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第三話 出逢い(2)

※少々手直しいれておりますが、作品の進行とはあまり関係がありませんので、安心してお読みください〜!(24/04/21 )

 

「ルシアン殿下申し訳ございません。なんでも致しますので、どうかお許しください!」


 ぶつかった反動で床に座り込む。謝罪をしなければと思い咄嗟に取った行動が土下座(しかも、ちゃんと地面におでこをつけるくらいの)だったのは元日本人の性だと思って多めに見てほしい。もちろん、ルシアン様には不思議なものを見る目をむけられた。


 それにしても、食パンくわえて走っていたら角から出てきたイケメンとドーンだなんてシュチュエーションまるでアニメやゲームの世界のようだ。

 いや、実際はパンこそくわえてないもののゲームの世界なのだから、間違ってないないのだけど。


「君はたしかルシフェーヌ侯爵家の...やっぱりそうだ。あのオルゴールの子。」

「はい、お茶会にお呼びいただきありがとうございました。覚えていただいているようで光栄でございます。」

「......君の魔法があのお茶会の中で一番きれいだったから。」


 今、きれいって、私の魔法がきれいって...魔法のあるこの世界に飛ばしてくれた神様(?)に心から感謝したいと思った。

 心が温かくなるのが分かる。


 コホンと小さくわざとらしい咳をした後ルシアン様は立ち上がり、こちらに手を差し伸べてくれた。その手をとって私も立ち上がる。王族の方に立ち上がらせて貰う令嬢なんて聞いたこともないが、断った方が寧ろ不敬に当たるのではないかと考えた末大人しく従うことにした。お父様から叱られた時にはしっかり反省しよう……


 ドレスを少し綺麗にし、正面に向き直ってカーテンシーをする。お茶会の時は緊張して“綺麗に”ということしか頭になかったが、今は幾分か自然にできているだろうか?


「ご紹介が遅れました、ルシフェーヌ侯爵家のアメリア・ルシフェーヌでございます。先のご無礼の数々お許しください。」

「アメリア、君さっき何でもするって言ったよね?それなら、もっと見せてよ君の魔法。そしたら今日あったこと全部許してあげる。」


 アメリア……自分のことかとワンテンポ遅れて理解する。

 魔法を見せる。それだけで良いのだろうかと妙に疑り深くなってしまう。前世の推しを疑うなんて真似したくはないのだか。

 というか、魔法とはそれ程までに貴重な力なのだろうか?ゲームに出てきていたキャラ達は無条件に魔法を使えていた訳だし……


「アメリア?聞こえてる?」

「……は、はい!もちろんでございます。」

「そういえば、僕の名前は、ルシアン・ノア・クレイヴィル。その様子じゃ、この国の第二王子ってことは言わなくても分かるかな?こんなところじゃなんだから、僕の部屋に案内するよ。着いてきて」


 当たり前と言わんばかりに手を差し伸べられる。その意図が分からずその手を見つめていると、私の手をすくい上げられる。ルシアン様は「僕だって女性一人をエスコートするくらいはできるよ」と呟いて歩き出した。

 ボソリと告げられたその一言で耳まで赤くなっていくのが分かる。私のためにエスコートしてるれるという事実が嬉しくて、照れくさくて、ルシアン様の部屋に着くまで殿下の顔を直視出来なかった。


 その彼も恥ずかしさ故か顔がいつもより赤くなっているのを悟られないように必死だったということを知る物は誰も居なかったのである。



 ***



 しばらく歩くとルシアン様の部屋に辿り着いた。侯爵邸のものとは比にならない程豪華な造りのドアからも威圧感を感じられる。従者によってドアが開かれると、そこには自分の部屋の倍はあろうかという大きさの部屋が広がっていた。


「どうぞ、好きなところに座ってくれて構わないよ。」

「ありがとうございます。」


 そう言うと、ルシアン様がソファに座ったのを確認して向かい側に座る。しばらくするとメイドさんがお茶とお菓子を用意してくれた。この前のお茶会のときもそうだったが、今日は慣れない場所で王子様と二人きりということも相まって余計に緊張してしまう。


