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32歳、人生リセット、ただし異世界で  作者: トール
三章 魔法と錬金術の探求と「特別な力」の獲得

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驚異的な成長

 この仮拠点を中心に築き上げた“鎖国都市国家”は、今や順調に成長を続けている。


 この異世界に降り立ち、まず着手したのは飲み水の確保。次にこの場所に仮の拠点を設け、食糧を確保した。しかし、大きな転換点は「小さな岩人形」を創造した時だ。彼らのおかげで、俺の活動は驚くほど迅速に、そして正確に進むようになった。


 岩人形たちは、まるで俺の意志を体現するかのように、自ら成長・増殖を繰り返しながら、都市国家の礎を築き上げてくれた。


 軍事力の強化から、農地開拓、醸造所の設置、エネルギーの確保まで。また、鎖国国家の唯一の貿易窓口として、エト村やバルザック商会との取引を開始し、奴隷の買い付けや商会の設立、担当者の配置も矢継ぎ早に進めてきた。


 俺は、誰にも邪魔されず、一日中過ごせる完璧なシステムを構築したはずだった。


 まあ、多少のイレギュラーは許容しよう。仕方ない。猫が一匹アリア紛れ込んだことも、百歩譲って許そう。周囲がゴーレムだけでは味気ないかもしれないしな。


 だが、最近は猫とゴーレムが何かとコソコソとやっている。


 いや、気付いたらこの仮拠点は三十階層の巨大タワーになり、革製品製造工場、大型総合病院が建ち、「神社」まで設置されている。極めつけは、あの猫が諸葛亮孔明のごとく、趙雲子龍を二体も引き連れていることだ。いったいどこを目指しているのやら、技術担当のゴーレムまでノリノリでやっている。


 次は輸送機とその空港を造っているらしい。


 こいつらが調子に乗る前に、一度くぎを刺しておかなくてはならない。


「御屋形さま、朝のトレーニングのお時間です」


 おっと、トレーナーゴーレムが迎えに来た。些末なことは放っておいて、レベル上げと魔法習得に集中することにしよう。俺の知らぬ間に、この仮拠点ノースミッドタワーは、とんでもない方向へ進んでいるようだ。


 ◆


 革製品製造工場では、カーフスキンを製造。カーフスキンは、生後6ヶ月以内の仔牛の革で、牛革の中でも最も上質とされている。その製造工程は、非常に繊細で、熟練の技術を要する。


 カーフスキンの製造は、大きく分けて以下の工程に分かれる。

 原皮の準備:生皮から不純物を取り除き、革として加工できる状態にする。

 なめし(鞣し):腐敗しやすい「皮」を、丈夫で長持ちする「革」に変える最も重要な工程。

 染色・加脂:革に色を付け、柔軟性を与える。

 仕上げ:革の表面を加工し、用途に合わせた質感や光沢を出す。


 他に、金属加工部門や縫製部門などがある


 バッグの金具は、デザイン性や機能性を高める上で非常に重要な役割を果たしている。金具の種類や製造方法は多岐にわたる。


 留め具:バッグの開閉に使う金具。

 錠前:鍵付きのもの。

 ひねり金具:ひねって開閉するもの。

 差し込み錠:差し込んで固定するもの。

 マグネットホック(ボタン):磁力でくっつくもの。

 バックル:ベルトの留め具。


 接続・装飾金具:バッグの各パーツをつなげたり、装飾として使われるもの。

 Dカン、丸カン、角カン:D字、丸、四角の形をしたリング。ストラップや持ち手を取り付ける際によく使われる。

 ナスカン:カラビナのようなフック状の金具。取り外し可能なショルダーベルトなどに使われる。

 カシメ、ハトメ:生地を固定したり、補強したりする際に使われる鋲。

 底鋲:バッグの底面を保護するために取り付けられる鋲。


 その他

 リュックカン(移動カン):リュックのショルダーベルトの長さを調節する金具。

 引手:ファスナーに取り付けられたつまみ。

 チェーン:ショルダーベルトなど。


 バッグの金具は、主に以下の工程を経て製造される。


 デザイン・設計:製品のコンセプトに合わせて、金具のデザインを考案する。

 金型製作:デザインに基づき、金具を成形するための金型を作成する。この金型の出来が、製品の仕上がりを大きく左右する。

 成形:金型に金属を流し込んで、金具の形を作る。

 表面処理メッキなど:金具にメッキ加工を施し、見た目の美しさを高めたり、錆びにくくしたりする。ゴールド、シルバー、アンティークゴールド、ニッケルなど、様々な色合いがある。

