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これがゲームの世界ですか?  作者: 詩穂
神殿
13/114

Ne regarde pas ce cahier sans Maria.

すみません、続きというかおまけ話に近いです。


マリアンヌ・レーヌ・ド・オルレアン(14)オルレアン王家第一王女 前世は真理亜(キャバ嬢) オズワルド推し


シャルル・ド・オルレアン(15) オルレアン王国王太子 公式四コマではオカンポジションの面倒見の良いお兄さん。


エリオットJr.・アルバート(18) アルバート家次期当主 公式四コマでは頑固クソ親父 趣味は投資


オズワルド・アルバート(16) アルバート家次男

公式四コマではツッコミポジション


シュー・アルバート(12) アルバート家三男

公式四コマでは引きこもりオタク


暖かい日差しと乾いた風がオルレアンの国に訪れた。夏である。正しくいうならオルレアンは全体的に雨が少ない地域だから、殆ど乾燥しているけれども。 日中はそれなりに気温が上がって暖かいが、乾燥しているため夜は結構寒いままである。

「肌がパサパサになるのだけれど。」

何故シューの前に、さも当然のように王女殿下がいるのだろうか。

「王女殿下?一応婚約者がいる身では?」

いくら14歳とはいえ百姓身分の女性なら結婚しはじめる年だ。美代子や真理亜の感覚でいえば、まだまだ幼い子供だけれど、この世界の百姓身分であれば既に人生の35%終わっている。最下層階級なら、人生の半分過ぎたくらいか。

「親兄弟には友達になったと説得いたしましたわ。」

「いやいやいや、それでも醜聞になるよ。煙のないところに煙を出させるのが、貴族の足の引っ張り合いじゃない。」

しかし、王女殿下はそれで駄目になるようなら自分の社交努力の失敗だというのだ。王国の足は引っ張らないようにすると彼女は既に意思を強くしていた。

「これはオルレアンだけの問題ではありませんからね。絶対に失いたくありませんから。…時にシューちゃん?」

「はあい?」

殆ど会えないと覚悟を決めていたシューは王女殿下に対して気の抜けた返事で返す。

「貴方、肌綺麗ね。」

「12歳の少年だから、そりゃそうでしょ。」

反対に王女殿下はお肌の曲がり角の年齢なのだから、シューに言われても困る。

「いいえ、神殿の貴方より年下の子でも貴方は肌が綺麗でしたわ。」

「目の付け所が変態っぽいよ。」

「知っていますわ。」

マリアンヌは納得する理由が欲しいらしい。乾燥しやすい肌だったり、栄養の吸収率だったり、シューが預かり知らない個人差だけでは埋められなさそうだ。

「強いて言うなら僕が超健康だからじゃないかなぁ。」

「ちょー健康…。」

「調子悪かったらすぐ表れるのが肌じゃない。」

「でも、シューちゃんと神殿の子は生活習慣は殆ど同じでしょ?」

「同じどころか、僕の方が悪いくらいだと思うよ。就寝時間より、早くても1時間は遅く寝てるから。」

「ならなんでかしら?」

「僕が元々光属性で治癒魔法は大得意だからね。肌が荒れてもすぐ治せるの。前世は女の子だから。残り少ない『女子力』ってやつ?」

そして、闇属性の力で、病気耐性にも優れているためとにかく不調とは縁がない。魔力の欠乏にさえならなければ、の条件付きではあるが。

「その美しさの秘密は他人には真似できませんわね。私も水の神癒魔法は覚えましたが、その度に魔力不足で疲労になるのは良いとは思えません。」

「気がついたら、だけどね。男所帯だから肌の荒れなんて忘れがちになるもの。」

男性が全く気にしないとは言わないが、美容に関してはどうしても女性の方が敏感だ。それでも、魔法ばかり目に行きがちなシューがそういった方に目を向けるのは、女性である美代子の感覚と従者のカーティスが鏡が無くてもすぐに気づいてくれるからだ。

「はぁ、オルレアンは乾燥するから仕方ないですわ。」

「代わりに凄く過ごしやすいじゃない。暑く無くて。」

「水不足にならないといいですけれど。王都の近くは大きな湖があるので、大丈夫かと思いますが。また地方都市で飢饉でも起こると、またアルバート家に領地を乗っ取られますわね。」

