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これがゲームの世界ですか?  作者: 詩穂
アルビオン
80/115

Why is Pussy in bed.

シュー・アルバート(8~9) 前世の記憶はなく、家族のことが大嫌い。

ティキ・シルヴィア 中級悪魔 楽しいことが好き。

フアナ 闇の心の精霊 不安定な人の心が好き。


いつもよりお話が真っ赤なのでご注意してください。(Not共産主義)

 シューがハデスのことを知ったのは、悪魔のティキ・シルヴィアと出会った直後のことだった。

「ミカ!」

8つのシューは久しぶりにあった男、魔導士のミカに抱き着いた。ミカはほりが深く、眉も太いので顔の印象が濃いので、一度であったら忘れない容貌をしている。

「おお、久しぶりだな、シュー。ちゃんと練習しているかい。」

誰にも見向きもされないシューであっても、ミカだけは抱き着いてきたシューに目線を合わせて挨拶をする。シューにとってナニーのエリザベスが死んで以来真面に人間と話したのは久しぶりだった。

「ずっと練習しているのに、蝋燭くらいの火しかでない!つまらないよ!」

そのせいか、いつもより浮足立ってしまったのは仕方ない。ミカは少し可愛そうな目でシューをみた。

「そうか、ちゃんと練習していて偉いな。自分とは違う魔法だからシューには大変なんだ。根気よく頑張ろう。」

「そればっかり!」

「でも、シューはまた魔法理論を覚えたんだろう。あとは実技でコツさえ掴めばあとはあっという間さ。」

「理論と魔法構成をあんなに覚えているのに魔法は全然だってオズワルドに馬鹿にされる!」

「はっはっはっ、オズは年下のお前に理論と構成で負けたから悔しいんだ。彼は馬鹿にしているんじゃない、羨ましがっているんだ。」

「でも、僕は…。」

「焦った方が負けだよ、シュー。人生長いんだから、目先で勝とうとするな、人生を総合して勝つんだ。」

ミカは落ち込むシューの方を叩いた。そうは言ったってシューは十にもならない子供だ。分かりにくいことよりもアッと言わせたかったし、ティキはシューを褒めることはなく、唯一シューと話してくれる人間にもっと褒められたかった。

「…そうだ、リズに『痛いの痛いのとんでけ』したら、リズは苦しくなくなったって言ったよ。すごいでしょ。」

 何も知らない人間からしたら、子供が苦しそうな人におまじないをかけているだけの可愛い姿だったが、ミカは穏やかに笑っていた表情が固まった。

「シュー、それはもう誰にもやってはいけないよ。」

「…え?」

 ほめてもらいたかっただけなのに、そういわれてシューは悲しくなった。

「いや、かけたつもりがなくても魔法がかかる場合がある。危険だからやらないように。コントロールができるようになってからだな。」

 後から考えれば、ミカはシューが光属性の子供であることをばれないようにするためだったのだと気づくが、その時は何も知らなかった。


 そもそもシューはエリザベスの病気を治すため光属性の治癒魔法を一人で勝手に調べていたが、その時は自分が光属性だとは気づいていなかった。

 ミカに魔法の理論を新しく教えてもらって、火魔法の特訓をしているところだった。ふとシューがエリザベスは今どこだろうと吐露したのだ。ミカもナニーを失ったシューを不憫に思ったのか、ハデスの話をしたのだ。

「ハデスという冥府の精霊の側でペルセポネの花を愛でているだろう。」

「はです。」

「ああ、死者の世界の王様だ。この世界のどこにでもあってどこにもない場所。肉体を喪失した者のみ行ける場所で、精霊であっても簡単には行けない。」

「じゃあ、なんでハデスはそこにいるの。」

「さあ、分からない。もしかしたらこの世界が死者で溢れないように、アンデッドで混乱しないようにまとめたのかもなぁ。こちらからは行けないが、ハデスは冥府からも出てこられるからその辺に実はうろついているかもしれないなけどなぁ」

「そのハデスに会えたら、リズの話が聞けるんだね!」

「話くらいなら聞けるかもなぁ。」

 ミカはおとぎ話を子供にするようにシューに話していたが、シューの執念深さには気づいてなかった。いいや、シューが光属性だと知っていたから、ハデスに会うことは不可能だと分かっていたからだろう。


