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32歳、人生リセット、ただし異世界で  作者: トール
三章 魔法と錬金術の探求と「特別な力」の獲得

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目指せぼっち生活

 俺が、この異世界でも「ハイスペックな生活様式」、つまりテクノロジー、効率性、健康、そして自己実現を追求する、高度に洗練されたライフスタイルを実現した。


「御屋形さま、朝のトレーニングのお時間です」


 トレーナーゴーレムが迎えに来る。


 トレーニングルームへと足を踏み入れると、トレーナーゴーレムがすでに待機していた。その全身は、俺の雷魔法に耐えられるよう、特殊な魔法耐性コーティングが施されている。


「今日のトレーニングは、新しい雷魔法の習得に重点を置きます」


 俺がマスターした雷魔法は、サンダー(雷撃) と スパーク(感電) の二つ。


 サンダー(雷撃): 最も基本的な雷魔法で、雷の球や矢を放ち、敵に直接ダメージを与える。

 スパーク(感電): 敵を麻痺させる効果がある魔法だ。


 今日は、サンダーボール(雷球) と サンダーアロー(雷矢) をマスターしたいものだ。


 サンダーボール(雷球): 威力を増した雷の球を放つ。

 サンダーアロー(雷矢): 敵を追尾する雷の矢を放つ。


「雷魔法のさらなる高みを目指すため、まずは、サンダーボールとサンダーアローの特性を理解することが重要です。」


「サンダーボール(雷球)は、基本魔法のサンダーを応用し、より強力な一撃を放つ魔法です。単なる雷の球ではなく、魔力を凝縮して放つことで、広範囲への破壊力や、着弾時の衝撃波を生み出すことができます。」


「トレーニングの第一歩として、まずは魔力を球状に集中させる練習から始めましょう。魔力の密度を高め、爆発的な威力を生み出すには、強い集中力と緻密な魔力制御が不可欠です。」


「サンダーアロー(雷矢)は、敵を追尾するという特性を持つ、サンダーの進化系魔法です。これは、単に魔力を放つだけでなく、対象を認識し、追跡する追尾ホーミング の魔法理論が組み込まれています。」


「この魔法を習得するには、まず標的となるゴーレムに意識を集中させ、魔力の流れに追尾の意志を込める練習が必要です。雷の矢が、まるで生きているかのように標的を追いかける感覚をつかむことが、成功への鍵となります。」


「本日のトレーニングは、まず魔力をサンダーボールの形に凝縮する練習から始め、その後、追尾の感覚をつかむためにサンダーアローの練習へと移行します。」


「準備はよろしいでしょうか?」


 俺は両手のひらを合わせ、目を閉じて魔力の流れに意識を集中させる。


 最初はうまくいかない。魔力は形をなさず、指の間から霧のように漏れていく。だが、俺は焦らない。何度も、何度も、魔力を手のひらの上で球状にしようと試みる。


 数分後、微かに手のひらの間で熱を感じた。それは、魔力が凝縮され始めた証拠だ。さらに集中し、魔力の密度を高めていく。次第に、手のひらの間で小さな雷の光が瞬き始めた。そして、それは次第に輝きを増し、安定した球体へと変化していく。


「御屋形さま、素晴らしい!」


 トレーナーゴーレムが感嘆の声を漏らした。


 俺はゆっくりと目を開ける。手のひらの上には、眩い光を放つ雷の球、サンダーボールが揺らめいていた。


「よし、次はサンダーアローだ」


 俺は標的のゴーレムに視線を向け、指をさし、魔力を放出し、その制御に集中する。


 先ほどまで手のひらで丸めていた魔力を、今度は細く鋭い矢の形に変える。そして、その矢に、ゴーレムを追うための「意志」を込める。


 最初は、魔力の矢がまっすぐゴーレムに向かうだけで、少しでもゴーレムが動くと明後日の方向へ飛んでいく。追尾の感覚が掴めない。


「御屋形さま、魔力に「導き」のイメージを乗せてください」


 トレーナーゴーレムがアドバイスをくれた。


「導き」…か。


 俺は再び集中する。雷の矢を放つと同時に、魔力の流れがまるでゴーレムの周りを包み込むようにイメージする。


 すると、どうだろう。ゴーレムが横に一歩動いた瞬間、矢もそれに合わせて軌道を変えたのだ。まるでゴーレムに磁石がついているかのように、雷の矢がぴたりと追尾していく。


 そして、ついにその矢は、標的のゴーレムに吸い込まれるように命中した。


「御屋形さま、サンダーアローの習得、おめでとうございます!」


 トレーナーゴーレムが、機械的な声で祝福を口にした。


 俺は小さく息を吐き、自分の指先を眺める。たった数時間のトレーニングで、二つの新しい魔法をマスターした。やはり、このハイスペックな生活様式は、自己実現への最短ルートだ。


 次のステップは何だ?


