第一煌 私、夢宮灯。実はね、最近胸がドキドキするの……
私、夢宮 灯!!
元気いっぱいの十才の小学四年生!
でもね、最近変なんだ……
幼馴染の優斗君を見ているとね、胸がドキドキするの。
「「「優斗君!頑張ってー!」」」
今日はサッカー部の試合の日だ
みんなが草薙 優斗君を応援する声が聞こえる。
私はそんな優斗君をボーっとしながら、でも一生懸命に目で追っていた。
本当はみんなみたいに大きな声を出して応援したいのに、なんでか出来なかった。
私、夢宮 灯は十歳の小学四年生。
取り柄はいつでも元気な事なの。
勉強や体育はあんまり得意じゃないけど、これだけは自信がある。
みんなにも、灯ちゃんはいつも元気だね、って言われるしね。
でも、最近変なんだ……
優斗君を見てるとね、なんだかおかしくなっちゃうの。
優斗君はね、二才年上の十二才で小学六年生なんだ。
学年は違うけど、家が隣同士で幼馴染の私達は、いつも一緒。
一緒に遊んで、一緒に勉強して、あと、一緒にお風……
きゃーっ!恥ずかしい!!
私は思わずその時の事を思い出して、顔を両手で覆った。
そんな風に昔は一緒にいても何にも無かったんだけど、最近優斗君を見ていると、なんだか胸がドキドキするの。
トクン、トクンって。
しかもね、最近は優斗君に話しかけられると、思わず顔が真っ赤になって逃げちゃうんだ。
しかも、昔は優斗って呼び捨てだったのに、いつの間にか君付けになっちゃったし……
これって……絶対病気だよね。
でも、誰にも言えない。
パパにも、ママにも、友達にも、保健室の先生にも言えない。
もちろん優斗君にも……
言ったら、なんだかダメなような気がするから。
そんな日々を過ごしていた私は、昨日、下校していた時に、ふと小さい頃優斗君と一緒に遊んだ小さな公園に向かった。
この公園は、小さいうえに昔からあって寂れているから、いつも人がいないのだ。
「昔は一緒に遊べたのに……変だよ、最近の私……」
そういうふうに、自分で色々考えていると、
「灯!」
声に振り向くと、そこにいたのは優斗君だった。
、
「優斗君!!」
私は思わず逃げようとすると、優斗君は私の腕をつかんだ。
「灯、なんでいつも逃げるんだよ!」
そう言う優斗君の顔は、必死そうで、泣きそうで……
それを見た私は、思わず泣いてしまった。
「ごめん、痛かったか?」
優斗君は優しくそう言ってくれたけど、私の涙はどんどん流れていく。
それに、私の心臓はさっきから破裂しそうなくらいドキドキしている。
「痛くないよぉ……でも、痛いの……」
「灯?」
心配そうな優斗君を見て、私は言った。
「優斗君を見てるとおかしくなっちゃうの。胸がドキドキしちゃって、もう耐えられないの!だから、私……私……」
「灯……」
優斗君が私をそっと抱きしめてくれた。
私は今までないくらいドキドキしてるけど、全然つらくなかった。
「急にごめん、俺、灯に言いたい事があるんだ」
「え?」
「本当は今言いたいけど、俺、勇気ないからさ、明日の試合が終わったらいうな」
「何を?」
「ずーっと前から言いたかった事!でも、俺が勇気が出なくて情けないから言えなかった事!!」
「何?!教えてよ!!」
「じゃぁ、明日、またこの公園で!試合見に来いよ!絶対ハットトリック決めるから!!」
そう言って、彼は去っていった。
私は、しばらくポカンとしていたけど、一人で家に帰った。
なぜだかドキドキが止まらなくて、顔が自分でも分かるくらい真っ赤になっていたけど……
そしてその翌日、つまり今日、私は優斗君の試合を見に来ている。
相変わらず優斗君は女の子にモテモテだ。
私なんかが応援しているのがもったいないくらいに……
「「「キャー!!優斗君がハットトリックを決めたよ!!」」」
そんな中、遂に優斗君がハットトリックを決めた。
彼の姿は、私の目に焼き付いて……私はもう彼の事しか目に入らなかった。
そうして試合は終わり、皆が解散した後、私は彼と約束した公園に向かった。
しばらくすると、彼が走ってやって来た。
いつもなら逃げ出すけど、なんだか今日は、そんな気にならなかった。
「ハァ、ハァ、悪い。待たせちゃって」
「いいよ、大して待ってないし、それに、時間も決めてなかったしね」
「そうだったな。いやー、馬鹿したなー」
そう言って、私達は笑いあった。
二人で笑うのは、久しぶりだ。
そうしてしばらく二人で色々と話をした後、
「……で、今日言おうと思っていた事なんだけどさ……」
「うん……」
私は、急に恥ずかしくなってうつむいてしまった。
「ず……ずっと前から好きだったんだ!つきあってくだひゃい!!」
……彼は緊張して語尾が変な風になってしまっていたけど、私は……
頭の中が大混乱になっていた。
好き、すき、すき、すき、すき、すき……
ボンっ!!
頭の中で大きな爆発音がした。
そして私は……
「わ、わ、私も好きー!」
訳も分からず叫んでいた。
「…………」
「………………」
そして、私達はしばらく何も喋らず固まっていたけど
「「ぷっ」」
度力かともなく噴き出しちゃった。
「灯、なんだよその叫び。よかったな、ここら辺人がいなくて」
「優斗こそ」
私達はそう言って笑いあった。
久しぶりだった。
優斗を君付けで呼ばなかったのは。
今までなんだか恥ずかしくって言えなかったけど、今日は言えた。
でも、前に言っていた時と、なんだか違う感じがした。
前に言っていた優斗と今言った優斗。
言っている内容は一緒なのに。
なんでだろう。
「そうだ、これ、近所の遊園地のチケット。二人分、うちの親からもらったんだよ。今度行こうぜ。その……一緒に」
「うん……」
また二人して黙っちゃった。
「そうだ、あのね、優斗。私、あなたに言わなくちゃならない事があるの」
「え、何?」
「実はね……私……」
その時だった。
私の腕時計が、虹色の光を放ったのは。
「嘘、こんな時に!」
「え、何かあったのか?」
優斗には虹色の光は見えていない。
この腕時計はパパからもらった子供用腕時計だけど、実は隠れた機能がある。
「ごめん、優斗。急な用事が出来たから、また明日ね」
「え、ちょっと!」
「じゃあね!」
そう言って私は、公園から走り去った。
いままで病気だと思っていたのが嘘だと思うくらい、今の私は元気百倍!
「よーし!頑張っちゃうぞー」
それからしばらく走って、人がいない所に行くと、
「よーし、ここなら人がいないから大丈夫」
私は、腕時計にキスをした。
そして、腕時計を着けた左手を上げ、呪文を唱えた。
「キュアラ・プリティア・マジカ!」
私の体が光に包まれ、私の着ている服が変わっていった。
普段着から、可愛らしい服へと。
そして、
「魔法少女マジカル・シャイン!みんなの笑顔は、私が守る!!」
本小説は、
この世界を守る為に頑張ります!
https://ncode.syosetu.com/n1004gx/
の長編版です。
よろしければ短編版も読んでくれるとうれしいです。
シリーズ化……するかもしれないけどあまり期待しないでください。
恋愛話初めて書きました。
皆様もドキドキしていただければ幸いです。
よろしければ、ご意見ご感想、レビュー以外にも、誤字脱字やおかしい箇所を指摘していただけると幸いです。星での評価もお願いいたします。