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第四話 お友達?

 

 ルシアン殿下とお会いした二日後、王宮から私宛に手紙というか、半ば呼び出し状のようなものが届いた。王宮からということもあって、お父様は封筒を見るや否や青ざめ、お母様は舞い踊っていた。手紙一つでこの様子だから王族の影響力っていうのは恐ろしい。

 先日の件で気分を悪くした王族の方々からお叱りを受けるものだと思っているらしく、お母様は婚約者がどうのこうのだとでも思っているらしい。


「アメリア、くれぐれもご無礼の無いようにな。」

「そうよ、これはある意味戦争なんだからしっかり勝ち取って来なさい。」


 話が全然噛み合っていないのに、噛み合っているかのように話すお父様とお母様さすがだ。


 そんな二人(主にお母様)に仕込まれて手紙が届いた一週間後再び王宮に向かう事になった。

 この一週間は普段の社交に使う基礎レッスンに加えて三時間の応用レッスンなるものが追加された。そのお陰で食事の時間すらお母様の目があって落ち着けなかった……



 ***



「ルシアン王子殿下、本日はお呼び頂きありがとうございます。ルシフェーヌ侯爵家より参りました、アメリア・ルシフェーヌでございます。」


 約一週間ぶりの登城で、約一週間ぶりにルシアン様のお部屋にお邪魔している。婚約前の男性の部屋に上がっても大丈夫なものかと思ったが、相手は王子である。それにゲームの世界なのだ。ご都合主義ということでいいだろう。たぶん……


「今日は来てくれてありがとう。公的な場じゃないんだ、そう緊張しなくても大丈夫だよ。」

「では、殿下のお言葉に甘えさせて頂きます。ところで、本日私が王宮に招かれたご用件をお聞きしても?」

「あぁ、それのことなんだけど……」


 そういうと、ルシアン様は従者に何かを持ってくるように指示した。その従者の人もすぐに何かを察したように部屋の奥へと進んで行くと、一つの箱の様な物を持ってきた。


「これを君に。」


 ルシアン様が従者から手渡された箱を開けると、音楽が流れ始めた。

 私のオルゴールだ。


「どうして殿下がこれをお持ちに?」

「先日君が来てきた時に僕の兄がルシフェーヌ侯爵から貸して貰ったようで……でも、これは君の大切な物なんだろう、兄に変わって返しておくよ。」


 なるほど、あの日は疲れていて覚えていなかったがそんな事があったのか。それならオルゴールが返されていなかった訳も、お父様が王宮からの手紙が届いたと聞いて緊張していたのも説明がつく。


「殿下直々に返してくださってありがとうございます。」

「こちらこそ、僕の“兄”が迷惑をかけたようでごめんね。」


 僕の“兄”の部分だけ語彙が強いような気がしたが気のせいだろう。男兄弟だからこその悩みとか、その他諸々のとりあえず何かがあるのだう……?


「この話は終わり。それで、今日の本題なんだけど……」


 それから、前回に引き続きルシアン様と魔法について話したり、魔法を見せてあげたりして楽しい時間を過ごした。

 魔法を見せてあげる度にルシアン様は目をキラキラさせていて、それを見て嬉しくなった私はつい魔法を使いすぎてしまった。


 どれくらいの時間喋っていただろうか?

 ルシアン様の従者が私の父が迎えに来たと伝えにくるまでずっと喋っていた。時間を忘れてはしゃぐなんて子供か!と思われるが今の私は子供なのだからそれに相応しく楽しい時間を過ごした。

 

「殿下、本日はとても楽しい時間をありがとうございました!殿下と話していたら楽しくて、つい時間を忘れてしまったようです。またの機会があれば、楽しいお話を聞かせてくださいね。」


 そう言ってニコリと微笑む。


「僕こそ今日は来てくれてありがとう。……その、僕こそ楽しませて貰ったよ。また、君と話したいと言ったら、迷惑かな?いや、なんでも……」

「迷惑なわけないですよ!!ルシアン王子殿下、いや、ルシアン様!友達なんて図々しいと思いますけど、えっと、色々喋れる雑談相手くらいに思って貰えれば……」


 我ながら何を言ってるんだろうか……

 ルシアン様もキョトンとしている


「あ、ありがとう……」

「私こそ、勢いに任せてつい……また殿下と話せるのを期待していますね。」



 ***



 それから約半年。色々あって、私と殿下は週に一回お話する仲になった。初めこそは緊張して前日は眠れなかったが、いまでは楽しみで待ちどうしいと思える日も増えてきた。

 最近は魔法の話だけではなく、相手のことをもっと知りたいという名目で自分の趣味や、家族の話をしている。

 他にも王宮の庭園を案内してもらったり、図書室を紹介してもらったり……前世含めこんなに豪華な施設?お家?を見た事のなかった私は、それはもう興奮した。


 今日もいつもの様に沢山話して、別れの時間になってしまった


「殿下今日も楽しい時間をありがとうございました。」

「……ルシアン。」

「…えっと、はい?」

「そろそろ名前で呼んでくれても、こんなにたくさん会ってるのにいつも敬称で呼ぶなんて、なんかよそよそしいでしょ?あ」

「で、でも……」


 確かにルシアン様の言いたいことは分かる。けど、ここには日本と違って身分制度があって、相手はこの国の王子様なのだ。


「アメリア。ね?」


 僕は言ったぞ!っと言わんばかりの笑顔である。


「ル、」

「ル?」

「ルシアン……様…………」


 一国の王子を名前で呼べなんて新しい拷問かと思ったが、推しを悲しませたくないという思いから頑張った、私。

 しかし、当人はどこか満足げに見える。恥ずかしさからルシアン様のことを直視出来ない。顔があつい。



 この日はベットの中でルシアン様の笑顔が頭から離れずになかなか眠れない夜を過ごすのだった。



 ***



「ルシアン、お前もそろそろ婚約を考える時期だな。」

「ディアンもこれくらいの時期から考え始めたものね。」


 王と王妃、すなわち父と母に呼び出されたと思えば“婚約者”についてだった。正直全く考えていなかったというのが本音で、いざ自分に降り掛かって来て、ようやく実感が湧いた。


 ディアン、兄様は婚約者を見つけるためのお茶会を開いたと言いつつ、元々相手が決められていた政略結婚である。


「分かりました、よく考えておきます。」

「そういえば、最近仲良くしている女の子がいるみたいだけど?それか、隣国の皇女の婿養子を探しているという話も聞いたわね。」

「確か、ルシフェーヌ侯爵家のアメリア嬢だったか?ルシフェーヌ侯爵家ならば家格的にも問題にはならないだろう。隣国に関しては、国同士の繋がりを深めるという点ではいい話だ。」


 婚約者、貴族なら避けては通れない問題だ。王族ともなれば尚更だ。しかし、アメリアが婚約者なんて考えてもいなかった。そもそも、婚約者とはどのようなものだろうか?


「………まだ用事を残しているので、先に部屋に帰らせて頂きます。」


 この日はベットの中で父上と母上の言葉が頭から離れずになかなか眠れない夜を過ごすのだった。


こんにちばんは、夜桜零です( * . .)"

最近一気に寒くなって寒いですね…(語彙力)

皆様も体調には気おつけてお過ごしください✨️


今回は「僕の名前呼んで?」っていうテンプレ(?)みたいな展開がかけて満足です( *´ `)

ルシアン様のお兄様の名前公開です!悩みました。

ディアンとルシアン双子みたいで可愛いです❀.*・゜

これから主要人物の情報も出していきたいので、楽しみにしていてください!!


それでは次のお話で*˙︶˙*)ノ"

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