後悔の、中で
暗い……。
目を覚ますと、私は何故か真っ暗な世界にいた。
どうして、こうなったんだっけ。
そうだ。
確か知らない男子に声かけられて、それで黒い靄に襲われて……。
靄に飲み込まれて驚いたけれど、暗くて寒いだけで、不思議と恐怖心はなくなってた。
何故なら少し前から、既に落ちていたからだ。
彼に嫌われて、自分でどうするとこもできなくなっていて。
ずっと、暗いトンネルの中を歩いてたのだから。
もう諦めるしかない。
それしかないと思っていたのに。
あんな謝り方、ずる過ぎる。
せっかく忘れようとしてたのに、あんなことされたら、また彼に近づきたいと欲が出てしまう。
会いたい。
柳くん、会いたいよ。
私の目から、また涙が零れてきた。
気がついたら、もらった赤い石が手元にない。
きっとどこかに落としてきてしまったんだ。
『ごめんなさい……』
私って、本当にどうしようもないなぁ。
これじゃあまた、彼に嫌われてしまう。
後悔を続けていたら、だんだん頭の中が、ボーッとしてきて色々と思い出せなくなっていた。
どれぐらいここに居ただろう。
私は、何に悩んでいたのだろう。
もうそれすらも、わからなくなってきた。
このまま目を閉じたら、楽になれる気がする。
悩みなんか忘れて……。
「聞こえるか!!」
え……?
誰かが私のことを、呼んでる。
聞いたことのある人の声だ。
私は重たくなった目蓋を少し開けて耳を澄ました。