プロローグ
この小説は、一部残酷な戦闘や流血があります。それらに、嫌悪感を持つ方は、閲覧を控えてください。
俺は我儘だといわれる。
よく言われる。
俺自身そんなに我儘なことを言っているつもりはないんだけれど。どうしてだが、我儘だとか、傍若無人とか、自由奔放すぎるとか、無駄に無駄を重ねた苦労を強いられるとか。結構ひどいことを言われる。
まったく、身に覚えのないことを非難されている俺自身の身になってほしい。
もっとも、けっこう、楽しんでやってるんだけれど。
「どう思う?」
「何がだ?」
「いやいや、この状況のことだよ」
「どう思うとは?」
「いやだとか、思わないの?」
「・・・特にないが」
「そう?」
「ああ。ひとつだけあった」
「!なになに」
「この行為がいつも言われている、非難されていることだ」
「・・・?傍若無人とか、迷惑極まりないとか、苦労損だとかいうあれのこと?どこらへんがそうなの?」
「家出と呼ばれる行為」
「そうなんだ。俺、けっこうしてるよ。しょっちゅうじゃないけど」
「そうか」
「うん。そう」
ああ。こういうことをいうんだなぁ。
でも、俺にとっては全然迷惑でも、苦労することでも、ましてや非難されるようなことは何もしていない。
あれ?これが「自覚なしの迷惑行為」ってやつなのか?
「性質悪いね」
「ああ。性質が悪い」
「あは」
なるほど、なるほど。
みんな、こんな俺のことを非難していたんだ。
だけど、俺は悪くない。だから、非難されても、酷いことを言われても俺は俺のままだ。俺のまま、生きていくなんだから、このままの俺でいいだろう。
さぁ、愉快な家出の始まりだ。