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ヨハネスとハイネス

 久しぶりの更新。お待たせしました。

 最初につぶやいているのは、アメリカ在住の吸血鬼の始祖・ファイガのつぶやきです。

 ヨハネス・ハイネスの構成員が出てきます。

 まったく、やってらんねー

 なんだってあいつは加減を知らないんだ

 誰だよあいつを育てた奴はっ

 ・・・はぁーーー

 どうしたら、ビルを粉砕できんのか・・・・わかりたくもねー

 事後処理はきれいさっぱりやっていきやがったが

 この程度で済んだことをよしとするかぁ?

 ・・・ほんと、やってらんねーよ


 俺も、()りたくなるだろうが




「どうしました?」

 声に顔を上げると、アルティナが目の前で心配そうな顔をしていた。

 ああ、いけない。ついつい深く考え事をしてしまっていたみたいだ。

「なんでもないよ。この間は、ありがとう。君の案だって?」

「はい。ロインズと二人で提案した作戦ですが・・・・・・力及ばず」

「いやいや。すごく動きやすかったよ。俺が勝手な行動したってだけ」

 ヨハネス・ハイネスとの戦闘、とは絶対に言いたくない小競り合いにもならないか、まぁ、顔合わせしたのは3日前。そして、乱雑に事後処理をして帰ってきたのはいいけれど。

「まったく、無駄足だったよね」

 あんなどうでもいい展開になるとは思わなかった。それ相応に、準備もしたのに、まったくの無駄だ。

 あいつら、意外と俺のことなんてどうでもいいのかもしれない。

 興味はあるみたいだけれど、3日たってもこれいとった反応はかえってこない。とりあえず、支部の一つを潰したはずなんだけれど。

 ここまでリアクションが帰らないと、さすがに何してたんだって思うよ。


「全力を出すべき相手ではないかと」


「うん?まぁ、そうだね。それほどの相手でもないってことは認めるけれど、それとこれとは違うんだ」

 アルティナが仕事をこなす傍らで、俺は両手を天井に向けて背伸びをする。ああ、気持ちいい。

 こんななんてことのない日常が一番だ。

 戦争なってするべきじゃないよね。


「全力を出そうが出すまいが、俺が出てた時点であいつらの終わりは確定してるんだから」


 さぁ、さっさと仕事を済ませて、新装開店したスイーツ店に行かなくちゃ。




「もう我慢の限界だっ!」

 地底で甲高い悲鳴のような怒声が響き分かった。

 そこは、地下にあるとは思えないほど絢爛豪華な装飾がほどこされた会議室だ。

 毛の長い赤い絨毯、椅子と机の淵には職人が人生を注ぎ込んだかのように精密な装飾があり、白亜の壁には一面に(・・・)色鮮やかな鏡が飾られている。天井には、星のきらめきのようなシャンデリアがつるされ、壁の鏡が計算されつくしたかのように部屋を明るく照らし出していた。

 そこは、ヨハネス・ハイネスが集う独房。かつての独房を改築して、作られた部屋だった。

「我慢ならんっ。あいつの執拗な攻撃には、これ以上耐えられん!」

 そこで、一人わめきたてている男性は、神経質に机を指でたたいている。美しい装飾が剥げてしまうほど、過激にたたいている。

「まぁ、おちつけって。どうせ、これ以上はしてこないんだろ~。なら、別にいいんじゃねーの?」

 一人わめくだけだった男に、声をかけたのは妙にアクセントの高い子供のような声の成年だ。

「あいつは、嫌がらせ程度に俺たちにちょっかいかけてるだけだと思うんだよねー」

 成年は猫耳フードを目深にかぶり、猫が描かれた革ジャンを着ている。腰には、猫用のリードをベルト代わりに巻き、靴は丸みを帯びたファンシーな柄だ。

 そう、アックスと公園で対面した成年だ。

 彼は猫のように机に伸び切り、頭を撫でてくれている女性の手になついていた。

「この子の言う通りよ。黙っていればいいの。それに、わめいたって変わらないじゃない」

 猫のような成年の頭を撫でていてる女性も、男に声をかける。

 清楚な女性だ。白のワンピースに赤い靴、どこかの絵から抜け出してきたかのような深窓の令嬢といった雰囲気の女性だ。

「貴様らがそんなことを言うから、下の連中は軟弱なままなのだっ!」

 成年と女性の言葉に、男は過剰に反応した。それこそ、手元に置かれたカップを投げつける勢いで立ち上がる。

 その男の動きに、機敏に反応したのは成年だ。伸び切った体をしなやかに起こす。


 戦闘態勢。


「うっぐ・・・・」

 成年の気迫に、男は一瞬で怒気を削がれた。

 立ち上がった男が、音を立てて椅子に座り落ちる。まるで、強制的に椅子に押し付けられたかのように。

 しかし、成年は座らない。座らないどころか、身を縮めて飛び掛かろうとしている。まるで、ネズミにとどめを刺す猫のように。

「あんまり。さわぐ。ものではありませんよ」

 くぐもった声が、物騒な空気の中に溶け込んだ。

 その声に成年は幾ばくかの逡巡のあと、体から力を抜いた。

「さぁ、さぁ。もうそろ。そろ。時間がやってきます。みなさんなか。よくしなくては」

 くぐもった声はおかしな間で息継ぎをしながら、集った仲間たちに注意を促す。

 といっても、集まっているのは5人だ。


 神経質に声を荒げていた男、

 猫のような成年、

 成年の頭を撫でる女性、

 男と成年の間に張り込んだ能面の仮面をつけた男、

 そして、一言も口を開かず携帯ゲームにはまっている少女。


 5人しかいない。

 広い部屋だ。かつての独房を改築したものでるが、そもそもが複数の囚人たちをまとめてぶち込めるほどの大きさがあった部屋だ。そこが改築され、机と椅子を通り払えば、広いダンスホールとしても十分活用できる広さがある。

 それほど広い部屋に集まったのが、たったの5人。

 その5人も思い思いの場所にいる。一人一人の距離が離れすぎているぐらいだ。

 ヨハネス・ハイネスに、どれほどの人材がいるのかわからないが、5人で使うには広すぎる部屋だ。そこで、彼らは何をしようというのだろうか。



「これよ。り先。ヨハネ。スさんとハイネスさん。の奪還を行います」





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