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第18話 後悔はない

あの後、アイテムボックスから何かを呼び出していた龍哉くん。


その何かは僕には見えなかったけど、何か指示を出してたみたい。


そんなことを挟みつつ、今僕たちは山道途中の休憩所に来てる。


休憩所と言っても、ちょっと立派なプレハブ小屋みたいな感じ。


自販機と水道が使えるだけでも、今は凄い助かってる。




誰もいない休憩所のテーブルで、僕は龍哉くんに怒っていた。


「薄皮っていったじゃん!!」


僕は今涙目で、龍哉くんに差し出された右手に、龍哉くん常備の包帯を巻いている。


もう見えなくなったけど、卒倒するかと思うぐらいに深かったんだよ!


「……悪い、かっこつけた」


左手で、空中に浮かんでいる黒い箱に触っていた龍哉くんが応えてくれる。


「じゃあ仕方ないね!!」


そんなこと言われたら無理じゃん!


……僕のためだったんだもん、それ以上言えないよ。


いつもなら、ずっと僕をみてる龍哉くんが、真剣な表情で箱をいじっていた。


「……どうかしたの?」


「あぁ。中身の確認、だな」


龍哉くんが、僕に見えやすいように浮いている箱をすーっと動かしてくれた。


これはファンタジー!!


「まずは最後の戦いで、ほぼ出し切ったから何が残っているかの確認だな」


蓋があいた箱の中には空間が広がっていて、何個もの色が違う箱が入っていた。


「これは、大体把握は終わった。正直、最盛期に比べると戦力的には空っぽも同然だな」


「あれ、あの蛇さんとかはどうなの?」


かっこかわいい白い大蛇を思い浮かべる。


ものっすごく強そうだったよ?


「あー、あいつはああ見えて戦闘用じゃなくて妨害用なんだ。今の手持ちの中では上位ではあるが……」


「……そういえば、あいつって呼んでるけど、名前とかないの?」


僕の質問に、龍哉くんがそっと目をそらす。


むむ?


「名前……個体名じゃないが、系統の名前は、ある」


「なんか歯切れ悪いけど、教えてくれる?」


少し葛藤した龍哉くんが、ぽそりと答えてくれる。


「……《咎縛りのとがしばりのへび》だ」


「おー、格好いい!」


僕の反応に、ほっとした龍哉くんが肩の力を抜く。


もしかしてネーミングセンス気にしてた?


僕もそういうの好きだよ?なんならポーズ決めちゃう?


でも呼ぶの長いし、とがちゃんとかがいいかな?


「龍哉くんのアイテムボックスって、ああいう……使い魔、みたいなのが多いの?」


「あぁ、俺の主力は従魔だな」


「従魔?」


使い魔とは違うのかな?


「あー、なんて言うか。無理矢理従わせてる感の強い使い魔、って感じだ」


よくある隷属の首輪とか、そういう感じかな?


「他に武器はないわけじゃないが、ほぼ使い切ってるし今の俺じゃ持てないな」


龍哉くんでも持てない武器とは……?


最盛期龍哉くんとやらはいったいどんな姿だったのか、だいぶ興味はあるなー。


「とりあえず、あっち基準だと物足りないが、こっちだと過剰な戦力はある」


「……もしかして、龍哉くん今俺つえーできちゃう?」


僕の質問に、少し考えこむ龍哉くん。


「そうだな……魔力問題がどう影響するかわからないが、想定通りに動けば軍隊でもない限り負けないだろ」


「すごい、一度でいいから言ってみたいやつだ!」


龍哉くんまさかの無双系主人公!?


……あれ?もともと日常でも無双してた気がするぞ?




「あとはまぁ、無差別に放り込んだものが多すぎてそっちは追々整理だな」


「そんなに沢山あるの?」


聞いてる限り、龍哉くんは当たり前に言ってるけどもしかしてアイテムボックス容量無制限系?


