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ゆううつ執務

 レイド視点で進みます。本人の名前はできてきませんが、シャーバ同様「おわりのおわり」に出てきた男です。

 この小説はキャラが大量に出る思います。なので、細かい描写もいれて伝えていけたらと思っています。

 あ?在庫が足りない?わかった発注しとく。

 リスト見せろ。・・・第4部隊の死神たちに連絡しとけ。

 紛争地域に居る傭兵どもを呼び戻しとけ。


 武器の新調?金はかけていいが、無駄にするなよ。

 新人どもはどこまで使える?

 30年?それだけしか生きてない奴いたっけ?


 は?おいおい。喧嘩好きの人間まで集めたのか。

 自主的に嗅ぎつけた奴らも来た?鼻いいなおい。

 中東や日本の連中にも一様連絡、いや、問題ねーだろ。


「たく。別に戦争するわけじゃねーつうの・・・」

 どいつもこいつもはしゃぎやがって。

 主様が毛嫌いしてる奴らを蹴散らせるのは嬉しいが。市街戦をするわけにはいかない。そんなことになれば、シャ―バのやつになんて言いわれるか。

 あの優男は、外見だけ見ればひ弱そうだが、腹の探り合いでは絶対に勝てない。技術もえげつないほど精密(・・)だし。


「たーいちょう」

「変な呼び方するな」

 フランスのホテルの一室、いつまでたっても慣れない事務作業をしているときに、目元まで覆うバンダナを巻いた男が入ってきた。

 こいつは第3部隊・隊長のシェーン。800年ほど生きているが、攻撃力は折り紙つきで市街戦・乱戦では負けなしのやつだ。

「そんな怒んないでくださいっすよ。俺っちたちの隊どうすればいいっすか?」

「命令するまで動くな。絶対に」

 ただし、行き過ぎる攻撃があるところが悩みの種だ。しかも、うまくやるのが質が悪い。

「そんなー。じゃあ、居場所だけでも探っといていいっすか」

「駄目だ」

「は?いやいや。なんでっすか?俺っちたちの探索ならすぐに見つけられないかもしれないっすけど、なんの手がかりも無しはきついんじゃないっすか?」

「いらねー。ウォルガさんがしてくれるし。なにより、先走るじゃねーか」

「・・・いいじゃないっすか。別に。俺っちたちは突撃部隊っすよ」

「いいから。黙っとけ。・・・シャーバにどう言い訳する気だ?下手すりゃー。作戦に加えさせてもらえなくなるぞ」

「そいつは嫌っすね。わかりました。大人しくしときますっす」

 やたらと語尾に「す」を付ける癖があるやつだが、聞きわけはいい。聞きわけはいいが、聞き分けて今回のことも事前に調べ済だろう。

 今更、許可をもらいに来たわけじゃなくて、報告に来たんだろうし。

 まったく、食えない奴だ。

 大人しくしていいっつってもどうせ、情報収集は継続して行うだろうな。

「良い報告があったらいつでも来いよー」

「了解っす」

 俺が目をつぶることがわかっている分、こういった頭の回転も速い。

 もし、市街戦になるならこいつらの部隊を先行させるのが、俺たちの基本だ。一撃必殺の俺の隊とは違い、消耗戦が得意な第3部隊はこういった面で重宝する。


「こんにちは」

「あ?」

 武器庫のチェックをしていたら、唐突に中国人が来た。

「んだ。偉か。何しに来た?」

 カンフー服?っていうのか?派手な竜の刺繍がほどこされた緑を基本とするチャイナ服を着ているこいつは、世界中をさすらっている変わり者だ。そんで、どういうわけか大泥棒と気が合っている。

 まぁ、「氣」なんてもんを使える達人であり、戦力としては申し分ない。どの隊にも所属していないが、こういうときは頼りになる助っ人だ。

「いえ。お困りごとが起きていると、風のうわさで聞いたので」

「どうせリチャードにでも聞いたんだろ?あの大泥棒、今どこでなにしてる?」

「さぁ?ワタシたちは常に一緒にいるわけではないので」

「ああ。仕事か。まったく、こりねーな。何回捕まったと思ってんだが」

「くす。その大半はワタシの手で捕まっていますからね」

 中国人特有の細い目をさらに細めて偉は笑った。性格は面倒見がよくて正義感が強いんだが、こうした態度を見ると中国系マフィアみたいに見える。

「まぁ。主様に顔だしとけ。喜んでいろいろ聞いてくるだろうけどな」

「構いませんよ。いろいろと話したいこともありますし。そうだ。お土産があるんです」 

 そう言って偉は中国からのお土産、大量生産品の爆薬を一ダース、86個運び込んできた。


「いよっちゃん!なーんつって!」

「消えろ」

 俺の一言でそいつは黙った。

 おちゃらけた声を放つそいつは、姿なき情報屋。

 嫌な奴だが信頼はある。主様からの信頼だが。・・・・俺的には頼りたくない相手だ。

「消えろってひどいですね。電話をしたのはわたくしからですが。そのような態度、いくら大口のお客様だといえども、文句ぐら言いたくなりますね」

 初めの一言を否定するように、そいつは丁寧な口調で慇懃に言った。

 本来はこっちが地らしいが本当のところはどうなのか。この情報屋が本当のことを言うときは情報を金で買った時だけだ。それ以外は、真実をいうことはない。基本的には、だが。

「悪かった。何の用だ」

「君の主からの依頼です。聞いていなくてもいいのですが、すでに料金は払われていますので報告します」

「・・・ああ。たのむ」

 いったいどういった用事を言いつけられたのか想像できる。だから、黙って報告を聞いた。


「こんな時間か・・・・」

 いつも以上に働いた。だからか、時間の流れがいつも以上に早いような気がする。

「実際に早まってほしいぜ」

 すでに夜は明けて、空は白んでいる。清々しい朝日ではあるが、徹夜明けの目に沁みる。まぁ、戦闘中なら幾日徹夜したところで堪えないが。

「さっさと、片づけますか」

 まだまだやることは残っている。

 でも、やれることはすでにやりつくしてしまったから、後ははじめる前の後片付けだ。


 不特定要素を取り除く、不安分子を排除する、予想不可能領域を見通す。


 それができたら、戦う前に勝利はこっちのもんだ。


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