 俺の知的好奇心は、新たな知識の探求を求めて燃え上がる。


 ◆


 その日の午後は、柔らかな日差しが降り注ぐ、絶好のワイバーン狩り日和だ。


 ワイバーンはマナの泉近くだけに出現するわけではない。いたるところに飛来し、人々に恐怖をもたらす。マナ結晶樹の遠方に一機のワイバーンを発見した。俺はスピーダーバイクを発進させ、一気に距離を詰め、腰に差していた黒棒を抜刀する。


 突然現れた俺に戸惑ったワイバーンは、反射的に翼をはばたかせた。だが、その一瞬の隙を見逃すはずがない。鋭い刃がワイバーンの右翼を切り裂く。翼を失ったワイバーンは、苦悶の咆哮をあげながらバランスを崩した。


 その隙に、俺は黒棒の先端をワイバーンに向ける。魔力を集中させ、雷の力を凝縮する。黒棒の先端から放たれたのは、サンダーアロー(雷矢)。雷でできた矢はワイバーンの体躯を追尾、刺突し、撃墜していく。


 警戒探索網にはもうワイバーンの姿は見つからない。大方、生真面目なドローンゴーレム隊が、マナ結晶樹を守るべく残りの個体を殲滅してくれたのだろう。


 さて、次のワイバーンを求めて、北の大山脈にでも向かってみようか。


 俺はスピーダーバイクのエンジンをふかし、北の大山脈へと向かう。


 ワイバーンを倒したとはいえ、まだ残りの個体がいるはずだ。警戒探索網には映っていなくとも、この異世界で生き残るためには、常に最悪の事態を想定しておく必要がある。


 スピーダーバイクは、俺のハイスペックな生活様式に欠かせないアイテムの一つだ。空を自在に飛び回り、この世界の隅々まで探索することができる。そして、万が一の事態に備え、俺は今日も腰に差した黒棒を握りしめる。


 北の大山脈に広がる未知の領域。そこには、どのような魔物が生息しているのか。新たなワイバーン、それとももっと強力な存在か。


 俺は胸の高鳴りを感じながら、スピーダーバイクをさらに加速させた。


 ◆


 午後の実技演習訓練を終え、練習室のトレーナーゴーレムと、本日のトレーニング、演習の振り返りを行う。


「御屋形さま、本日の雷魔法習得訓練、そして午後のワイバーン討伐演習、お疲れ様でした。特に、サンダーアローを実戦で応用できたことは、大きな成果と言えるでしょう。自己の魔力と外部の環境を調和させることで、より精密な魔法行使が可能になった証です」


 トレーナーゴーレムの報告を聞きながら、俺は今日の成果を噛み締める。やはり、基礎を固めることが、高次元な技術への最短ルートだ。


 シャワールームで汗を流し、ノースミッドタワーの執務室に入ると、アリアが待ち構えていた。彼女は、俺のぼっち生活を完璧にサポートする首席補佐官といってもいいほどだ。


「御屋形さま、おかえりなさいませ。午後の成果を拝見いたしました。新たな魔法の習得と、それを実戦で応用する様は、まさにハイスペックな生活様式の体現です」


 アリアはそう言って、俺のデスクの上にいくつかの書類を並べた。

「本日の夕食は、御屋形さまのお好みに合わせ、ワイバーンの希少部位を用いた特別メニューをご用意いたしましょう。それと、マナ結晶樹の新たな成長予測と、それに伴う防衛ドローンゴーレムの配置計画などについてのご報告がございます。」


 俺は椅子に深く腰掛け、アリアの報告に満足げに頷いた。


「ああ、それで頼む。それと報告を聞こう」


 俺はそう答え、アリアは静かに頭を下げた。


「マナの結晶樹の発見状況ですが……」

「東初級ダンジョンの攻略状況ですが……」

「西初級ダンジョンの方は……」

「バルザック商会との取引状況ですが……」


 アリアは次々と完璧な報告を重ねていく。その内容は、すべて俺のハイスペックな生活様式を維持するために必要な情報だ。


「それで、今後はどのような対策を打てばよろしいでしょうか」


 完璧な報告を終え、アリアが俺の指示を仰いだ。


 俺は椅子に深く腰掛け、ふっと笑みを浮かべる。


「いい塩梅にしておいて。アリアが俺のことをよく考えてくれているのはわかっている。だから、物事の具合や加減、バランスをちょうどいい状態に調整してほしいんだ。わかるよね?」


 俺はアリアの能力を深く信頼している。細かい指示を出す必要はない。彼女は常に俺の思考を先読みし、最善の結果を導き出す。この信頼関係こそが、俺の「ハイスペックな生活様式」を支える重要な要素だ。


「はい、御屋形さま!承知致しました」


 アリアは静かに頭を下げ、その場を後にした。彼女は俺の言葉の真意を完璧に理解している。具体的な指示ではなく、ある程度の裁量を与えることで、より柔軟かつ効率的な問題解決が可能になる。


 この表現は、相手に具体的な指示を細かく出すのではなく、ある程度の裁量(まかせる部分)を与える場面でよく使われる。俺にとって、アリアは単なる秘書奴隷ではなく、俺の理想を共有する最高のパートナーなのだ。


 この異世界での、俺のぼっち生活は、これからも進化を続ける。


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