幕間
俺は、新たに引き取った奴隷たちを仮拠点へと連れて行った。彼らの持つスキルや能力を見極め、それぞれの役割を与えていく。
まず、元冒険者は62人。彼らを二つの大隊に分け、第一大隊は元冒険者のザックに、第二大隊はライアスに任せた。彼らには、周辺の森の探索、情報収集、そして拠点の護衛と防衛を担ってもらう。
次に、魔法使いは10人。彼らは一つの中隊としてまとめ、経験豊富な冒険者であるリアを隊長に据えた。
斥候は3名。領土の地図作成や情報収集という重要な任務を彼らに託す。そして、鍛冶師や職人の4名には、拠点内で使う道具や武器の生産を任せることにした。
「新しい仲間たちよ。新たな人生を始めるにあたり、俺の元へとようこそ。これからは、あなたたちの力を最大限に引き出し、我々の未来を築いていきたい。」
これから3か月、我々は共に訓練を重ねる。この3か月間で、君たちにはこれまでの自分とは全く違う、新しい自分になってほしい。
第1段階(1か月目): 基礎力の徹底強化
最初の1か月は、土台作りだ。元冒険者たちは、部隊としての連携を徹底的に学ぶ。個々の力はあっても、集団で動くことの重要性を理解し、互いの動きを予測できるようになれ。魔法使いたちは、日々の魔力制御訓練を欠かさず、実践的な魔法の使い方を身につける。斥候は、地図作成の基礎と情報収集の基本を叩き込む。職人たちは、拠点の資源を活用した生産技術の習得に励んでくれ。
第2段階(2か月目): 実践と応用
2か月目からは、より実践的な訓練を始める。第一大隊と第二大隊は、連携して森の偵察や模擬戦闘訓練を行う。魔法使い部隊は、護衛任務や罠の解除など、様々な状況に対応できる応用力を身につける。斥候は、より広範囲の偵察や敵の動向を探る訓練に入る。職人たちは、より効率的な生産方法や、新しい道具の開発にも挑戦してほしい。
第3段階(3か月目): 総仕上げと実戦配備
最後の1か月は、これまでの成果を確かめる時期だ。訓練の総仕上げとして、実際の任務を想定した総合演習を実施する。全員がそれぞれの役割を完璧にこなし、全体の連携が円滑に行われることを確認する。この3か月後、君たちはもはや「ただの奴隷」ではない。我々の共同体にとって、かけがえのない戦力となるだろう。
この3か月を乗り越えれば、君たちの人生は大きく変わる。過去の自分を捨て、新しい未来を掴むのだ。私と共に、この地を開拓し、我々の帝国を築き上げようではないか。期待しているぞ。
そして、最も革新的な存在、ゴーレム部隊。隊員数はまだ不明だが、前世界で俺が持っていた知識をもとに、まるで革命と呼べるほどの技術が次々と導入されていった。特に、俺の雷属性から解析された電気電子分野の技術は、生活技術はもちろん、戦争、建築、治水、第一次産業、医療など、あらゆる分野で急速な発展を遂げていった。
特に、医療分野では、元冒険者の奴隷たちのけがや病気、そして軽度の欠損部分の回復までも実行していた。
クレメンス子爵代理人のハーマンは、姿を見せない俺という存在に警戒心を抱きながらも、その恩恵を捨て去ることはできずにいた。
そのわずかな時間で、俺はこの異世界の人類の手が入っていないこの森を完全に占領し、動力パイプを敷設して領地を拡張していった。その範囲は、北にそびえる名も知らぬ山脈の麓にまで達していた。