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子猫みたいなことしやがって(移動〜法隆寺到着)

いつもの目覚まし時計の音が私の耳に刺さった。

朝の四時三十分。早過ぎ。


まあでも、目覚めは良い方。


このまま早く準備して五時十五分には学校に着きたい。


修学旅行というワクワクと共にご飯を食べて、

着替えて、準備とかしてたら時計の針は既に

五時十分を指していた。


まずいと思いつつも「家から学校近いしな」と同時に

思った。あまり焦らずに家を出る。


朝の五時は、まだ深夜なんじゃないかってくらい暗かった。太陽が二割くらいしか出ていない感覚。んで、デカめの旅行バックと

サブバックを持つのは大変だな。


そしてなによりも、寒すぎ。家で温まっていた体が、氷点下並みの風によって一瞬で冷えてしまった。


制服ってこんなに雑魚だったっけ?と思いつつも

学校へ向かって歩く。本当に近いのが救済だった。


学校に着いて、集合場所の校庭に行く。


車で送ってもらう生徒が大半だった為、校庭に沢山の

車が停まっている。


暗い中、まずは楓花ふうかを探した。

あまり顔の判別も出来なさそうな暗さだが、頑張って

彼女を探した。


そしたら楓花よりも先に琴葉ことはが見つかった。柊琴葉ひいらぎことはだ。


琴葉は私の幼馴染の親友。それと同時に、私と楓花が

付き合っているというのを唯一知ってる奴である。


俗に言う、唯一の理解者だった。


なのでたまに楓花のことについて相談してくれる。


身長は私と同じくらいだからちょい大きめ。で、これまた体が平たい。髪型はショート。顔はボーイッシュな感じで、

気だるそうな目が特徴的。


ちなみに楓花には、私が琴葉に、私たちの関係を伝えたのを言っていない。めんどくさそうだし。


まあいいや、声掛けにいこ。


「おはよー」

「うぃっすー」


声もボーイッシュである。


「いやー、いよいよだね修学旅行」

「お前、それより楓花とはどうなんだよ」

「いやヤバいよ?」

「そうだよな、2泊3日の京都・奈良旅行、とりあえず

 2回はまぐわえるぞ」


長野から京都・奈良をバスって、結構時間かかるな。

そしてまぐわうとは、なんだその表現。


「まぐわうってやめろまぐわうって」

「でもするっしょ?まぐわい」

「まあするけとさ、多分」

「そっかあ、まあ頑張れー」


ちょっと会話したら、琴葉は他の友達の所へいった。

琴葉はいわゆる”一軍女子、クール担当”である。


一軍女子ではあるが、私みたいな二軍とも仲がいい。

一軍女子の鑑みたいな人。


…それはともかく楓花を探すぞ。


数分探したらいた。楓花の背中が見えた。

てかあいつ寝てね?頭がカクンカクンしてるぞ?