 研磨・仕上げ:成形された金具の表面を研磨し、滑らかに仕上げる。

 組み立て(必要に応じて):複数のパーツで構成される金具は、ここで組み立てられる。

 品質検査:完成した金具が、デザイン通りに仕上がっているか、強度や機能性に問題がないかなどを確認する。


 縫製部門では、主にコットンをして、天然素材ならではの風合いや肌触りの良さを活かし、衣類から小物まで幅広い製品に使われている。その縫製工程は、製品の種類やデザインによって多岐にわたる。


 1. 企画・デザイン

 デザイン画作成:どのような製品を作るか、デザイン画を作成する。

 仕様書作成:製品のサイズ、素材(コットン生地の種類、糸、副資材など)、縫い方、各パーツの寸法などを細かく記載した仕様書を作成する。

 2. パターン(型紙)作成

 パターン作成:デザイン画と仕様書に基づき、製品の各パーツのパターン(型紙)を作成する。

 トワル作成:パターンに問題がないか確認するため、シーチングなどの仮素材でサンプルを作成し、デザインやサイズ感を検証する。

 3. 生地準備

 生地選定:仕様書に基づき、製品に適したコットン生地を選ぶ。コットンの種類(ブロード、オックス、ツイル、サテンなど)や厚み、色、柄などを考慮する。

 生地検査:ロットごとに色や風合い、生地にキズや汚れがないかなどを検査する。

 生地裁断:パターンに合わせて生地を裁断する。

 4. 縫製工程

 縫製は、製品の各パーツを組み合わせ、製品として形にする重要な工程だ。

 パーツ縫い合わせ:

 各パーツ(前身頃、後身頃、袖など)を縫い合わせる。

 縫い代の処理(ロックミシン、袋縫いなど)もこの段階で行う。

 ポケット付け、ファスナー付け:

 製品のデザインによっては、ポケットやファスナー、ボタンホールなどを付ける。

 襟、袖付け:

 襟や袖など、各パーツを本体に取り付ける。

 最終縫い合わせ:

 全てのパーツを縫い合わせて、製品の形を完成させる。

 仕上げ:

 糸始末、アイロン掛け、ボタン付け、スナップ付けなどを行う。

 5. 検品・仕上げ

 検品:

 製品の縫い目やサイズ、デザイン、糸のほつれなどに問題がないかを厳しくチェックする。


 このような革加工や金属加工、縫製の技術は、いずれ違う分野の基礎技術となり、さまざまな影響を及ぼしていく。


 ◆


 大型総合病院の一室では、日々、魔道義肢の開発が続けられている。


 錬金術と魔法の力を駆使し、生体と一体化する特殊な義肢を生み出す。それは単なる補助具ではない。神経や感覚を再現したこの義肢は、戦闘で手足を失った兵士たちのために、生体部品と機械部品を融合させたサイバネティックス技術によって作られる。


 脳から送られる神経信号を読み取ることで、まるで自分の手足のように自然に動かすことが可能だ。指先の微細な動きや、物を掴んだ際の触覚フィードバックさえ再現する。さらに、耐久性の高い金属や合成素材を使用することで、魔法攻撃にも耐えうるほどの堅牢さを持つ。


 この義肢は、元の身体能力を上回るよう調整することもできる。左掌に銃身を埋め込んだり、魔道シールドを装備したりといった改造もその一環だ。


 融解した皮膚を覆うように施された特殊なコーティングは、患部を保護するだけではない。それは魔力を纏う第二の皮膚となり、身を守るだけでなく、ステルス機能を発動させる。全身をコーティングすれば、周囲の景色に溶け込み、"インビジブル"な存在、すなわち「透明人間」と化すのだ。


 サイバネティックス技術は、体内に埋め込まれるインプラントとしても利用される。これらは、特定の能力を付与したり、生命維持を助けたりするために使用される。「始まりの村のパン屋」店長ギルフォードが、なぜか首席補佐官らしく振る舞うアリアのもとに送り込んできた犯罪奴隷(侵入者)には、全員インプラントが体内に埋め込まれて、アリアからの命令を直接脳に受信する。一種の洗脳である。


 義肢の装着案件は、このところ増加の一途をたどっている。


 どうやら、新兵たちが厳しい訓練に耐えきれず、欠損を負うケースが増えているようだ。あるいは、もともと欠損を抱えた奴隷が連れてこられたか。


 いずれにせよ、様々な機能を搭載した義肢が、テストケースとして次々と融合されていく。


 ◆


 大型総合病院に隣接された技術開発棟にて、特殊なコーティングを魔道ゴーレムに施すテストがおこなわれている。


 この異世界では、サイバネティックスの最も一般的な応用例はゴーレムだ。ゴーレムは単純な労働から複雑な戦闘、医療、外交まで、社会のあらゆる面で不可欠な存在となっている。各ゴーレムは、その役割に合わせて特定の機能を果たすようプログラムされている。


