出現するアトラクションなども語られている。
「本当に確かめに行ったら危険だよ」
「大丈夫よ。アトラクションはさびれていて、今は使われて動かないでしょう?」
「だって!」
そう、私達は幽霊が出るというアトラクションへと調査の為、二人で裏野ドリームランドへと足を運んだ。
そのアトラクションと言うのは……
「血まみれのジェットコースターでしょう」
「そうだけど」
そのジェットコースターには、幽霊が出現するという噂が広まっていた。
大分昔の事だ。ジェットコースターのベルトが外れ、一人の少女が転落死する事故が起きた。点検を確認していないせいか、元は故障したかと思われ、事件直後にジェットコースターの運営は禁止された。
「幽霊が出るでしょう? しかも顔中血まみれでしょう?」
「怖いじゃん!」
「騒ぎになるでしょう」
このジェットコースターでは、事故死した亡霊が、夜な夜なの廃園に侵入した人間を驚かす。
「怖いなー!」
「私……なんだか気味が悪い」
「ただの噂だよ噂」
「すー君怖いー!」
ベタつきながら燥ぐ末男とあずさ、いちゃつくのは止めなよ、ついでに……リア充爆発しろー!
「じゃあ、ジェットコースターへ向かいましょう」
「そうね」
私達四人は、幽霊が出現するジェットコースターへと向かった。
ジェットコースターの方へ着くと、随分と錆びれていて、コースの線が、もろくなったので外れてしまっただろうか。
〝パシャリ〟
カメラの音が聞こえた。隣にいる松は、手に持っているスマホで、画面越しに映るジェットコースターを写真撮影をしていた。
「ちょっと! 何しているのたか子!?」
「決まっているでしょう。幽霊がいるかどうかの調査だ」
「試しって……」
「本当にジェットコースター乗り場を確かめに行くのか」
「当たり前だろう。幽霊がいるかいないか乗り場に入ろうぜ」
「いいじゃなーい」
「あずさも」
この二人、たまには空気読めよ、幽霊を侮辱するのは不謹慎じゃないか。
末男とあずさは、ジェットコースター乗り場へと入っていく。
「待ってよ、二人ともー」
「勝手に動きを取るなよ」
楽し気に乗り場の方へ行く二人の後を追いかける。
「ジェットコースター乗り場の中……意外とボロイね?」
「見ればわかるよ!」
「何年も使っていないのよ」
中に入ってみると、階段に辿って上にある乗り場の辺りには、ゴミが落ちて汚れるように散らばったり、ギシギシと脆くなって今にも崩れそう。
暗闇に包まれながら、私達三人は周囲を見渡した。けれど中々幽霊が出てこない。
末男は乗り場の何か所か写真を撮影し、みんなに見せたら、ポルターガイスト減少などの白い煙みたいな幽霊が出現しておらず、全然心霊写真のような亡霊が映らない。
「どう……いた?」
「いないね、幽霊」
「諦めて帰る?」
「イヤッ!? まだいるかもしれないからもう少しだけ」
幽霊は出現しないまま、中断して家に帰ろうとしたら、末男だけがまだ諦めていなかった。
「もう少しだけ待ってくれ」
「私……明日は大事なバイトが入っているんだよ。それにお前の」
「すー君ったら、わがまま言わない」
「もう7時過ぎだよ、こんな事をしていたら、バスに間に合わないでしょう」
「お前ら……」
こんなに夜遅く外を出歩いたら危ない気がして、明日は大事な実技の授業があるのに、末男だけは苛立つ顔で嫌な愚痴を言い返す。
「何自分勝手なことを」
「自分勝手はアンタでしょう」
「なんだと! もう一回言ってみろ!」
「二人とも喧嘩はよくないよ」
末男とたか子は口喧嘩をしてしまい、こんな場所で争うのはよしてくれよ。俺は二人を止めようとしたが……
『君たちか?』
「「「「!?」」」」
気味が悪そうな少年の声が聞こえた。
「誰だ!」
「何……なんなの?」
「他にも誘ったじゃない?」
「俺達だけだぞ」
ここにいるのは私ら4人の他に、このジェットコースター乗り場に誰かいるのか。
「隠れてないで出てこい!」
末男は怒鳴るように声を上げる。
「そうよ。怒らないからさ」
優しそうな母親のような声で、少年を探し出す京子、こんなに暗闇の中で悪戯する輩の連中だろう。
『ここだよ』
また少年の声が聞こえた。やっぱり他にいるじゃない。
「何処だよ」
「待ってみんな」
「どうしたの?」
「呼ばれた声……子供みたいな声じゃない」
「だからなんだ?」
「こんな時間帯と人のいない場所で、子供がいると思う?」
「そういえば……」
ここは廃遊園地、こんな夜中に子供がいるはずがない。
これって……もしかして……
「幽霊じゃないか」
「そんな馬鹿な」
「じゃあ……さっきまでの声は」
「幽霊……」
『せいかーい!』
「「「!?」」」
さっきの少年の声が正解と放った。たか子と京子、末男とあずさは悲願な態度で震えあがり、ジェットコースターに乗る場所に聞こえた気がする。
私達四人は恐る恐るにして、畏怖した顔で、身体が震え上がるほど振り向こうとしたら……
「待って! 振り向かない方がいいじゃないかしら?」
「でも、幽霊稼働確認しないと」
「嫌だー! 私振り向かない!」
「騒がないで、みんなで一斉に振り向いた方がいいじゃない」
「私嫌! 絶対にイヤー!」
あずさは悲鳴を上げ日ながら叫び声を上げる。
パシーン!
