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第六話 恋愛って?(2)

 

「えっと、本日はお日柄もよく…王太子殿下におかれましてはいつにも増してお美しく……」

「うん、それで?」

「………」

「………?」


 圧がすごい。

 顔は笑っているのにこんなにも圧を感じるというのはどういうことだろうか?僕は全然怒ってないんだよ。という雰囲気であるものの本心では全然違うことを考えているのだろうと容易に想像出来てしまうのだから余計に怖い。


 今私の目の前にいらっしゃるお方はディアン王子でこの国の王位継承順一位の王太子様である。もちろん、いうまでもなく、いちこいの攻略対象だ。


 その彼はというと、王道王子様というように紳士的な振る舞いとは裏腹に水面下で物事を進めるのが非常に上手い。乙女ゲーの代名詞?である悪役令嬢の断罪シーンではプレイヤー達もやりすぎでは無いかと軽く引くほど完璧は証拠を集めて来ての断罪だった。またハッピーエンドでは主人公のことを逃げられないようにといつの間にか囲っていたり。それが良いといちこいの攻略対象の中では不動の地位を築いている。


「王子殿下。失礼を承知で申し上げます。」

「ん?」

「本日聞いてしまったことは絶対に他言致しません。それ以前に殿下にお会いした事も誰にも話しません。ですからお互いのためにも無かったことにして頂けると幸いでございます。それでは私はこれで……失礼致しましたっ!」


 結果:逃げた。


 まだ心臓がどくどくいっていようで、気分はまるで某親友の為に太陽よりも早く走ったとか言われているメ○スのようだ。

 だって仕方がないと自分に言い聞かせる。誰だって急に攻略対象とエンカウントしたら冷静では居られないだろう。敬語が抜けなかったことを褒めて欲しいくらいだ。


 一人で歩く様なことは今後控えようと心に強く誓った私は、お城の侍女さんを捕まえて魔法研究所まで送って貰った。お礼に次に王宮に来た時にお菓子でもあげようと名前を聞いたので、どんなお菓子だと喜んでくれるかな?と考えるちょっとした楽しみが増えた。



 ***



「それにしても、やっぱり似てたな。」


 ルシアン様とディアン王子は兄弟なのだからと言われたらそれまでだか、瞳の綺麗な青色に金髪と銀髪の対比。髪色を除けばほんとにそっくりで、思わず双子かと疑ってしまうほど。強いて上げるとするならば、ルシアン様には目元に幼さがのこっているくらいだ。お互いがお互いの髪色に変えたら多分見分けがつかないのではないか?


 しかし、ルシアン様の意外な一面を知れたという意味では今日はとても有意義な一日だった。まさか恋愛小説を読んでいるなんて……可愛い、控えめに言っても可愛すぎる。これを公式からの供給と言わずになんというのか?推しと関われて居るだけでも幸せなのに、こんなに幸せな思いをしてもいいのかと寧ろ怖くなってきた。


「今度ルシアン様とも恋愛小説についてお話したいな…」


 前世では色々と読み漁っていたなぁと思いだす。同じジャンルのものは無いとしても、似たようなものを探してみたいな。転生なんて絶対にありえないと思っていたのに、いざ転生したとなると全く実感が湧かないから不思議だ。ゲームのなかだから当然なのかもしれないが。


 家に帰ったらお父様に恋愛小説を買って貰えるようにおねだりして、お母様と一緒に今日案内してくれた侍女のサラさんにあげるお菓子を選んで、今日知ったルシアン様についてのこともいちこいについて纏めてあるノートに書き写して……


 今日一日で動揺しまくっていた王子たちのことなんていざ知らず、ワクワクに胸を高鳴らせながら馬車の心地の良い揺れに身を任せるのだった。



 ***



「ルシアン殿下大丈夫ですか?体調が優れないのならば夕食はお部屋でとられますか?」

「あ、うん、そうするよ。」


 恋愛小説を読んでいることをアメリアにバレてしまった挙句、好きな人がいると宣言される始末。流れ込んでくる情報が多すぎて処理落ちしそうだった。そのおかげで今でもどこか上の空である僕を見て使用人達に心配されている。