「エリオット兄様、それ得意だから…。」

エリオットJr.は今騎士団に勤めているものの、家令と共に領地経営に力を入れていいて、アルバート家は交易と確かで豊かな農業で栄えていた。近頃は他の地域で災害などのピンチのときにいち早く駆けつけて救助したり、援助することによって領地を吸収させて支配圏を大きくしていた。早い話が企業の買収合併のように規模を大きくしているのだ。オルレアン王家は大きくなるアルバート家を危険視していた。王女殿下の婚約者が仲の悪い隣国の王子であることも、アルバート家に対する警戒の1つだ。

「大きくなると監視の目が届かなくなるから、これ以上は大きくしないと思うけどね。次の飢饉が起こった地域の救助は色んな理由をつけて断るんじゃないかなぁ。」

「むむむ、それもそれで困りますわ…。今1番お金の余裕があるのがアルバート家なのに。」

「クラメンディールの金山が手に入ったしねぇ。」

「貴方たちの凄いところは羽振りが良いように見せないところかしら。」

もちろんアルバート家の人間は全員ちゃんとした身なりをしていて、全て一流の職人が作ったものばかりを所有しているが、ただ他の貴族に差を見せつけるようには使っていないのだ。オルレアンの王家より派手な恰好を絶対にしないし、王宮より豪華な城を建てていない。

「あの人は金は金を生み出す為に使う、みたいな人だからね。投資が趣味で研究者たちとも仲良くて凄いよ。エリオット兄様とアンヌは会ったことあるんだよね?」

「ええ、お茶会で会話したことがありますわ。やはりとても格好いいですよね。」

アルバート兄弟贔屓の真理亜が恥ずかしそうに手で顔を隠す。

「お父様以上に、兄様は性格きつくない?レディには違うのかな。」

「レディのエスコートも完璧ですし、受け答えも爽やかで素敵でしたわ。…ゲームで知ってると違和感でしかありませんが。」

ゲームではドSという枠組で作られたキャラクターで、ヒロインに凄く冷たいし虐めてくる人だから、完璧な紳士のエリオットJr.は殆ど作中で出てこない。ゲームでは1番攻略するのが作中で難しい。シュールートのクリアが難しいのは、ラスボスが強すぎるからであって、シューが原因ではない。寧ろシュー自身、どん底で何もない状況に手を出して助けてくれるヒロインに対して最後は縋るようだった。対してエリオットJr.は全て自分で完結してしまう人だから、ヒロインが彼の世界に入り込むのが難易度高い。バッドエンディングで1番親密度の高い攻略対象がヒロインを庇うと言っていたがあの男が本当にヒロインを助けるのかと思ってしまう。

「ナルシストはオズ兄様って言うけど、本当のナルシストはエリオット兄様の方だと思う。」

「分かります!自分のことが好きという発言が多いオズワルド様なんですが、アルバート家では1番自己評価が低くて、少し卑屈なんてすよね。私この作品で1番過小評価をしている方だと思うの!」

「あ、はい。」

彼女の萌えポイントを突いてしまったようで、暫くオズワルド語りが始まってしまった。真理亜が1番好きだったのがオズワルドであることを失念していた。暫く彼女のオズワルドの話を聞いてから、王女殿下は咳払いをして落ち着きを取り戻した。

「それで、乾燥肌とオズ兄様の話をしに来たわけではないですよね?マリアンヌ王女殿下。」

「そういうところ、Jr.様そっくりですわ。」

「膨れないでください。後で肌のパサパサを治してさしあげますから。」

「もう、騙されてあげるわ。」

そう言って王女殿下はふくれっ面をした後で、一冊のノートを差し出した。

「私の思い出せる限りの『ストマジ攻略ノート』ですわ!」

表紙には稚拙な文字で、「マリアいがい見るのきんし」と書いてあった。

「いつの。」

「それは6つの時の字ですから、気にしないでいただきたいですわ。最初の方のは字も文も稚拙で読みづらいので、シューちゃんに見せるために書き直しましたので、こちらからご覧ください。」