あずさの隣にいる京子は、平手を出しながらあずさの頬に向けて、ビンタを喰らった。
「何するのたか子」
「少しは冷静にして! 騒いでも解決しないの!」
「おいたか子! 言い過ぎだろう!」
「みんなで見れば助かるんじゃないかな?」
「それもそうね」
「そうね……」
「「「「いっせーのーセツ!?」」」」
みんなで一緒に振り向けば、全員覚悟を決めて、一斉に後ろを振り向いた。
『アハハハハ!』
「「「「!?」」」」
私達は何も言えなかった。声の主は少年だった。しかし……月の光に照らし、その姿を披露した。
そう……身体中が居合わせなく、人形のように腕や足など捻じ曲げていて、顔の頭上が少し脳みそが見える程潰れ、赤く大量に流血してしまい、目がギョロリとして合わせずにしていた。
「ヒッ!? ヒィィィィ!」
「幽霊!?」
「出たー! 本当に出たー!」
「今一度のチャンスだ」
私達は怖気付くように震えあがり、あずさは号泣しながら涙を流し、唯一の男である末男は、ビクビクと背筋を震えながら写真を取ろうとしていたら。
「ウワッ!?」
「何!?」
「どうしたの?」
「カメラが……」
末男の手に持っていたデジタルカメラが、放つように壊れてしまい、スローモーションのように地面に叩きつけられる。
『やっぱり君ら……僕らを探しに来たでしょう。あーあ……僕を勝手に見世物にするなんて……酷い奴らだね』
「「「「!?」」」」
『だから君らを……僕と同じ目に合わせてやるよ』
少年の顔は、目玉が飛び出る程にギョっとして、口から大きく避けるように黄ばみたいな歯が生えて、鬼みたいに身体がデカくなっていた。
『僕を……見世物にするなー!』
「キャアー!」
「ウワ―ーー!」
「ヒィィィ!!」
「ナニコレーーーー!」
鬼は口から火を出して、僕らに向けて吐くように噴いた。頭が痛くなるほどに倒れ込んでしまう。
「う……ここは……」
気が付くと、僕たちは乗り場の前で倒れていた。
辺りは朝日が昇り、もう時間が経っていた。目が覚めた私は、何事もないように、他のみんなも倒れている。
「起きてみんな!」
「アレ……何?」
「おはよう……たか子……」
「なんだよ」
「私達! 亡霊に襲われたんでしょう」
「亡霊?」
みんなは、例のジェットコースターの亡霊の少年に襲われ、火を放つようにされたのに。
これって……全部夢なの。
「そうだね。私達はジェットコースターで事故死した亡霊に」
「わからないけど……」
「ちょっと待てよ! 俺のカメラ……あった!」
末男は、幽霊にカメラを落とされて、辺りを探してみたところ、カメラは無事に見つかり、傷を付いていないか確認する。
「これを幽霊が写ったら……」
「心霊写真じゃない」
「確かめないと……」
私達はカメラの記録に残っているフィルムを確認をした……そして。
「キャアアアアアア!!!!!!」
「ウワアアアアア!!!!!!」
「イヤアアアアアアア!!!!」
「ギャアアアアア!!!!!!!!」
私達は慌てて逃げ出した。カメラを投げ捨てるように……。
落ちたカメラに映る写真は……血まみれな少年が僕らをしがみつくようにたくさんいた。




