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スローライフ冒険者の妻の話

作者: 山田一朗

どうぞよろしく


貴族の家に生まれた私は

幼い頃からおままごとが大好きだった


でも、お父様とお母様は私に厳しく

いつも学校では成績優秀である事が

良しとされたし


私もそれ自体には誇りを持っていた。


生活にも常に、気品と礼を求められたし、

悪いことをしたら厳しく叱られた


母と父は厳しい人だけど、人格者でもあった


それが誇らしくて



でも少し、窮屈でだった、、


そんな私が好きになったのは

クラスでも成績の悪い男の子だった


いつも自由奔放で人の言うこと

なんて聞いちゃいない


その癖、誰かに言われると

しょげて小さくなってしまう。



でも、私は知ってる。

彼が集中すれば、

なんでもやってしまうんだと


そして、それはしばしば

私を感動させてくれるんだ。





「ごめん、エマ

 僕、パーティー、クビだってさ」


六畳一間の部屋で

彼は冴えない様子で静かにそういった。


「ええ、、?、そ、そんな」


学校を出て10年


あれから、両親の見合いがあったのだが

婚約破棄に一悶着(ひともんちゃく)あり


結果として彼の妻になった。


彼の家は落ち目の商人、

経済的な将来性には不安があるものの


冒険者としては一流の評判だったの

で結婚をお願い


両親も婚約破棄の件で

流石に、申し訳なく思ったのか

渋々結婚を許可。



夫婦で二人、これから始まると言う時に、


「な、なんで?どうしてクビになっちゃったの?」


困惑した私に、彼はひとつずつ説明

してくれた。


まず、彼が勇者パーティーへ加入していたこと


そこでの戦いに同僚が疑念を持っていたこと


そして、彼を解雇することが決まったこと



少し間をおいて彼は(おど)けた顔をし


「大丈夫だよ、今までの貯金もあるし

 エマに不自由な思いはさせないさ。」


「無理、しないでね・・・」


「うん、ありがとう心配してくれて


 それから・・・はい」


彼は耳の先を赤く染め

少しためらった様子を見せながら

一つの箱を目の前に出した


「本当は、自分の小遣いが

 もうちょっと溜まって、


 お姫様にふさわしいところで

 したいなって、でも今はこれが


 僕の精一杯」


「これ、私に?」


中に入っていたのはアダマンタイト製の

指輪だった。


このゴツゴツした感じ、

趣味じゃないんだけどなぁ〜(笑)


でも、彼の手は泥まみれだ

恐らく自分より


「なんで?」


「僕ら冒険者には界隈で

 既婚か、未婚かを判断する際

 それをつけてるかどうかで変わるんだ


 やっぱり、冒険者の妻は

 何かとそっち関係で危ない目に

 遭うかもしれないし・・」


、、、、!、、!


「じゃぁ、、、」


確かこの引き出しの

二段目に。。


「作業用ロープなんて取り出して

 何に使うの?」


太すぎるからねじって解いて

細くしたら、それを輪っかに通して


「これでバッグにつけておくじゃ

 ダメ?」


「あ、ああ、、それでもいい」


彼は顔を真っ赤にしながら

私の提案に賛同してくれた。


「ユーグ」


「何、エマ?」



「愛してる」


前髪を少し摘んで照れている


私たちは一生

この時を幸せに生きていくんだろうね


○◆○


「おはようございます」



相手に返事はない

確かあの人も仕事仲間だっけ、、、


シカト、、そうよね


今までユーグの能力に惹かれて

その妻である私に擦り寄ってきた


人たちがいなくなるのは当然か



こんなに・・多かったんだ・・


「おはよう」


え?。。

私は予期せぬ挨拶に驚き

顔を即座に上げた


「おはよう、今日も精が出るわね」


声をかけてくれたのは、

斜向かいのレイガン夫妻の

レイガン夫人だった。


「感じ悪いわね、

 ま、気にしないことよ?


 元々仕事関係で

 擦り寄ってきた人は多いみたいだったし


 それよりね...」


どうしてだろう、

つい先日まで

どうかわそうかを必死に考えていた


この話が私を安心させる


「でね...って、エマちゃん?

 聞いてる?」


「え、、ああ..はい、聞いてます!」


「そう、よかったそれでね・・・」


いつもより熱心に私はその話に

耳を傾けた。


◇◆


「え?、わ、私に!?」


その日の晩、私はユーグに

回復薬の調合を頼まれた


彼の話によれば

ここ最近ギルドが以前専属で

契約していた薬屋が潰れてしまったため


冒険者の間で回復薬が手に入りづらく

なっているそうだ。


「でも、私が回復薬の調合スキルを習得したのは

 もう10年も前の話で、


 それからは単位の関係で

 ほとんど授業なんて受けなかったし・・」


「なんとかならないかな?


 今、高名な学者様はこの町にはいないし

 頼れるのは君だけなんだ


 貧しい環境の人たちにとって

 回復薬が唯一の衛生管理の手段なんだよ」


彼の必死さで

事態が急を要することがわかる


「でも、私にできるのかしら・・・」


正直、あんまり自信はない

感覚的にはもう昔のことだし


それに、そもそも町に流通させられるほど

大量に作れるかどうか・・・


「もちろん、俺も全力でサポートする

 時間もある程度は掛けてもいい


 だから、頼む!!」


彼の必死さの元はいつだって良心だ

誰かが困っていれば助ける


貴族の華やかで、揚げ足取りに

夢中な同級生とはまるで違うその無垢な目


「ずるいわね

 私がその顔見て断れないって

 知らないとは言わせないわよ?」


「じゃ、じゃあ?」


困惑した様子で彼は私を覗き込んだ


「いいわよ

 手伝いましょう」


「ありがとう!!」


子犬のように跳ねて喜ぶ彼の顔


そうして私まで幸せな気持ちになるのだ


「ねぇ、ユーグ?」


「なに?」


ふと振り返った彼に

私はそっとキスをした。


お願いがあります


評価ください!!!



つまらなければ星一つけましょう

みんなで押せば怖くない!!!


もちろん面白ければ類似作品作れとか

シリーズ化しろとか、その辺のコメントも是非お願いします!!!!


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