休日、暇な日は
待ち望んだ、休日がやってきた。
――しかし。
「…………暇ぁ……」
俺はぼんやりとテレビを見つめながら呟いた。
ここ最近はずっと部活、部活、部活だったので(因みにテニス部だ)。いざ休日、やっと休めるー、などと浮かれていたのはせいぜい朝まで。ゆっくり起床し、ゆっくり着替え、ゆっくりご飯を食べてゆっくり歯磨きをすると。先ほどまで休日の素晴らしさを噛み締めていたのに、途端にやることが消え、逆に戸惑ってしまう。
「暇、暇、暇ぁーッ!」
コタツの中でごろごろ転がっても、自分の声が虚しく響くだけで、何だか悲しくなる。
親は休日出勤。妹は友達の家に遊びに行っている。俺だけが、こんな広い家に一人きり。
や、別に俺の家は金持ちではない。よって、特に家が広い訳でもなく、ごくごく一般的な家の広さである。それでも、一人きりになると急に、家が広く感じるのだ。ようは、気持ちの持ちようってことか?
「……テニス、してぇー」
普段ならキツイ部活をやりたいとは思わない。というか、大抵の人はそうなんじゃないか? 俺の場合で言うと、テニスは大好きだが、部活は好きではない、といった具合に。
「あー、テニスしてぇッ!」
しかし、家にテニスコートがあるはずもなく(あったとしても今は冬だから使えない)。かと言って、今からテニスコート(体育館)を予約する時間も金もない。
結局のところ、つまりは家でじっとしていなければいけないということだ。
「……あーあ、筋トレでもすっかな」
そう呟いて俺はおもむろに立ち上がると、コタツの隣りで、まずは腹筋から始めることにした。
――しかし。
「こんな絨緞の上、しかも私服で筋トレが出来るかー!!」
思わず自分にツッコミ。
もう、自分の馬鹿さ加減もここまで来てしまうと。
……溜め息しか出ない。
「あー、暇ッ、暇ッ、暇だぁッ!」
暇も俺の中でピークに達し。誰もいないにも関わらず一人で叫び始めた。虚しく響くその余韻を打ち消したくて、更に叫ぶ。
……俺って実は結構、寂しがり?
何て。虫唾が走るようなことを考えてる間も俺は一人で暴走する。
――刹那。
「ただいまー」
帰ってきたのは、妹。疲れたような、満足したような表情をしながら、靴を脱ぐ。
「夢ッ! 俺の相手になれー!」
「は!? ちょ、ちょっと兄チャン、何よいきなり!」
俺はすぅ、と息を吸うと、妹が友達から借りてきた(と思われる)DVDを指差して叫んだ。
どうでもいいが、俺はさっきから叫んでばかりじゃないか?
まあ、いいか。
「映画鑑賞会だッ!!」
……何だか、妹のあからさまな溜め息が聞こえた気がするが、聞こえなかったことにしておこう。
本当は俺だって、自分自身に、これでもなというほど。
――呆れているのだから。
結局何を伝えたかったんだ!というような話になってしまいましたが、ほのぼのに挑戦してみたかったので。