 シューは空いている時間を使って、片っ端から精霊と魔導書について調べ始めた。シューに好き好んで近寄る人間はいなかったのが、功を奏したといっていいのか、悪かったといってよいのか。

 夜、文字を読むくらいの火は魔法で出せるため、シューは書庫からいくつか本をくすねて、自室で読み漁っていると窓からすうっとティキが入ってきた。

「そんな一所懸命になあに調べてんだ?」

「ハデスに会う方法を調べてる。君は何度も僕を尋ねているけど、今日は何の用?月にいるのは女性でも呪われた男でもないって?」

「俺様にはウサギに見えるけどよぉ、ハデスってお前会えると思ってんのか?」

「はぁ?闇属性なら会えるはずでしょ。」

「闇属性って誰が?」

「僕。」

「…まじか。いや、すっげぇ、そんなこと言われてんのか、お前。」

「じゃあ、違うっていうの。」

「当たり前だろ。はっ可哀そうにな、そりゃあ、魔法が下手だって言われるはずだぜ。ぎゃははは。」

色々察したらしく、笑い転げ始めたが、何もわからないシューはただ腹が立って思いきり悪魔をけった。幸いかわいらしい見た目でもない不細工な悪魔を蹴るのは罪悪感が一切なかった。が、笑い転げていた悪魔が今度はおまええとのたうち回った。

「…僕が言うのもなんだけど、そんなに強く決まらなかったと思うけど。」

「いてえんだよ!他に殆ど弱点がねえ悪魔は、光属性のちょっとした攻撃がくっそいってえんだよ!鬼!悪魔!」

「…は?」

「だぁかぁらぁ、お、ま、え、は、光属性なんだっつうの!」

 シューは本棚にあるミカから貰った基本書をもう一度ひらいた。魔法の関連性の項目だ。光-水―風―土―火―闇、近い属性ほど違う属性でも習得できるのだ。そして、光と闇は対局で、お互いがお互いを殺す力だ。

「…ね、僕見て。火魔法使えるんだけど。」

か細い蝋燭の火でしかないが、光属性であるならこれですら有り得ない。

「そりゃあ…、お前…、天賦の才なんじゃねぇ?よかったなぁ、誇れるものがあって。」

 あと数か月、気づくのが早ければシューはもっと治癒魔法を使いこなせたかもしれない。痛みや苦しみを和らげるだけではなくて、ナニーを失わずにすんだかもしれないと思うと悲しくて、悔しかった。

「馬鹿にしてるっ!」

 シューは持っていた基本書を投げ捨てた。ティキは面白そうにその本を拾い上げると、幼ないが、丁寧な字で書きこまれているのに触れる。

「そのまま、泣きわめくのも人間らしくて面白いけどよぉ、見返してやりゃあいいだろが。」

「見返す?」

「んー…、例えばぁ、光魔法究めたり?」

「光魔法は病気やけが人がいなきゃあ、始まらないし、助けることしかできないじゃん。」

 シューは憎悪の色を顔に滲ませながら、ティキの言っていることをよく考えているようだ。

「僕には『天賦の才』があるんだから…、どうせなら本当に『闇属性』になってやる。」

「ブハッ。そりゃあ、傑作だぜ。失敗しようが成功しようが、死にかけること間違いねえぞ!」

 どこが笑いのツボだったのか良くわからないが、噴き出してティキは是非やれ、そうしろと喚いた。

「どうやったら、違う属性を習得できるんだ。違う属性の魔法を覚えるのとはまたわけが違う…。」

 ティキは知っていそうだったが、教えてくれる気はないようだった。

 シューが『属性』を手に入れる方法を書庫で調べ始めてから1週間かかったが、方法は主に二つだった。1つは属性違いの精霊に『作り変えてもらうこと』。しかし、生まれ持った属性を失う可能性もそれなりにある上に、属性違いの精霊は声すら聞こえないことが多く、顕現させるのも難しいため偶然精霊の本体に出会うしかほぼない。もう一つはシンプルだが、大変で、ただひたすら習得したい魔法を発動させ続けるということのみ。

