Road to 塾
家を出る。耳にはめたイヤホンからは聞き慣れたボーカロイドの無機質な声が聞こえる。俺はいつまでこんなことをしていれば良いんだ。いや、答えは既にわかっている。或いは答えの出る日がいつなのかをわかっていると言った方が的確か。
息を吐けば白くなって消えていく。ポケットに手を入れながら歩く道。明るく輝く自販機が目を引く。「あったか~い」の文字を見ると周囲の気温が一層身に染みる。一本買うか。思わず手が伸びる。ボタンを押すと、黄色い本体に茶色の線がはいった缶が出てきた。プルタブを起こすと小気味の良い音が鳴る。口をつけると濃い甘さと熱めの温度が体を芯から暖める。これ一本で十分だろう。
そうして再び歩き始める。坂を登ると街はいよいよ活気づいてくる。居酒屋が多くなり、車通りも増える。目的地まではあと数分。今日もこれからの80分を考えると気が重くなる。それでもビルに着いた俺はエレベーターに乗る。行き先ボタンを押して数秒。扉が開く。
自分が受験生だったころの記憶を引っ張り出して書きました。受験生応援してます。