#2鍵師の真実
毎回何も考えずに書いてるんで展開遅かったり早かったりするかもしんないです。
昨日はその後父さんからは何も言われず、普段通りに過ごしていた。
キーンコーンカーンコーン
「よーし、学校終わったー!」
「お疲れさん、そういや灰今日やけに疲れてそうだったな。」
「まぁ昨日ちょっとな…。前に話したよな?うちの家にある謎の扉のこと。」
「あー屋根裏にあるっていうあの?確か灰の父さんがすごい顔して開けんなって言ってたんだよな?」
「そうそう、それでな昨日その扉を開けようとしたわけよ。」
「ついにやったのか。それでどうだったんだよ。」
「ダメだった。一見シンプルな鍵なくせに中は全く意味わからん構造してる。それで鍵に苦戦してたら…。」
「父さんに見つかったってわけか。電話で言ってたナイスタイミングってのはそういうことか。」
「その通り!よく分かったな。いやーほんとあの時は秋に助けられたぜ。あのままだったら父さんにぶちギレられてたところだった。」
「まぁお前とは幼馴染だからな、どんなことやらかすかくらいなんとなく想像付く。じゃあこのお礼はジュース1本でいいぞ。」
「さっすが秋さん!喜んで買わせていただきます!」
そして俺と秋は家に帰った。
「それにしてもなんで父さんは何も言わなかったんだろう。」
あの後秋との電話を終え、部屋に戻っても父さんは何も聞いてこなかった。まさかあの程度の言い訳でごまかせたのか?いやうちの父さんはそんなバカじゃない。
「まぁそんなこと考えても無駄か。怒られなかったんだからよかったってことで。」
そして俺がそう開き直ると同じくらいに家に着いた。
「ただいまー。ってどうしたの?父さん。」
俺が玄関を開くと父さんが玄関で待っていた。
「おかえり、灰少し話があるんだ。屋根裏に来なさい。」
そう言う父さんはいつもの優しい父さんと違い険しい顔をして少しピリついた雰囲気が出ていた。
そう…昔俺に屋根裏の扉を注意する時と同じ感じだ。
「分かった…すぐ行くよ。」
「灰、お前昨日この扉を開けようとしていただろ。」
「いや、だからしてな…」
「してただろ?」
すごい圧だ。こんな父さんは見たことない。
「…。ごめん、開けようとしたよ。」
「そうか、まぁ父さんの言いつけを破ったことは今は置いておく。ところで灰、将来は本気で鍵師になろうと思ってるんだな?」
(あれ?開けようとしたことを怒ってるんじゃないのか。)
「うん、そうだよ。俺も父さんや爺ちゃんみたいに鍵師になる。」
「本当にいいんだな?撤回するなら今のうちだ。」
「どうしたの?父さん、なんだが普段と雰囲気が違うけど。」
「いいから!いいんだな?鍵師になって。」
今までに感じたことない威圧感。あまりの圧に唾を呑む。
「なる。なるよ俺は鍵師に。」
そう俺が答えると父さんは少し黙ってから
「分かった。じゃあお前に話そう。この扉のこと、うちの鍵師に与えられている使命を。」
「教えてくれるの!?あれだけこの扉にな触れるなって言ってたのに。」
「お前ももう17だ。本気でうちの鍵師になるのなら旅に出てもらわなきゃいけない年齢だからな。」
「旅?なにそれ、鍵師になるのに旅が必要なの?」
「あぁそうだ、まぁ旅の話をする前にまずはうちの家系の鍵師に与えられている使命を教える。」
「使命?」
「うちの鍵師は表向きはただの鍵師だ。鍵の修理や交換ときには開かなくなった鍵の解錠とかな。」
「知ってるよ、俺も高校生になってからは少しづつ仕事させてもらってるし。」
「だが、うちの鍵師の本当の仕事はそうじゃないんだ。いいか?うちの鍵師の本当の仕事はな…。」
「本当の仕事とは…?」
グ~~~~~~
「悪い、腹減ったから飯食いながら話そう。」
「おい!さすがにこんだけ引っ張っといてそりゃ無いぜ。」
「すまんすまん。すぐ準備するから。」
そういう父さんはいつもの雰囲気に戻っていた。おそらく深刻な雰囲気を出すために相当無理をしていたのだろう。
「で?うちの使命ってなんなんの?」
「そうそう。うちの使命はな異界に繋がる扉の管理人なんだ。」
「へー異界に繋がる扉の管理人ねー……。っては?何言ってたんだ父さん!異界?それって異世界のことだよな!?そんなんあるわけないじゃん!しかもそれに繋がる扉の管理人!?ダメだついてけない。」
「まぁまぁ落ち着けよ。そりゃいきなり言われたらびっくりするだろうけどな、本当のことなんだ。」
「そんな簡単に落ち着けるか!てか晩飯食べながら軽くする話じゃないだろ!これ。」
「それはだって…お腹すいたし?でもこれ以上引っ張ったら怒られそうだし?」
「はぁ…しょうがないな…。全く追いつけてないけどとりあえず話は聞くよ。」
「それで異界ってのはさっき言ってた通り異世界の事だな。ただ異界ってのは1つじゃないんだ、この世界には9つの世界が存在し繋がっているんだ。それぞれの世界を繋げている扉があるんだ。その扉の管理がうちの本当の仕事だな。」
「異世界が1つじゃなくて9つも…。てか管理って言ったって実際には何するんだよ。」
「管理の仕事は3つ。1つは扉の安全確認だな。扉を壊されていないか、盗まれていないか、勝手に開けられていないかのチャックだ。2つめは依頼がきたら必要な扉を開ける事だ。これは世界を超えて旅行をしたいという方や世界同士の取引をする方が依頼を送ってくるからその時に扉を開ける仕事だ。」
「なるほど、管理ってそういう事ね。思ったより難しくなさそうだな。それで3つめは?」
「3つめは…世界平和だ。」
「は?」
「世界平和だ。」
「いや聞こえなかったんじゃなくてさ。扉の管理関係ないじゃん、それだけ規模デカすぎるし。」
「いやいやこの仕事は扉の管理人としては最重要な仕事なんだ。この9つの世界の関係性を良好に保つためには管理人である俺たちはかなり重要な位置にいるんだぞ。それぞれの世界には悪いやつもいるもんだ、他の世界を襲い自分たちのものにしてしまおうと考える奴やそもそも昔から仲が悪い世界とかな。そういう奴らがいるから俺たちは世界同士の平和を守るために扉を管理してるんだ。例えば俺たちが他の世界を襲いたいやつの味方をしてそいつらのために扉を開けたとする。そしたら世界同士の戦争になってしまう。小さい喧嘩ならまだしも戦争にまでなってしまったら関係の無い他の世界にも影響が出てしまう。そんなことは許されない。」
「なるほどな、だから唯一世界同士のトビラを管理できる者として世界の関係を良好に保てってことか。」
「そういうことだ。」
「まぁなんかとりあえず理解したよ。それで?それを聞いた俺はどうすればいいの?」
「扉の管理人になるためにはそれぞれの世界の住人から管理人として認められなきゃいけない。だからお前には明日からそれぞれの世界へ旅に出てもらう。」
「そうか、分かった。って明日!?そんな急に!?」
「善は急げだ。明日の夜行くから友達とかに挨拶しとけよー。」
「急ぎすぎだろーーー!」
そして俺の異界の扉の管理人になるための旅が始まろうとしていた…。