エッチだったら宿でしてあげるから(法隆寺)
法隆寺の五重塔を見上げた瞬間、私と手を繋いでいる
楓花の手に力が入った。
「わあ…!でかい!」
「いやー…そうだね、でかいわ」
目を光らせて、尻尾を振る楓花を横目に。(振ってない)
少なくとも、私の住んでいる田舎にはないような、
そして昔の人が作ったとは到底思えない、完成度が
高い建造物だった。
色彩のバランスも良く取れており、文字通り
見る人の心を掻っ攫う。
「咲良ちゃんのおっぱいぐらい大きい」
「はい???」
おいおい何言ってんだこの人は。
楓花のおっぱい発言は普通に大きい声だったので
クラスの何人かがこっちを向いた。
そして小声で体を縮めて
「お前何言ってんだよ」
「いや、だから咲良ちゃんのおっぱい、」
「そういうことじゃなくて」
と話が通じないながらも話した。
「だから、人前でそういうこと言うなって言ってんの」
「ああ…ごめん」
楓花は反省してそうな顔をして謝ってきた。
たまに楓花は変なこと言って誘ってくるから
多分それだろう。
そして私は何か言い過ぎたと思い
「エッチだったら宿でしてあげるから」
「え、本当に!」
「うん、嫌って言うくらいしてあげるから」
「やったあ!」
と、こんな感じで機嫌を取ってみた。
ちょろいな楓花っつうやつは、相変わらず。
楓花はまた目に光を宿し、ない尻尾を振った。
♢ ♢ ♢
その後は軽く法隆寺の中を回った。
どの建造物も、物凄く綺麗なものばかりだった。
そして、法隆寺から出て楓花と一緒にバスへ向かう。
「全部綺麗な建物ばっかりだったね」
と、横から楓花が。
「そうだね、全部綺麗だった」
「特に法隆寺、あれは本当綺麗だった!」
「まあ楓花の方が綺麗だけど」
と、イケメンを気取って楓花に言ってみた。
これまでこっちの調子ばかり狂わされたから
せめてもの反撃をしてみた。
「えっ、?!あっ、その、、、ありが、とう、」
と唇をもごもごしながら言ってきた。その顔は
もうそれは真っ赤に染まっていた。
…いっや可愛い、、。可愛いなあ!こいつ!
てかその返し普通する?
普通なら「いやそんなことないよー」
みたいな返しが普通なのに。
てか、反撃しようと思って言ってみたのに
結局私がダメージ受けてんじゃん。
ダメだなこれ。安易にそんなこと言うんじゃなかった。