「…つまり、闇魔法をずっと発動させ続ければいいってことか。」

「光属性のお前は死にかけるかもしれねえけどな、こんな温室育ちの坊ちゃんなんだし、偶に命かけるくらいいいだろ。」

「『偶に』っていうかこれからしばらくは『常に』なんでしょ。」

 

 ティキは何も今までは自分で確かめろというばかりだったが、シューに一つ魔法を教えた。それは動物に変わる魔法で、魔法構成も理論も理解したが、教わっただけでは全く発動しなかった。頭が沸騰しそうだったし、自分が今何をしたいかすら分からなくなる。

「はあ、かすった気すら起きない。」

「それができれば、後は具体的に分かりやすくなるから続けやすくなるが、それまで耐えられるかの勝負だぜ。」

 悪魔はふらりと現れて嘲笑していた。できるかなぁとニヤニヤする悪魔が腹立たしくて、絶対やってやると思えた。

 どんなにやっても時間が足りないので、癇癪をおこしたふりをして我儘や罵詈雑言を言って家庭教師を追い出した。

 自分の腕を切ってみた。気が狂ったわけではなくて、闇魔法と違って光魔法がどれだけできるか試したかったからだ。勿論理論と魔法構成を頭に叩き込んでから実際に発動させたのだが、一発で感覚を掴むことに成功した。

