閑話「とある親子の会話」
作者
「PVが2,000を突破しただと!?」
モルセラ
「ぴーぶいとは何だ?」
ムクロ
「多分プロモーションビデオの略ですね」
「こうしてアリステラ王女は、骸骨男のムクロと黒竜モルセラと共に、カルバニル王国へ向かうことになりましたとさ。これで、第一章は終わりよ」
「それで、三人は無事に辿り着けたの?」
暗い部屋を一本のロウソクが照らす。
ベットに横たわるのは、先月五歳になったばかりの少女と、娘に絵本を読み聞かせる母親である。
「三人が辿り着けたかどうかは、明日の夜に教えてあげるね」
「えぇー! 今知りたいよー!」
「じゃあ少しだけ教えてあげる。三人は何とか目的地に到着することができたの。でもそれまでの道中に、いろんな騒動や事件に巻き込まれることになるのよ」
「うわー、大変そうだね」
「そうね。きっと大変だったと思う」
娘に語り聞かせているうちに、自分自身も懐かしい気持ちになる。
かつての冒険の日々を思い返し、感傷に浸るのはよくあることだ。
特に、この絵本を読んでいるときは、尚更過去を思い出してしまう。
「それじゃあ、今日はもうお休みなさい。明日からは新しい章に入るからね」
「本当に! 楽しみー!」
読み聞かせに満足し、同時に眠気が頂点に達したことで深い眠りへと落ちた愛娘の頭を、優しく撫でてから部屋を出る母親。
「絵本を読み聞かせてるときのあの子の顔、ムクロさんにも見せたかったなぁ」
自分でも無意識に呟いた小さな声は、誰にも届くことなく、場を支配する静寂へ消えていったのであった。
あわよくば。
名も知らぬ誰かに届くと信じてーー
今回で第一章は終了となります。
第二章は作者の諸事情により、七月上旬から連載開始となります。乞うご期待!