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第七話 灯の両親は娘を心から愛している!

「くそ、いつまでたっても犯人が見つからない!」


 私は夢宮灯の父だ。

 娘が変死体になって見つかってから、数年の月日が過ぎた。

 でも、きっと私の娘は殺されたんだと思っている。


 そう思って私と妻はビラ配り等を行ったけど、何も情報は出なかった。


「くそっ、最近は手伝ってくれる人も減って来たし……」


 隣に住んでいる娘の幼馴染も、娘と仲が良かったくせに最近は全然手伝わなくなりやがった。

 なんか他の女と仲良くしているらしい。

 まったく、うちの娘と仲良くしていたのに、なんで他の女と仲良くしているんだ!


 私も妻も、灯を愛している。

 だから私達は、灯が死んだ理由を知りたいんだ。

 そして、もし私の想像通り灯が殺されたのだとしたら、犯人を絶対殺してやる!


「あなた、話があるの……」

「なんだ?」


 今日もビラ配りをしに行こうとした時、妻が声をかけてきた。

 なんだ?

 妻は最近調子が悪いのかあまりビラ配り参加してくれないから、ちょっとイライラした。


「出来たの……」

「何が!」

「赤ちゃん……」

「え……」


 赤ちゃんが出来た、赤ちゃんが出来た、赤ちゃんが出来た、赤ちゃんが出来た、赤ちゃんが出来た、……


「や、やったー!!」


 俺は思わず叫んだ。


「よくやった、じゃぁ、体を大事にしないとな!!」


 そう言って俺は、今日のビラ配りを中止した。


 それからしばらくして、娘が生まれた。

 娘は燈佳(ともか)と名付けた。





 そして月日は流れ……


「行ってきまーす!」


 燈佳は休日も塾に勉強しに行く。

 灯と違って勉強もできるいい子だ。

 このままいけば、有名大学の合格も間違いないだろう。

 まぁ、仮に不合格だったとしても、努力家の燈佳だったら問題はない。


「でも、よかったわね。塾の費用や受験費用、用意できて」

「ああ、そうだな。子供が二人だったら、支払えなかったな」


 私は灯の事を思い出した。

 あの子は、はっきり言って馬鹿だったから、どうせ碌な大学も入れなかっただろう。

 それに、努力するのも嫌いで、元気なだけだったから、大学に入るどころか中卒になっていたかもしれない。

 そう考えると、灯は燈佳の負担になっていたかもしれない。


 灯が死んだのは悲しいが、今の私は死んだ灯より生きている燈佳だ。

 死んだ人間にかける時間は無いのだ。

 正直、今となっては灯の事はもうどうでもいい。

 妻もそう思っている。


 私は燈佳が将来いい暮らしが出来るように、応援しよう。

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