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幼なじみ

 とにかく師匠は可愛い!!

何をしても可愛い!!

私よりも(見た目が)年下なのに頑張る姿が非常に可愛い!!

(実年齢は大分上らしいがそんなことは関係ない)

そして健気に私に術を教える姿も可愛い!!

そのせいでほぼ半分は聞き逃しているのだが

私にはショタ属性がなかったはずだがはっきりいってこの1週間で虜です。


 思えばうちの学校にはろくな男子がいなかった。

大体、男女比でも圧倒的に男子が多い。

そして大半の男子が女子を下に見ている。

私もさんざん嫌な思いをしてきた。

師匠は私にとって初めての優しい男子なのだ。

だからショタ属性が付いたっていいじゃないか。

最近、私はそう思っている。


 師匠の身の回りの世話は私の仕事だ。

師匠は足が不自由なのでいろいろと大変なことが多い。

それでいて伝説の勇者なのだからたいしたものだ。

ほぼ身の回りのことは出来るそうだが、弟子に入ったからには師匠の身の回りの世話をするのは弟子の責務。

今では料理から掃除、洗濯なども私がやっている。

元々お世話をするのが嫌いでない私が積極的にやっているとも言えるのだが。


 週末、見知らぬ10歳ぐらいの女の子がやって来た。

その女の子は家に勝手に入ってくるなり

「誰、この女の子は?」

と師匠に厳しく問い詰めてきた。

どうやら師匠の知り合いらしい。

それからしばらく話し合った後、にこやかな顔で私に寄ってきた。

「ごめんなさいね、あなたを疑ったりして。

大体、浮気できる甲斐性も無いのは知っていたのだけど」

彼女と師匠はただならぬ関係のようだ。


 彼女は

「私の名前はレリーゼ。

それにしてもあの人が弟子をとるなんて驚きよ。

今まであの人の課題をクリアした人なんて数えるほどしかいない。

つい、最近と言っても20年ぐらい前に1人いたぐらいであなたで2人目よ。

へぇ〜、今回は女の子なんだ」

ていうと前回は男性だったのかを聞いてみると

「あの人は性別にはこだわらないからね。

とにかく前の弟子は変わった人だったよ。

変わってなきゃあの人の弟子は続けられないけど。

あなたにとっては兄弟子?になるんだっけ。

とにかく変わった奴だから見た目に惑わされないでね。

近々、会う予定があるから。

今は私の村に住んでいるんだっけ。

とにかく見た目にビックリしないでね」


 続けて彼女は

「あ〜。自己紹介の途中だったわね。

私はあの人の元妻、幼なじみよ。

見た目で分かるとおり、私もあのトラウマ級の女神の加護を受けたの。

それから成長していないから見た目は幼いままね。

それからお互いの素性を知っている問い事から一応は結婚したの。

でもあの人、よく分からないんだけどいわゆる性には一切興味が無いの。

私がどんなに誘惑しても発情しないし」

いや、まぁ、どう見ても子供なのだからしょうがないと思うのだけど。

そういえば、私もどんなに誘惑してもそんなそぶりは見せない。

抱きついたり、一緒にお風呂に入っても恥ずかしがりはするけど興奮したりする様子は見えない。


 彼女は続けて

「一時、同性の方が興味があるんじゃないかとも疑ったわ。

ある出来事があってからそのことを調べる機会があったんだけど結果はシロ。

彼には恋愛感情そのものがないことが判明したの。

そんなこんなで私たちの結婚生活は一週間で終わったの。

それからも彼のことが気がかりで週末には様子を見に来ているのだけど、そうか、弟子が出来たのか。

決めた、あの人が認めたのだから私の弟子にもなりなさい。

あの人は人として最高の人間だから、見る目も最高なはず。

あなたはきっと素晴らしい人、あの人の技術と私の技術が合わされば世界最高の勇者になるはず。

前の弟子には素質がなかったけれど、あなたに賭けてみるわ」


 勝手に話がまとまってしまった。

彼女はその後師匠と話し合っていた。

師匠は納得できないような表情だったが最終的に押し切られたようだ。

私は彼女の弟子に無理矢理ならされた。

聞けば彼女も伝説級の勇者の1人なのだそうだ。

これから修行も大変になりそうだ。

(事情があって彼女は週末にしか来れないそうだが)


 話が一段落済んだところで私は前のお弟子さんについて聞いてみた。

彼女は

「とにかく変わった人だったわ。

今で言うチャラいって言うのかしら。

女の子には見境がないぐらいナンパしていたのを覚えているわ。

ただ、あの子は変に真面目すぎるところがあるの。

考えすぎてしまうところが。

それが修行に向けば良かったんだけど。

あんなことになるなんて。

まぁ、基本的にチャラいのが原因だけど。

普通、あんな風になる人はいないから。

それから、有る事情から勇者になるのを止めて私の出身の村で静かに暮らしているわ。

本人が幸せなら別に良いのだけど。

あ〜、言っておくけど、事故とかで勇者が続けられなくなったとか女の子に手を出してとんでもないことになったとかそういうことではないの。

本人は普通に幸せに暮らしているから。

ただ、人って突き詰めるとあんな風になっちゃうんだって唖然としちゃったから。

まぁ、来週会ってみると分かるわ」

彼女はそう言い終わると微笑にやけていた。

よっぽど私が驚くのだろうと。

でもそう言うとハードルが上がると思うのだが。

最後に彼女は

「まぁ、同性同士になるんだから仲良くやりましょう」

と意味深に言っていた。

この意味が分かるのに私は一週間かかった。


 




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