「…光魔法ははじき出す感じ・・・、闇魔法は逆?」

か細い火魔法を出してみるが、感覚が光魔法とは違った。弾く感覚がする光とは違って、火魔法はこする感覚があった。

「やっぱり違うか…、ううんううん…。」

 シューがうなっていると箪笥の影から滲み出すようにティキは現れた。

「何その登場のしかた、気持ち悪い。」

「ギャハハ、闇魔法を見せびらかそうと思ってな。」

 ティキは変わらずシューが頭を悩ませているのが楽しいそうだ。

「そういや違う国でな、『影』っていう言葉はその昔『光』を意味したんだってよ。」

「それになんの意味が。」

「面白えだろ。」

「…君、言葉遊び好きだよね。」

「好きだぜ、折角言葉がある種族に生まれてんだ。これを楽しまなきゃあ勿体ないってもんだろ。」

 ティキは真剣な顔をしていた。いつもニヤニヤと顔を歪ませているから少し驚いた。しかし、すぐ嘲笑の顔に戻ったので気のせいだったかもしれない。


 シューが次にティキと会った時、なぜか小さな美しい女性の精霊と一緒だった。

「…誰?」

「私はフアナよ、楽しいことをしていると聞いて見に来たの。」

「見てても、楽しいモノじゃないよ。」

「楽しいの、貴方が眉間にしわを寄せているのが。」

 ティキと同類だと苛立った。

「もう!できないしっ、腹立たしいし!」

闇魔法が発動しないのも、ティキが腹を立つ顔をしているのも同じだが、いつもよりものに手がつかなかった。

「ああ、それは私が闇の心の精霊だからよ。私が側にいると心がざわつくの。なれればある程度は制御できるわ。」

「どこかにいくってことはしないんだ。」

「だって、楽しいもの。」

「ギャハハ、ドンマイ!こいつに好かれた人間は乱心するんだぜ!」

 シューを見てニヤニヤする存在が増えた。でも、耐えた。腹立たしいのに変わりはないが、話せる存在が居るというのは、シューにとって妙な安堵感があった。

「…あ。」

 何かが蠢いた感覚があった。結果的に魔法は不発だったが、闇魔法への道の先を何とか掴んだのだ。

「…指が痛い。」

「そりゃあ、光属性の人間からすりゃあ、毒を飲んだようなもんだからな。こっからが命懸けだっつーのにおじけづいたかよ。」

「ドキドキするわねぇ。」

 命を懸けるという感覚の一端がようやくわかり恐ろしさもあったのだが、倦んだように痛む指先が確かに進んでいるということが分かって嬉しかったのも確かだ。


 ティキが言った通り最初のその感覚を掴んだら、何も見えない霧の中から何をするべきか分かり始めており、魔法の習熟が進んでいると実感する。ただやはり闇魔法の練習は命をすり減らした。魔法が暴発して、皮膚がはじけ飛んだり、腕が取れたり、呼吸困難に陥ったり、そんなことばかりだったから必然的に光の治癒魔法の熟練度も増していった。腕を吹っ飛ばしたりしていると、ティキがギャハハと笑い転げ、シューがそれに腹を立てて、そして、そんなシューにフアナは大層楽しそうだった。シューの身体は治るからどうでもよいのだが、シューの部屋は夜になると大量殺人が起きた現場になっていた。これに関してはフアナとティキが最大限シューがやりやすいように心理誘導を使って使用人に片付けさせ、うまくいっていたのである。そうして、シューが闇魔法がほとんどぶれなく使えるようになった頃、闇魔法を使っても痛みや苦しみを感じなくなり、どことなくフアナに近づいた気がしたのである。

「あら、弱いけど闇属性になってきているわね。頑張っているじゃない。」

 それが、シューが修練を始めてからおおよそ1年たった時のことである。

「…ふぁあああ、やっぱり魔法に関しちゃ、天才、なんだろうな。属性としてはまだ赤ん坊レベルだけどよぉ。」

 

 壁を乗り越えるくらいしか使えていなかった光の転移魔法も治癒魔法で光魔法の使い方に慣れてきたころには自分一人移動させることくらい簡単にできるようになった。だから、最初オルレアンの王都の地図を見つけたときは、これでどこでも行けると思い、屋敷を出て歩いてみようと企てた。

 ティキもフアナもその日は来なかったので丁度良いと思ったのである。

 シューは天才だったが、全てが全てうまくいくとは限らないのに、シューは判断を誤った。せめて、どちらかがいるときに結構すべきだった。

 地図の縮尺がずれていて、結果として魔法も正しく発動されず、全く知らない森の中に飛ばされてしまった。左足も千切れてしまった。久しぶりにこのパターンをやらかしたなとアドレナリンが噴出して痛みすら感じず、あっさりと状況を受け入れた。幸いなことに目が届く範囲に自分の失った左足が落ちていて、転移魔法で呼び戻してくっつけた。闇魔法の変化魔法でよくやらかした怪我だったから完璧に治すことができた。

 オルレアンでは珍しくこの森は霧が濃いため星や月の位置で場所の特定はできなかった。絵本の中でこういう森に狼や悪い魔女がいるものだったから、シューは周囲を警戒しながら探った。遭難した場合動いてはいけないが、シューは日が昇る前には家に帰る必要があった。右側の手近の木に魔法で切り傷をつけながら歩いていると、木々が無く開けた場所に出た。そして、その先に崩壊した数百年以上前の建築様式の神殿があった。

「こんな、ところに?」

 神殿は基本的に人が集うところに存在するので、森深くあるのは不思議だった。

「ここは、ペルセポネを祀った闇と土の神殿。」

シューの背後から低い男の声が聞こえて慌てて振り返った。そこにいたのは白く真っすぐ伸びた髪に、表情が全く見えない仮面、神代のころの服装をした男の精霊が立っていた。

「…闇の精霊。」

「そうだ。人の子よ、どうしてここにいるんだ。」

「知らない。迷子になった。」

「迷子、か。そんな簡単に入れる場所ではなかったのだが。」

「入れない場所ってどういうこと。」

「…結界魔法の中だということだ。霧深いだろう、あれは人の世界と結界の内側を区切るためのものなのだ。」

 シューは正直にここまで来た事情を話すと、彼は少々驚いたようだが元の場所、シューの屋敷まで戻してくれると言ってくれた。

「しかし、久しぶりに人の子に会った。少しだけ、話をしないか。」

「是非。精霊を祀った神殿跡っていうことは、元は貴方の結界の中じゃないってこと、だよね。聞いてみたい。」

「ああ、そうだな。でも、まずは人の子のことを聞かせてくれないか。」

そうして、シューに親切に語りかけてきたのは、シューがずっと会いたかった闇の最高精霊ハデスだった。冥府の王というくらいだから、もっと恐ろしい精霊だと思っていたのだが、シューを嫌う使用人たちより余程優しい人だった。