 そして今、特殊なコーティングが施され、透明“ステルスゴーレム”が誕生しようとしている。


 このステルス技術は、新型の空挺輸送機「グリフォン」にも応用される。


「グリフォン」と「ステルスゴーレム」を組み合わせることで、偵察や急降下襲撃など、従来の部隊では困難だった作戦の実行が可能となる。


 この技術の確立は、第二大隊の存在意義を揺るがすかもしれない。


 ◆


「超高度元素を発見しました」


 技術開発棟の別の開発室内に、無機質な声が、響く。


「精製脱結晶作用を確認。これより、魔道エネルギーの生成を開始します」


 技術担当ゴーレムは、合成音声で淡々と報告した。


 人工マナ・クリスタルの製造工程で、予期せぬ貴重な元素が見つかり、プロジェクトは更なる成功へと一歩を踏み出した。


 マナ精製プラントでは、高純度のマナが日夜生産されている。それはマナ・クリスタルを効率よくエネルギーに変換するために精製された、まさに魔法文明の生命線だ。


 しかし、その生命線は、いつか必ず枯渇する。天然のマナ・クリスタルは有限なのだ。


 ゆえに、人工マナ・クリスタルの創造は、もはや急務を通り越して、この都市国家の存続をかけた最重要課題となっていた。


 人工マナ・クリスタルの創造は、この鎖国都市国家を「エネルギーメジャー」としての揺るぎない地位へと押し上げてくれるだろう。そして、それは「穀物メジャー」と並び、鎖国政策における唯一の貿易窓口を、より確固たるものとしてくれるはずだ。


 ◆


 トレーニングルームへと足を踏み入れると、トレーナーゴーレムがすでに待機していた。その全身は、俺の雷魔法に耐えられるよう、特殊な魔法耐性コーティングが施されている。


「今日のトレーニングは、雷魔法の精密制御に重点を置きます」


 無機質な声が告げた。


「では、まず低威力の雷魔法で、水に濡れた金属片を狙ってください」


 俺はゴーレムの指示に従い、掌に微弱な魔力を集中させる。指先から放たれた雷の軌道がわずかに揺らぎ、金属片をかすめる。


「目標の横に外れました。マナの集中をさらに精密に」


 何度か試行錯誤を繰り返すうちに、指先から放たれた雷は、迷いなく金属片に吸い込まれていった。ビリリと音を立てて、金属片から白煙が立ち上る。


「次に、魔法の複合練習です。水属性と雷魔法を組み合わせて、より広範囲の敵にダメージを与える訓練をします」


 トレーナーゴーレムが水を噴射する。俺はそれに向けて、雷を放つ。水と雷が触れ合うと、周囲の空気が一気に痺れるような感覚に包まれた。


「素晴らしい。最後に、魔導バッテリーを使用します」


 ゴーレムが差し出したのは、雷のルーンが刻まれたグローブだ。それに掌をかざすと、魔力がグローブに吸い込まれ、ルーンが淡く発光する。


「このバッテリーに雷のエネルギーを一時的に蓄積できます。連続して魔法を使用したり、威力を増幅させたりすることが可能です」


 俺はグローブに魔力を注ぎ込み、雷を放つ。すると、先ほどとは比べ物にならないほどの雷が放たれ、トレーニングルームの壁に深々と焦げ跡を残した。


 トレーニングを終え、汗を拭う。この都市国家は、俺が想定していた以上に、大きな変化を遂げていた。ゴーレムたちの勝手な発展は、時に些末な問題に見えるが、それは俺の意向に沿っているうちは、お目こぼししてやろう。


 俺は、再び作業台に戻り、新たな魔法の習得に集中することにした。まだ見ぬ脅威に備え、さらなる力を手に入れるために。


犯罪奴隷(侵入者)

 貴族の使い走りや商会の調査員など、悪意を持って跳ねる小鹿商会の敷地内に侵入してきた者たち。彼らは捕獲され、犯罪奴隷としてノースミッドタワーのトレーニングルームに送られた。彼らは生活のために犯罪に手を染めた者もいれば、任務に失敗して見捨てられた者もいる。自由を奪われた彼らは、生きるために戦うしかない。


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