と、マリアンヌはページを開いてきたのだが、渡されると気になって最初のページを開いてしまった。そこには文字の向きがしっちゃかめっちゃかな可愛らしい字で「シューはだめ」と書いてあった。思わずプッと吹き出した。

「なんですの!仕方ないでしょう!」

「ごめんなさい。なんだか気が抜けて。」

「私は必死なんです!全く人の努力をなんだと思いなんでしょう。」

マリアンヌが最初に開いてくれたページを見ると、攻略対象全員の名前と初登場するシーンと仲間になる条件が書かれていた。

「…え、僕を抜かして13人って…、こんなに居たっけ。」

「無視をすることだって可能ですし、必ずしもパーティメンバーにする必要ありませんからね。ストマジに逆ハーレムルートは存在しませんから。パーティメンバーはエンディングのハッピー、バッドに殆ど関係ありませんから。攻略したい相手はパーティメンバーにしなければなりませんが。」

「逆ハーレムかぁ…。やろうとも思ったことないからなあ。」

「推しがアンドリューと武器屋のおじさんな貴女が誰のエンディングを見たかは気になりますわね。」

「えーっと、待ってね。なんだかんだいってアルバート家は見たよ。面白かった。あとはシャルル王子と、ウィリアムかな。美代子が良くパーティメンバーにしていたキャラはとりあえず確認した。」

あの大雑把の美代子が四苦八苦しながら5人も見たなんて、凄いと思う。レベルそのままで二週目行けるので、二週目以降ラスボスとシューは簡単に蹴散らせた。だからかもしれないが、ヒロインが無双しているイメージがある。

「シュールートのラスボスがきつかったなぁ。」

「魔王より強い設定にするのはどうかと思いますが、あの上級悪魔強かったですわね。名前は確か『憤怒するクー』でしたわ。結局クーがシューの命を狙っていた理由が分からないまま終わってしまったのが惜しいですわ。」

「ヒヤカミでは分からない?」

「ヒカヤミです。分かってないですわね。」

「ふーん、ヒヤカミの内容気になるけど。」

「…それは私がきちんと思い出してからにさせてほしいですわ。」

マリアンヌが伝えない方が良いと判断したならそれが良いのだろうと自分を納得させ、再びマリアンヌが頑張って書いたノートを見直す。

「ああ、イールゥイ。彼にはお世話になったよ。」

「イールゥイはパーティにいるだけでアイテムドロップ率がアップいたしますから、プレイヤーならお世話になりますわよね。…彼はまだこの国には来ていないようですわね。」

長い黒髪を全て1つの三つ編みにして後ろに流す彼はオリエンタルな雰囲気がとても素敵で明るい性格が魅力のキャラクターだ。

「紙の技術革新って彼の家が来たからじゃないんだね。あれは東方の技術だと思ってたんだけど。」

「…それ私が教えてしまったんです。楮が生えてたいたのを見つけてしまって。」

「紙の作り方を知ってたんだね。小さい頃栞作るのに手作り和紙を作ったけど、木からは流石に知らなかったよ。」

「いいえ、知りませんでしたわ。でも、王宮勤めの研究者の方に相談いたしましたら、作れるようになったのです。」

人を頼る、という考えが無かったため、そういう方法もあるのかと驚いてしまった。それにマリアンヌは気づいたようで悲しげな顔をした。

「シューちゃんは変わらず人を頼ろうとしないのですね。」

「なんでだろうね。三つ子の魂百まで、かな。」

「私絶対に頼りになる女と言わせてみせますわ。」

「ああ、あまり気にしないで。美代子もそういうところあるから。」

「助けてほしいときは『助けて』というのが生きやすくするコツですわ。」

「参考にする。」

と言いながら、シューはイールゥイのことばかり考えていた。イールゥイ・リーはアルバート家の所有する港町を足がかりにオルレアンで商売に成功した大商人の息子だ。彼らの祖国でも商家であり、貴族ではないが、アルバート家の紹介でイールゥイが王立魔法学院に学ぶことになる。

