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3.光桜子

害獣処理が終わったら、また現実に戻らなければいけない。


バスに戻るのは面倒なので一応鞄は変身後も持ってきていたから変身を解いて戻ることにする。

おかっぱ魔法少女に「あ、A高校の子なんだね。LINE交換しよ」とスマホを奪われて勝手に交換されてしまった。機種が古いことを笑われたけど機種変更のお金がないので仕方ない。


登校時間なので続々と来る私立中学の制服の子たちになんで違う制服の女がいるのか不審げに見られる。、教員呼ばれないうちに退散しなければ。


この中学から私の高校はまだまだ遠いけどバスが来ないので走るしかない。中途半端な距離で出てきた害獣に心の中で恨みをぶつけてみる。これでは自分が害獣になっちゃうね。まあ最後はなるんだけれど。


走って私の通う高校に到着した。家を早めに出たのでまだ登校時間中に来れた。下駄箱についてまず開く。奥まで確認。匂い、異物なし。今日はラッキーだ。上履きを取り出す、逆さにして振る、何も落ちてこない。よしいいぞ。念のため上履きに手を入れる、刃物の感触、見ると画鋲が丁寧にセロテープで上履きの奥に止められてた。危ない危ない気が付いて良かった。


画鋲を取り上履きを履いて教室に向かう。教室の入り口のドアを開けるときいつも緊張感。入らないわけにはいかないので戸を引く。途端、話し声の波を浴びる。皆元気だなあ。


私が教室に入った途端、話していた声が止まるがまたすぐ話し出す。なぜか私に視線を送る人がいる。ほっといてくれればいいのに。


席に着いて机の中を確認。何か曲がった感触。プリントでもそのまま雑に入れたっけと取り出したらジョーくんの下敷きがバキバキに曲げられていた。


最悪だ。なんで昨日持ち帰らなかったんだろう。泣きたいと顔を伏せそうになった時「えぇー光さんサイテー」と甲高い声が聞こえた。


振り返るとクラス女子トップの阿部が立っていた。相変わらず女子力の高そうな外見だ。

「コンサート外れたからジョーくんの下敷きに八つ当たりー?それでもジョー担なのー?あー私はもちろん全通だしー今度の握手会もCD300枚買うから確実に行けるしー。てか今度パパがジョー君のパパの友達の取引先の人に会わせてくれるかもしれなくてー。握手しなくてもジョーくんと会えるかもなんだけどー」


聞いてもいないことをひたすら並べる阿部。資金力については親の力だし会える人ジョー本人じゃないよねなんて突っ込んだらなにされるかわからないので黙っていると髪を引っ張られ立たされた。


「ねぇーひーかーりーさーん。人の話てるときは相手見ようよー。だから友達いないんだよー。てか私がジョーくん好きだからってずっとにらんできたよねー正直に言いなようらやましかったんでしょー。でもさーそんなんじゃ誰からも嫌われるにきまってるじゃーーーん。ジョーくん以前の問題だよあはは!」


今日は私の登校が普段より遅くフラストレーションが溜まってたのか阿部は髪の毛を強く引っ張りながら大声で捲し立てる。同担拒否がここまでこじれるとは恐ろしい。と思わずため息が小さく出てしまった。

もちろん阿部がそれを聞き逃すはずはない。

「お前こっちが優しいからってふざけんなよ」

阿部が思い切り髪をつかみ私の顔を床にたたきつけようとしたその時だった。

廊下からありえないほどの女子の悲鳴とシャッター音が鳴り響いた。


とっさに驚いた阿部からすぐに離れるが髪が絡みついている。解くのに苦労しそうだけど頑張ってやるしかないと取り組み始めた私。


だから気が付かなかった。教室のドアが開き入ってきたその人に。


「光桜子さんだね。」


名前を呼ばれて初めて顔を上げて見えたのは、バキバキに曲げられた下敷きと同じ顔を持つ人だった。



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