「いいけど、何が聞きたいの?」

「人の子から血と死の匂いがする。だからこそ、転移魔法の失敗でここに飛んでしまったのだろう。」

「血はさっき失敗したときに足が飛んで行ってしまったから、分かるけど…、『死』?」

「足が飛ぶ…とは、人の身では大事故ではないか。それほど下手なのか、魔法が。」

「大丈夫、もう慣れた。」

「そうか。」

シューがそういうと、冥王ハデスは木を一本切り倒すし、そこに座るように勧めた。治したばかりの足を気遣ってくれたのかもしれない。

「僕は生きているよね?」

「生きているぞ。それは…、死者に好かれたか、死者の怨嗟か。」

「僕がハデスに会いたかったから、というのは。」

「往々にしてあることだ。」

死者に会いたいと願うのは誰にだってあることで、精霊ハデスに会いたいという生物はそれなりに存在するから、全く関係が無いのだとハデスは話した。ハデスは「死」の匂いがする自分から言った割に、それほど興味はなかったようで、話を変えた。

「人の子は光の子だな。」

「うん、そうだね。」

「久しく闇以外のモノに会っていない。」

「冥王、なのに?」

「この神殿は我が妻を祀ったものだ。」

 シューはうん?と首を傾げながらも耳を傾ける。

「私のことを、人も精霊もおそれているのだ。」

「だから、この神殿は破壊されたっていうこと?」

「…ああ、それから、我が妻も、消滅した。」

「え?ペルセポネは消滅しているの?」

「精霊が、人の手によって?」

「今の精霊たちは私が恐ろしいらしい。」

「精霊たちも、協力してペルセポネを消した。でも、何故精霊はハデスを嫌うの?」

「悪魔が精霊を殺したからだ。」

ハデスは話上手ではなかったが、どうにかシューは話を理解した。悪魔とは闇から生まれた存在で、長らく悪魔は精霊の加護もつけられない弱い存在だと思われてきたが、その弱い悪魔が不死に限りなく近い精霊を殺した。精霊は悪魔を軽蔑し、また人族も闇属性の存在を恐れた。そして、精霊と人族は協力して闇属性の精霊を消滅させた。仮面と抑揚のない話し方では感情を読み取ることは難しかったが、ペルセポネを殺した存在を恨んでいるようにも聞こえた。

「シューは何故自身を切り刻んでも、闇魔法を使うのだ。」

 人への恨みとエリザベスへの恋しさ、それから側にいる闇属性の精霊と悪魔の存在が、全て闇魔法へとつながった。

「闇属性は、それだけで罪だといわれるのだ。」

寂しそうな声だった。

「これからもっとその力を得ようとするのは、勧められない。」

それはシューを気遣うものだったが、裏腹に闇属性を捨てないでとも言っているように聞こえた。

「僕、父親が嫌いで困らせたい。そのために人の役にしかたたない光魔法はいらないと思ったんだけど、闇魔法はどうしても僕の器ではうまくいかなくて怪我ばかりだったから、結果的に光魔法もすごくうまくなった。闇魔法は体の構造を理解している必要があって、それは結果的に光の治癒魔法の精度も上がることにつながった。闇魔法は、僕にとっては必要なんだ。だから、止めない。」

シューは勢いよくまくし立ててから、闇魔法を教えて、とハデスに頼んだ。仮面で分かりづらいが、ハデスの声が柔らかく聞こえた。

「ああ、ならば、教えよう。」

フアナは自分の魔法は特殊だからと教えてはくれなかったし、ティキは動物に変化する魔法を教えてくれたのみでそれ以外は全く教える気はなかったから、ハデスがそういったのが本当に嬉しかった。

「本当!」

「ああ、だが今日はもうすぐ夜が明けてしまうだろう。今度は私の方から尋ねる。」

 ハデスはこの純粋に慕ってくれる子供が嬉しくて、その小さな髪をなでると自分の子供を寝かしつけるように額にキスをした。

「いい夢を。」



実は病みパーティー。(ハデスを含む)

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