「まぁ、見つけた資材とか滅んだ国とかの宝物庫は根こそぎ入れたからな……」


「まさかの国家予算……!」


そのあたりを確認しだした龍哉くんが、引きつった笑みを浮かべる。


「どうしたの?」


「……テレビでも見たことないようなサイズのダイヤとかあった」


人の頭ぐらいのサイズのダイヤモンドの原石を取り出す龍哉くん。


しかもそれピンク色して……。


「見なかったことにしよ?」


「おう」


とりあえず龍哉くんが世界一の大金持ちの可能性が出てきたけど、忘れようと思います。


僕は今で十分満ち足りてますので!




何度も龍哉くんの顔が引きつってるのを見ていたら、少しずつ表情が強張っていった。


「どうかしたの?」


「いや、さっき感じた違和感の正体を再確認していたんだが……嫌な予想が的中した」


黒い箱から、さらに赤や青、黄色などカラフルな箱達を取り出し宙に浮かべる龍哉くん。


おぉ、これはなかなかのファンタジー感!


「危険度で色を付けて階層ごとに管理してるんだが、ちゃんと整頓はしてたんだ」


龍哉くん几帳面だからね、想像がつくよ。


「なんだが、それが不自然に寄っていた。まるで、何かが入り込んで押しのけたみたいにな」


「そんなことできるの?」


大体アイテムボックスって他人は使えないイメージあるよね。


「いや、俺が許可しないと無理だ。となると、予想できる可能性は、一つだな」


大きなため息をついた龍哉くん。


「あの神、オマケを付けるのはいいが、邪魔なものまで放り込みやがったな……」


……どゆこと?


僕が首をかしげていると、それに気づいた龍哉くんが説明してくれた。


「魔王を倒して、願いを叶えて貰った時に、オマケをするって言われてな」


「それがアイテムボックス?」


「そうだ。で、その中にたぶん、神からしたら邪魔なごみも放り込んだんだろう」


邪魔なごみ入れるのはひどくない?


「邪魔なごみって?」


「俺の身体」


「えぇっ!?」


自分の身体を邪魔なごみ扱いはどゆことだよ!?


「あぁ、すまん。魔王と戦った時の身体だな。魔改造しすぎて厄災とか邪龍とか呼ばれてた奴」


「え、龍哉くんドラゴンになってたの……?」


何それかっこいい。


しかも厄災とか邪龍とか、僕の内なる何かが目覚めそう!


「で、それが入ってたの?」


「いや、入ってた痕跡があった」


え、ということはもしかして……。


「何時かはわからないが、そいつは外にいる。そして、動き出してる」


「龍哉くんはここにいるのに動くの?外に落ちてるとかじゃなくて?」


僕の指摘に首を振って否定する。


「死体でも要因があれば十分動く。というか俺の従魔が基本そうだ」


「……ちょっと思ってたけど、ダークヒーロー寄りなんだね龍哉くん」


とがちゃんとか、デザインはともかく全身骨だったし。


「あー、まぁ。手段選んでられなかったからな……」


そういいながらも、特に後悔を感じてなさそうな龍哉くん。




……前からちょいちょい気づいてたけど。


「……龍哉くんは、後悔してないの?」


僕が、手段を選ばなかったことを聞いているのだと気付いて。


「あぁ、してない」


迷わず、そう答えた。


あんなに、僕のことを後悔してたのに。


「……僕以外の後悔は、ないの?」


だから、まっすぐ聞いてみる。


しっかりと、目を見て。


龍哉くんも、僕の目を見て。


「ない」


断言した。




一般論だと、よくそんな風に言えるな、とかいろいろ言われるかもしれないけど。


それでも。


僕には、その言葉がうれしかった。


他の何を犠牲にしても、僕への想いを貫き通してくれた龍哉くんの、その言葉の重さに。


お前だけでいいんだって、プロポーズみたいに聞こえてしまった。


なんだか顔が赤くなってきた僕だけど。


重い言葉を受け取ったことは、絶対後悔しない。


そんな僕を見て、うれしそうな顔をする龍哉くんも、そうなんだと思う。


僕たちは、お似合いだって思えて。


うれしかった。

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