ちょっと挨拶してこよ。


「楓花おはよう!」


わざとらしく元気に言ってみた。

そしたら楓花はトロンとした目をこちらに向けて

挨拶してきた。


「んあ?おはよ」


呂律ろれつが回っていない声で言ってきた。

そうだ、こいつ寝起きめちゃくちゃ悪いんだわ。


てかもう寝言レベルだぞ?声がむにゃってる。


そしたら楓花が「咲良ちゃん、かわいい」と、

もはや開いていない目で見つめて、言ってきた。


多分楓花は今、夢と現実の狭間みたいな所にいるから

寝ぼけというよりかは完全に夢の中で話している。


かわいいと言われた瞬間に胸あたりがヒュンてなった。

私の心臓に矢が刺さった合図だ。


こっっっれは心臓に悪い。いきなり飛ばしてきた。

デレという矢を。


私は今にも吐血しそうになったが、グッと堪えた。

ポーカーフェイスには自信がある。


そしたら立て続けに楓花が


「ん?おっぱい?」と言ってきた。


最初はその意味こそわからなかったが、ぼーっとしてる顔で私の手に胸を当てようとしてきていた。


ちなみに、私の胸は世間から「巨乳」と言われる

くらいの大きさはあった。いらねえよこんなおもり。


二人きりだったらそのまま受け入れてたが、人前だし。

朝も早いし気分じゃないから楓花の手をガッチリ掴んだ。どんだけ寝ぼけてるんだと思いながら。


「ちょっと楓花寝ぼけすぎだって」

と笑いも込めて言う。


「ああごめん、寝起き悪くて」

「それはいいけど、胸はダメでしょ」

「え、胸?どういうこと?」


私が説明しようとしたら、担任が出発式の呼びかけをしだしたのでやめた。


適当に出発式を済ませて、バスのところに向かう。


バスの車体の下にある荷物置き場的なところに

旅行バックを入れる。


そしてサブバックを背負ってバスの中に入る。

少し後側の席だった。バスの席順はもう決まっていた。


隣はもちろん楓花だ。楓花が窓側。

席について、まだ眠そうな楓花と少し話した。


「いやー今日は楽しみだね」

「んえ?」


また頭をカクンカクンさせてる。もうダメだこいつ。


少し時間が経ったら、もうバスは出発した。


学校の敷地を出て、ガイドさんが何か話し始めようとした途端、私の肩にポンと何かが乗った。


横を見ると私の肩を借り、既に寝ている楓花がいた。


楓花の寝顔が良すぎる。あまりに無防備だったら

私の手は無意識に楓花の胸へと伸びていった。


おっとダメだ。普通に襲うところだったわ。


楓花の顔を舐め回すように見る。

長い眉毛に少し高い鼻。それと形がいい目。


クソ、整ってやがるじゃねえか。


でも何故か、私にも眠気が襲撃してきた。

なんで?楓花の寝顔を見て安心したからか?


だとしたら私、チョロ過ぎるだろ。

いやいや、昨日もあんま寝れなかったからだと思う。


けどダメだ。楓花が誰かに襲われたら困る。

事実、襲うようなやつなんていないんだけど。


ガイドさんが話してるからそれに意識しよう。


♢ ♢ ♢


どうやら時間旅行と瞬間移動を同時にしたみたいだ。外もさっきより全然明るい。


寝てはいない、決して。


楓花はいつの間にか私の右手を掴んで寝ていた。

その楓花の手が動いたので、起きたんだと思ったら

違かった。顔を見ても目をつぶっている。


なんだと思った瞬間、私の右手は楓花の口元に

運ばれて行って楓花はおもむろに私の中指を咥えた。

それと同時に私は反射的に顔をそむけた。


これは私の性欲を大いに刺激した。

これまた心臓あたりがヒュンってなった。


おいおい、これは「私を抱いてくださ〜い」って

行ってるようなもんだぞ。


いいのか?私はもうお前を抱くぞ?


もう私の理性は首の皮ひとつ。てかこれ、寝ながら

本能的にすることじゃないだろ。


どうしよう。どうにかして口元を解除させたい。

でも焦るな、何か解決策があるはず。


やばいやばいどうしよう。脳内の無数の私たちが

同時に解決策を話しているせいで何も聞き取れない。


「ちょっと楓花の方を見てみようよ」と

脳内の私たちの中の一人が大きい声で叫んでくれた

おかげて聞き取れた。


楓花は私の右手を両手で掴んで中指をチュパチュパ

吸っている。


オッケー、もうこいつのこと抱くわ。


さっきは焦ってたから感じ取れなかったけど、

そんな子猫みたいなことをしていたなんて。


でも、理性が切れる寸前で楓花の体は動いたので

顔を見てみる。


見たと同時に、楓花は重そうなまぶたをゆっくりと開けた。


「ん?はーひふえいあ?」

まだ眠そうな目をして言ってきた。


私の指の存在に気づいてないのか咥えたまま喋っている。多分サービスエリアって言ってんな。

そしてどこまでバカなんだこいつは。


そして楓花はようやく指を離した。


「え?!」

ビッックリした声で言ってきた。


「何してたの?!」


違えよ、お前から咥えてきたんだろうが。

でも、もうキリが無さそうなので反論はしなかった。


私は小声で「楓花にイタズラしちゃおうと思って」

と言ってみた。


「イタズラで私に指をしゃぶらせるかね」


うん、楓花が勝手にしゃぶってたんだよ?


「とりあえずトイレ行くか」と私が。

「行きますか」と楓花。


…適当にトイレを済まして、またバスに乗った。


次のサービスエリアは一時間半後。

まあまあ長いな。そりゃあ奈良だからね。


再び出発し、高速道路に乗った。

今度は楓花は普通に起きてたのでそこでは何気ない

会話をしていた。


たまに出る楓花の笑顔は目がクシャってなる。

ほら、バカ○○ムみたいな名前の芸人と一緒な感じ。


それがたまらんくいいんですわぁ。

愛おしくて仕方がない。


最初はクソ長いと思った移動時間だったけど、

楓花と話していたら、サービスエリアに次々と

到着していった。


もうすぐで着くぞぉーみたいな会話をしてたら

本当にすぐに法隆寺の駐車場についた。


ここから私たちの2泊3日京都・奈良旅行が

始まったのであった。


ようやくメインです

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