 こんなことで動揺している様では王族失敗だと気合いを入れて分厚い魔法書を読み進める。しかし、内容が頭に入って来ないのは危機的状況だろう。



 使用人の計らいで自室に用意して貰った夕食を食べ、もう一度魔法書に向き合おうとした時。


 ──コンコンコン


「ルシアン、僕だ。今ちょっといいか?」

「ディアン兄様?どうぞ。」


 思ってもいなかった来客に驚く。家族といえども合う機会も話す機会も少なく、夕食時か週三回ほどの社交レッスンの時くらいだろう。しかし、幸い仲が悪いわけではなくいい関係を築けていると思う。


「お父様とお母様が心配していたようだったけど、杞憂のようで安心したよ。お二人とも婚約について話していた時からルシアンが思い詰めているようだと感じていたみたいだったからね。それが重圧になってしまっているのではないかと。」

「お気遣いありがとうございます、お兄様。一つ聞いてもいいですか。お兄様は自分の婚約についてどうお考えですか?」

「婚約ね、何も思っていないよ。こればかりは貴族、ましては王族に生まれたのだから義務だろうね。自分と同じ方向を向いているなら誰でもいいさ。まぁ、どっちにしろ上手くはやると思うけどね。」


『義務』

 お兄様が言っていることは恐ろしい程に正論だ。


「ルシアンはそう考え込まなくていいと思うよ。自分が思うようにすればいい。でも、早くしないと取られるよ。魔法の器具なしで魔法を扱える人は貴重だ、それに侯爵家となれば婿入りしたい家も沢山あるだろう。それに第一、ルシアン自身がこの国を離れないという保証はない。」

「それはどういう……?」

「隣国の国王の跡継ぎは僕達より年下の皇女ただ一人だけだ。この意味が分かるよね?」


 確かに僕やお兄様含め学園入学と同時に支給される魔法器具なしで魔法を扱える人は少ない。一説に言うと貴族と平民全てを合わせてもひと握り居るか、居ないかのレベルらしい。稀にいる魔力を扱える平民というのはこの分類に値する。

 しかもそれが、由緒正しき家の令嬢でほかに子息もおらず、将来は家を譲り受けることが決まっているとなれば尚更だ。

 それに、隣国に婿入りとなるとこの国に帰ることすら困難になる、それどころかこの国の人とすら言えなくなるか……


「いや、アメリアを婚約者として迎えるなんて言ってないですよ!お兄様、揶揄っているんですか?」

「どうだろうね?ルシアンの無事も確認出来たし、僕はもう帰ろうかな。あっ、そういえば僕にも面白い恋愛小説があったら教えてよ。女性と接する時の参考にするよ。」

「だから、揶揄ってますよね??」


 ごめんごめんと笑いならが部屋を出ていくお兄様の後ろ姿に少し、ほんの少し気持ちが軽くなった気がする。


 今はまだ自分の気持ちもはっきりと分からないし、ましてはお兄様のように気持ちを割り切ることはできない。しかし、いつかは必ず向き合わなければいけない。

 今はこの気持ちに向き合うことから始めよう。きっと分からない様な問題なんてこの世に存在しないはずなのだから。


 魔法書をパタンと閉じると上着を羽織ってバルコニーへでる。心地の良い風が頬を伝った。


皆さんお久しぶりです(本当に)夜桜零ですm(*_ _)m

もう今年が終わってしまいますが、このめっちゃ寒い中いかがお過ごしでしょうか?

年の瀬ということでバタバタして全然投稿出来てませんでした……申し訳ない( т т )


ところで、今回の話はディアン王子とエンカウントしたアメリアちゃんのお話しと、ルシアン様とディアン王子仲良い兄弟の会話の1節でした

ルシアン様にちょっかいかけるディアン王子書くの楽しかったです!本当にいいお兄ちゃんって感じですね〜


そろそろ登場人物も増やしていきたいなぁ〜って思っているので楽しみにしておいてください✨️

それでは次のお話でお会いしましょう*˙︶˙*)ノ"

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