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妖術夢想  作者: 四畳半
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破章「欠けた太陽」

 天界。

 そこにおける日本の領土である高天原たかまがはらには珍しい光景が広がっていた。

 普段そこでまったりと暮らしたりたまに仕事しているのは天津神あまつかみ国津神くにつかみなどの神だったりするのだが今回は違っていた。

 神世七代かみよのななよの一柱、伊弉諾いざなぎの手によって生まれた天照あまてらすをはじめとした3柱の三貴子みはしらのうずのみこ

 そこからやってきたのは須佐之男すさのお月読つくよみの2柱だけ。

 天照が居ない。

 だがそれ以上に異様な光景が広がっていた。

 ここにおいて異端な存在がここに居る。

 ギリシャ神話ではゼウスとアポロン。

 北欧神話ではオーディンとソール。

 エジプト神話ではホルス。

 主要神話の主神と太陽神が集まっていたのだ。

「一体なんの用だ? 最近オナゴ成分が足りなくてこっちは有り余る劣情を――」

「父さん……母さんという存在が居ながらまた浮気ですか? 一体何人作っているんですか?」

「黙れアポロン、お前レトから生まれたのに母親とか言ってんじゃねーぞこのイルカ。儂の正妻はヘラだけど」

 アポロンはこの駄目主神をどうにかして殺せないかな、と思ったが顔には出さない。

 この太陽神、疫病を操る力によって沢山の人々を殺したり木管楽器の名手であるマルシュアスを生きたまま皮膚を剥いだりと外見に反して中々残忍だったりする。

 美女が居れば即襲う強姦魔と言っても良いくらいの父親の息子なので歪んでも仕方がないとはいえるかもしれないな、とスサノオは思う。

「お前も相当だがな」

「あん? うっせーよ根暗地味ヒッキーが」

「そういえば姉上も引き籠りだったな……」

 隣に立っているツクヨミに対し、スサノオは取り敢えず睨み付けるだけにしておいた。

「チッ、ギリシャの絶倫ジジイ居んのかよ」

「……何か言ったか万年厨二病?」

「ハァ? 厨二病じゃねーし」

「じゃあその眼帯なんだよ」

「ミーミルの泉の水飲んで魔術得た代償だし」

「アホじゃねーの? 魔術で治せよ」

「グングニルぶっ刺すぞコラ」

「挿す!?」

 オーディンとゼウスが喧嘩を始めた。

 隣に居る太陽の女神・ソールは若干引きながらその光景を眺めている。

「……そもそもここに来てから結構な時間があったのに気付かなかったって……」

「老眼と言いたいのか? 襲うぞ」

 どうやらこいつもゼウスと同じ思考回路をしているらしい。

 嫌ああ、とソールは慄くがオーディンは「大丈夫、ワシ魔術で超絶イケメンボーイにもなれるから」とやる気満々だ。

 1人それを醒めた目で見ているのはホルス。

 いつもならハヤブサの面を被っているが今は仕事ではなくプライベートと割り切っているようで素顔だ。

 中々端正な顔立ちをしている。

 この中では唯一の主神で太陽神である彼は取り敢えず苦い顔をしていたスサノオに話し掛ける。

「で、さっきもゼウスが聞いたが俺達を呼んだのは何の理由がある?」

「おう、イラつきが頂点いきそうでもう何も言わないでおこうか、と思っていた」

 そういえばうちにいるいらねー男神全員性転換させて美少女になれば儂ハーレムじゃね、とゼウスがなんか言っている。

 そんなエロゲ―が下界で売ってたから『けしからん、神の裁きとしてこれタダで持ってくわ』って言ってそれ持ってった後プレイしたぞ、超抜きゲー。とオーディンが悪ノリしている。

 マジで!? 今度貸してくれよ! とゼウスはノリノリだった。

 こいつら実際仲良いんじゃねえの、とスサノオは思いつつアホな主神2人を無視してメンバーを集めた。

 本音としてはもう少し集めたかったのだが混乱が生じると困るという事でほんの少数しか呼ばなかったのだ。

「実は俺の姉貴……アマテラスが半年近く前から姿を消してる」

 太陽神がざわめく。

 しかしギリシャと北欧の主神コンビはエロで盛り上がっている。

 どうしてあいつら呼んでしまったんだろう、とスサノオは思った。

「まぁ良い。で、下界から姉貴の気配を感じ取ったもんでちょっと詳しく調べてみた」

 スサノオは神話の世界には似つかわしくない立体映像映写装置を持ってきた。

 しかしなんだかんだで下界の娯楽というのは面白いのでこうしてテレビを見る為に持ってきたりする。

 まさかネット掲示板の人間も本当に相手が神とは思っていないだろう。

 ツクヨミは何度もクオリティの高いスレを建てたりしてそこそこスレッドタイトルの名前が通っている。

 スサノオに言わせてみればもうちょっと胸を張れる事をしろよ、とも言うがそういう彼は流行のアスキーアートをいくつも作っていた。

 やはり兄弟というのは似るものらしい。

「んで、姉貴は居なかったんだ。どこにも」

「どういう事だ?」

 アポロンが尋ねる。

「ここから先は俺も信じられない。正直推測だ。だから信用しろとは言わない。だけど取り敢えず聞いておいてくれ」

 スサノオは映像を出力する。

 立体映像には3Dでモデリングされた風景映像が出る。

「朧想街の天光神社っていうそこそこ大きな神社だ。周りには知られていないが街ではかなりメジャーっていう変わった神社」

「で、それがどうしたんです?」

 ソールは首を傾げた。

「今言う。で、この神社に勤めている巫女なのだが……」

 ツクヨミが画面を変えて1人の巫女の3D画像を見せる。

 精巧なそれは実写と違いがわからない。

「まさか……」

 ホルスが戦慄する。

 どうやら理解したようだ。

 スサノオは首肯した。

「姫禊祀からアマテラスの反応があった」


 お久しぶりです、四畳半です。

 拙作を読んでいただきありがとうございます。

 今回のテーマは「呪い」だったのですがなんだかんだでゴチャゴチャしたストーリーになってしまいました。作者の力不足ですね……。

 さて、今回はヒロインが多いのですがメインは一体誰でしょうか。作者にもわかりません。実際はルーのつもりだったのですがなんかアレイシアがぽくなってしまいました。

 まぁそこらへんは皆さんの好きなキャラで。

 それではここまで拙作を読んでくださった読者様、宣伝してくださったフォロワー様、クリックしてくださった皆様ありがとうございました!

 


 ……ゼウスとオーディンがかなりブッ壊れたキャラになったなぁ

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