「それで、さっき言った魔法のことなんだけど……」


 ルシアン様が恐る恐るという風に聞いてくる。


「えっと…その前に一つお伺いしたい事が。」

「ん?いいよ、話して。」

「殿下に魔法をお見せすると言った手前、大変申し上げにくいことなのですが、“魔法”が使えるというのは特別なことなのでしょうか?」


 ルシアン様によると、魔法とはこうだ。

・魔法とは貴族にのみ扱うことの出来る力で、七つの属性に分かれている

・属性とは、火、水、風、雷、土そこに、光、闇が加わる

・魔法を扱うには特別な媒体が必要となり、魔法学園入学時に学園から贈られることで初めて魔法力を扱うことができる

・媒体を介せず魔法力を扱える人は貴重で、膨大な魔力又は、精密な魔力操作が必要である


 ざっとまとめると、私のように特殊な媒体を介せず魔法を扱える人はかなり特殊な存在で、お茶会でもあのオルゴールが目に止まったといのも納得出来ると言うことである。


「ご丁寧に教えて頂きありがとうございます。私に出来ることなら一生懸命させていただきます。」


 それから魔法研究室からのお呼びがかかるまでルシアン様に魔法を見せたり、二人でおかしを食べたりして楽しい時間を過ごした。最初よりも喋っているうちにだいぶ緊張も解れて来たようで、二人とも笑顔が増えた気がする。


「王子殿下本日は寛大なお心遣いに加え、この様な楽しい時間を設けて頂きありがとうございました。」

「こちらこそありがとう。…楽しい時間だったよ。」

「それでごきげんよう。」

「……また来てよ。君と、アメリアと喋るのは楽しい。」


 だれかに必要として貰える。それだけで心に空いた大きな穴が少し塞がった気がする。ぽろぽろと大粒の涙がこぼれる。


 この世界に来て浮かれている自分もいたが、いきなりゲームの中のしかも日本とは全く違うい世界に飛ばされて不安にならない人はいないと思う。実際、私もお茶会の日の夜は前世のことを一生懸命に思い出していたせいで今おかれている状況との違いでさみしいやら、不安だという思いが募って一晩中しくしくと泣いていた。見た目相応の思考回路になっているようで、涙がとめどなくあふれてきたのだ。目元が腫れ、泣き疲れて軽い脱水症状を起こしている私に、寄り添ってくれるこちらの世界のお母さまや、メイド達の温かみを感じてもう一度泣いてしまったのは仕方のないことだろう。


「な、泣いてる……?ごめん、僕何か気に触ること……」

「……殿下違います。これは嬉し涙だからいいんです。」

「嬉し涙……そっか、なら良かった。」

「もう大丈夫です。お見苦しい姿を見せてしまい申し訳ございませんでした。それでは私は失礼させていただきます。」


 今度こそルシアン様のお部屋から出て、従者の方にしたがって来た道を戻る。お父様からは随分と心配されたし、帰りの馬車の中で質問攻めにあったが、軽い笑顔で受け流す。魔法研究室から脱走した挙句、第二王子に無礼を働いたなんてことがバレてはどうなるか分からない。


 そういえば、私のオルゴールはどこに行ったのだろうかなんてことを考えていたらどこからか睡魔がやって来た。今日一日緊張続きで自分が思っていたより疲れていたみたいだ。馬車の気持ち良い揺れに身を任せ、私はそのまま目を閉じた。



 ***



「アメリア・ルシフェーヌ…随分と楽しい令嬢令嬢(おもちゃ)を見つけたようだね、ルシアン?」

「お兄様……全部知ってらしたのですか?」

「いいや、君の従者が教えてくれた分だけね。それにしても、いい音だねこれ。」

「それは、アメリア嬢のオルゴール……返してください。」

「別にこれは君の持ち物じゃないでしょ?俺が返しておいてあげるよ。それに俺もあの子と話してみたいんだ。」


 なんて兄弟同士の会話があったことも知る由もなく、深い夜は更けていった。



週一投稿と言いつつ、早速危うくなってしまいました……

お久しぶりです、夜桜零です( * . .)"

今回はアメリアちゃんとルシアン様の実質発会合でした!アメリアちゃんの心の声がだいぶメタかったですね、このまま続きます(๑•̀ㅂ•́)و✧

序章はだいぶ早足で進む気がしますが、振り落とされないで着いて来てくださいませ〜!!


それでは次のお話でお会いしましょう*˙︶˙*)ノ"

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