「ゲームの時のパーティ条件も『オズワルドをパーティにいれてアルビオン(アルバート家領)に行くと仲間になる』、か。そんな条件だったのか。いつのまにか仲間になってたイメージだ。」

二週目以降は既に解放された状態だから初歩的なとは大体忘れてしまう。よくマリアンヌはここまで書けたものだ。

「オズワルド解放条件も簡単だから、意図していないと気づかないですわね。」

アルバート家領なので彼が来てしまえは、会いに行くのは比較的簡単に思える。ヒロイン以外は身分がはっきりしているから、居場所も分かりやすく、説得もしやすいと考えたが、

「うーん、彼は戦闘能力は高くないんだよね。1番ステ低いし。」

「サポート能力に力を注いでおりますから。とは言っても育成次第ではありませんか?ゲームとは違って私も神癒魔法を覚えました。」

「魔力量から察するに戦さ場には連れて行けそうにないけど。」

「酷いですわ。最前線には行けなくとも、避難してきた負傷兵を治すことくらいできます。」

王女殿下にはあまり戦場には来て欲しくないし、安全な場所にいて欲しい。それは決して王女殿下の御身を心配してのことではない。心ではそう思っても伝えはしなかった。

「まあ、成長っていうのは人それぞれだし、ゲーム通りじゃあないよね。」

「その通りですわ。この世界ストーリーは、何もしない限りバッドエンディングにしか進まない、そう思いません?だから、無理にでも強くなる必要があるのです。」

「でも、そのやる気をどう引き出すかっていうのはすごく問題だと思うよ。ヒロインよりはなんとか説得できそうではあるけど。特にカルヴィン辺境伯領は魔族領とも接してるしね。」

カルヴィン辺境伯の攻略対象は二人、双子がいる。この双子が仲悪くてヒロインは手を焼くのだ。

「カルヴィン辺境伯爵は確かに危機感の強い方ではありますが、あのお二人はどうでしょう。」

王女殿下はお茶会で実際の2人を見たことあるらしいが、悪戯小僧というか本当に伯爵の子供か分からないような立ち居振る舞いだったという。

「とは言っても元々王都から遠く、普段もマナーハウスで暮らしているので最近はお会いしてませんわ。」

原作ゲームでもそうだったし、あまり変わらないのか。ゲームとは違うのは僕とオズ兄様の関係くらいかな。」

「それだけではありませんよ。シャルルお兄様とセルジュお兄様も仲がよろしいの。」

原作ゲームでも仲は悪くないよね。」

「はい、周りが2人を引き裂くようなことしていましたね。でも、私がセルジュお兄様と色々お話して第2王子派を説得させましたの。神癒魔法のおかげでシャルルお兄様の体の弱さも大した弱点にはなりませんし。」

「…シャルル王子とヒロインが仲良くなるフラグがほとんどなくなったわけだね。なるほど、王子殿下とヒロインが大して仲良くなくなれば、僕が王女殿下に手を出さなくなるってことだ。」

彼女は必死に自身の死亡フラグを取り除くために注力していたのだ。ノートの字は6歳だったから、彼女は6歳の頃から一人で戦い続けたのだろう。

「王太子殿下と仲良くなりたいなぁ。」

「それはどういう下心でしょう?」

美代子のお気に入りキャラクター、ということもあるけれども、シュー自身ゲーム内又は公式四コママンガの中で1番シューを見ていた彼が気になるわけだ。

「僕が仲良くなれそうな人は彼だけだから。」

「そんなことないとは思うけれど…。でも、シャルルお兄様に聞いてみますね。」

「え、なんて話すの?」

「私の大切なお友達ですと。」

「誤解される気がするんだけど!怖い!」

腹違いと妹ではあるが、シャルル王子は妹のことを本当に大事に思っていて、ゲーム内ではシャルル王子にシューは殺されかけたのだ。

「いや、僕を殺したかった王子が1番僕の面倒を見てくれてたのも変なんだけどさ!」

「複雑な愛憎模様、ですわね。好きの反対は無関心とはよく言ったものです。」

シャルル王子は最初はシューを殺そうとした。しかし、シューが無抵抗のまま殺されようとしていた姿を見て彼は思いとどまった。それから、しゅーが兄弟や親からネグレクトを受けていたことから同情し、マリアンヌの悲劇を起こさせないためと言って監視という名のお世話をしてくれた、というのがシャルル王子とシューの関係の全容だ。

