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32歳、人生リセット、ただし異世界で  作者: トール
一章 異世界へ

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異世界におけるエネルギーメジャー

 俺は再び、ゴツゴツとした岩のような拠点に立ち、ゴーレムたちに目をやった。彼らは、俺の知識とこの世界の魔法が融合した、忠実なパートナーだ。特に、俺の「マナの結晶樹」探査計画において、彼らは不可欠な存在だった。


「よし、お前たち。新たな任務だ」


 俺はゴーレムたちを前に立ち、そう告げた。マナの結晶樹は希少なはずだ。その場所を知る者は少ないだろう。しかし、俺には頼もしい仲間がいる。彼らを広範囲に散開させ、その痕跡を徹底的に探させる。ゴーレムたちの魔力探知能力が、きっとその手がかりを見つけ出してくれるだろう。


 風属性のゴーレムは、その機敏さを活かして偵察に最適だ。空を飛び、森の奥深くを広範囲に探索し、風の力で微かなマナの変動を感知する。火属性は行く手を阻む魔物や障害物の排除、土属性は地面を掘り進める探索、雷属性は護衛として、俺の身を守る。そして、水属性のゴーレムは、湿気の多い場所や水辺の探索に使うことにした。


 ゴーレムの探知反応が狂ったように跳ね上がった。その先、森の奥に光る巨木を見た瞬間、この森がとてつもない富を秘めていることを確信した。


 優秀なゴーレムたちのおかげで、数日に1か所のペースで新たなマナの結晶樹が見つかっている。ゴーレムが発見した場所は、俺がマジックバックから取り出した印を地面に埋めることで、座標として記録される。これにより、いつでも正確な場所に戻ることができた。


 新しいマナの結晶樹が見つかれば、その守護者ガーディアンとの戦闘が待っている。巨大な岩のガーディアンが立ち塞がった。だが、その一撃は火属性ゴーレムの炎で焼き払われ、雷属性の痺れるような攻撃で動きを封じられた。俺はゴーレムたちの連携を眺めながら、淡々と結晶樹を確保する。戦闘を終えたゴーレムたちは、まるで任務を終えた兵士のように、静かに俺の背後に控える。


 新たなガーディアンの討伐を重ねるごとに、ゴーレムの体躯が、明らかに大型化していることに気づいた。それは、新たなガーディアンから得た大きな魔石を核として組み替えたからだろう。この確かな変化に、俺は自身の計画が順調に進んでいることを確信した。


 持ち帰った魔石は、拠点にいる監督官役のゴーレムにも組み込まれ、その体躯を大型化させていた。以前は俺の腰ほどの高さだったものが、今では俺の身長を超えるまでになっている。その威容は、拠点の安定性と、俺の権威を象徴するものとなっていた。


 一つ、また一つと結晶樹を確保していくたびに、俺は自分がただの冒険者ではないことを確信していく。星々の光を宿したかのような魔力は、マジックバックとゴーレム軍団の能力を最大限に引き出し、この世界のエネルギーを支配する、新たな「王」になるのだ。


 俺の胸に、かつてないほどの野望が灯る。この世界で、現代知識と魔法を融合させた新たな文明を築き上げるのだ。その第一歩となるマナの結晶樹の確保は、今や広大なフロンティアの征服に過ぎない。


 気づけば、かなり広範囲なエリアでの新エネルギー開発が行われた。俺の仮拠点には、魔石やマナ・クリスタルと合わせて、各種金属のインゴットもそろっている。膨大な資源を前にして、俺は冒険者としての知識では限界があることを悟った。


 魔石やマナ・クリスタルは、この世界の「石油」だ。だが、原油をそのまま使う文明はない。効率的に利用するためには、精製し、インフラを整備する必要がある。俺の頭の中で、壮大なエネルギー・ネットワークの設計図が描かれていく。

 

 まず、拠点に隣接する小高い丘を、土属性のゴーレムに平坦にさせた。ここを、魔力精製プラントの建設地とする。マナ・クリスタルを効率よくエネルギーに変換するため、火属性のゴーレムを炉心として利用した特殊な高熱炉を設計した。熱と魔力を融合させるこの技術は、この世界では前代未聞だろう。精製された高純度のマナは、俺が設計した「魔力バッテリー」に貯蔵される。マジックバックの容量を遥かに超えるエネルギーを、安全かつ安定的に供給するシステムだ。


 プラントの建設が進むにつれて、俺のゴーレム軍団も役割を細分化させていった。建設専用の大型ゴーレムは、まるでブルドーザーのように土砂を運び、巨大な石材を正確な位置に配置する。その姿は、まるで現代の建設重機だ。偵察や護衛、そして新たな結晶樹の探索は、今まで通りに各属性のゴーレムが担っている。


 しかし、新たな問題が持ち上がった。広範囲に渡る結晶樹から、どうやって効率よくエネルギーを集めるかだ。一つ一つの場所からバッテリーを運んでいては非効率すぎる。そこで俺は、魔法と科学の知識を組み合わせた新たなインフラ「魔力伝導ライン」の構築を決意した。魔力に反応する特殊な鉱石を使い、結晶樹の場所からプラントまで、高密度のマナを流すパイプラインを地中に埋設していく。雷属性のゴーレムは、その伝導効率を最大化するよう、ラインに微弱な魔力を流し続ける役割を担った。


 この大規模な開発は、もはや秘密裏に行えるものではなかった。空から見れば、森のあちこちで魔力の光が点滅し、地中を這う魔力伝導ラインは、この世界の住人には理解不能な「異物」として認識されるだろう。来るべき接触に備え、俺は先に動くべきだと判断した。


 食料を司る「穀物メジャー」と、新たな力を生み出す「エネルギーメジャー」。この二つの力を蓄えながら、俺は静かに思案した。いずれこの世界の人類との接触は避けられない。ならば、受動的に待つのではなく、俺の望む形で接触を図るべきだ。俺はゴーレムたちに、近隣の人里を捜索するよう命じた。

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