「本当オズ兄様はともかくダブルエリオットは僕のこと無関心すぎるというのが原因だよね。」

「オズワルド様とはどれくらい仲良くなったのですか?」

「お互いのこれからは仲良くしていこうねという方針に合意したところで話は進んでおりません。」

「政治家みたいな言い方ですわ。」

生憎政には美代子の代から縁がない。とはいっても、大学まで卒業した美代子の知識は、この世界の一般人レベルではない。

「ビル様…、ウィリアムから聞いた話だけど、オズ兄様は僕のことを褒めちぎってたんだって。僕の前では妾の子としか言わなかったのに。」

「オズワルド様は幼い頃は貴方に嫉妬していたとも思います。なんだかんだ言ってシューは魔法の才はヒロインに勝るとも劣らない、そしてそれを凌駕する知識量。魔導士ミカも言ってました。『1番魔法を愛し愛されている』と。上には誰しもが優秀だと言うJr.様もいます。誰にも見てもらえない、誰にも認められない、そう言う思いはシューだけではなくてオズワルド様にもありました。」

まるで見てきたかのような物言いに、困ったように首を傾げる。

「そういえば、王女殿下はオズ兄様とはどれくらい仲が良いんです?」

「え、会えば挨拶を交わす程度、でしょうか。私もシューちゃんの話を聞いておりましたよ。溺愛されているようなので、大分話は変わったのではと思っていましたね。」

「王女殿下、ご自分で逆ハーレムフラグを立てているのではないですか?」

「してません!」

王女殿下は聡明で、美しく、話を聞いてくれる姿勢が、誰でも惹きつけられるだろう。それはそれでも構わない。結局魔王を倒すことができれば、攻略対象たちが誰に恋しててもいいのだ。王女殿下は顔を赤くして否定した。元々このゲームが大好きなのだから、王女殿下だって吝かではないはずだ。

「二次元って二次元だから素敵ですわ。」

「あ、はい。」

つまり、現実の男になった瞬間、夢から醒めたというのだ。攻略対象はそれは一癖も二癖もあるから仕方ないとは思う。結局現実で勝つのは、最低限の経済力と思慮力あるの優しい男なんだろう。

「ということは王女殿下は婚約者と結婚するの?」

「そうなりますね。ミヒャエル殿下が違う令嬢を好きにならない限り。」

「ふーん、珍しい。恋愛結婚したいというのがと思ってた。」

「この世界で恋愛結婚の夢なんて見ない方が幸せですよ。シューちゃんは婚約者の話はありませんよね。」

「お父様はその気がないと思うよ。エリオット兄様がどうするか次第だね。」

エリオットJr.が家を継いだ時、家の役に立たなければ、恐らくあの家に居場所はない。最終手段が結婚してコネを増やすことだ。

「結婚に関しては、エリオット兄様に任せるところかな。」

ポヤポヤと考えていると王女殿下は真剣な顔をして、シューの手を掴んだ。

「シューちゃん、努力しないと人生もバッドエンディングを迎えますわ。」

それはずっと一人で死亡フラグを払ってきた彼女の必死の言葉だった。美代子も死にたくはない。

「努力してもバッドエンディングだったら?」

「その可能性も勿論あります。でも、ハッピーエンド、グッドエンディングを迎えられるのは努力したもののみです。」

それはきっと王女殿下の心の支えにしている言葉だ。努力の方向性が悪かったシューにはあまり響かないけれど、王女殿下の支えになっている言葉は否定できなかった。

「グッドエンディングねぇ。」

「そうですわね。次のお茶会にはおいでなさって。出会いもあるでしょうし、何よりシャルルお兄様も参加いたしますわ。」

「げ、そうなる?」

どうやらそろそろ貴族としての仕事をし始めなければならなそうだ。









フランス語は一切勉強をしたことないので、翻訳ソフトです。間違っていたらご連絡を頂けると幸いです。

英→フランスで翻訳したので、英文が間違っている可能性があります。



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